愛知学泉大学では、家政学部家政学科・管理栄養士専攻コースのカリキュラムに、乳和食を取り入れた実践を展開しています。
そこで、将来の管理栄養士たちを養成する大学で、乳和食を導入することの有効性を探るため、大学を訪問して実習の様子を含めて取材しました。
従来の牛乳料理と異なる“おいしい減塩食”を給食経営管理に
愛知学泉大学では2017年度から、管理栄養士専攻の「給食経営管理実習」の題材として、医療・福祉施設の現場で求められる減塩対応として乳和食を導入しています。実習では、給食施設での衛生管理や大量調理の技術、献立作成などのノウハウを実践的に学びます。
指導を担当する浅田英嗣准教授が乳和食を実習で採用したきっかけは、岡崎市栄養士会の主催で開催された乳和食講習会などを通じて乳和食への理解を深め、「牛乳を和食に取り入れ、おいしく減塩するという料理法が素晴らしいと思い、カリキュラムに導入することにしました」と話します。
大学でも以前から、“牛乳を使った料理”の実習は行ってきましたが、「乳和食は、おいしさや料理法が以前の牛乳料理とは全く別物」と浅田准教授。「減塩でありながら旨味があり、牛乳特有の風味を感じない乳和食を、学生たちはもちろん学内外に知ってもらうことは重要だと考えました」と導入に至った経緯を話していただきました。
指導を担当する浅田英嗣准教授が乳和食を実習で採用したきっかけは、岡崎市栄養士会の主催で開催された乳和食講習会などを通じて乳和食への理解を深め、「牛乳を和食に取り入れ、おいしく減塩するという料理法が素晴らしいと思い、カリキュラムに導入することにしました」と話します。
大学でも以前から、“牛乳を使った料理”の実習は行ってきましたが、「乳和食は、おいしさや料理法が以前の牛乳料理とは全く別物」と浅田准教授。「減塩でありながら旨味があり、牛乳特有の風味を感じない乳和食を、学生たちはもちろん学内外に知ってもらうことは重要だと考えました」と導入に至った経緯を話していただきました。
学生たちが献立作成や大量調理を実践
浅田准教授が行う「給食経営管理実習」では、管理栄養士専攻の3年生2クラス約80人が4班に分かれ、100食前後の食事の献立作成から調理、評価分析までを行います。前期の実習は2クラス合わせて16回。学生たちは調理の主担当、副担当、試食と立場を変えて参加。毎回、和食、洋食、中華、麺類などの異なる料理系統と並んで、乳和食も取り上げています。
取材当日の実習では、8人が調理主担当のグループで構成し、食材や器具の準備などを行う副担当班と連携しながら、デザートを含め全6品をつくりました。献立は班メンバーが2週間ほどかけて検討したもので、減塩効果が期待できる「ミルク豚汁」に加え、牛乳を乳清とカッテージチーズに分離し、それぞれを使って「鮭の乳清レモン」と「かぼちゃのカッテージチーズサラダ」をつくることに決めました。
取材当日の実習では、8人が調理主担当のグループで構成し、食材や器具の準備などを行う副担当班と連携しながら、デザートを含め全6品をつくりました。献立は班メンバーが2週間ほどかけて検討したもので、減塩効果が期待できる「ミルク豚汁」に加え、牛乳を乳清とカッテージチーズに分離し、それぞれを使って「鮭の乳清レモン」と「かぼちゃのカッテージチーズサラダ」をつくることに決めました。
乳和食の大量調理のポイントを体験的に学ぶ
学生たちは、浅田准教授の指導を受けながら、タイムスケジュールに沿って、50種以上の食材準備から大釜での煮炊き、スチームコンベクションでの蒸しや焼きなどの調理、計量・分配、盛り付けまでを手際よく進めていきました。
こうした実習を繰り返すことで、調理はもちろん現場の衛生管理や食材廃棄率の管理など、さまざまな要素を経験し、栄養バランスやおいしさだけでなく、調理方法や器具・機材、調理時間、人員なども考慮に入れたレシピ作成力を身につけることができます。
浅田准教授は、学生たちに乳和食を指導する際のポイントとして、「単純に牛乳を入れた料理とは別物だということを実際に食事で示し、そのつくり方を同時に紹介して、家庭でも実践してみようという意欲を高めることを重視しています」と話します。
この日の実習でも、豚汁にそのまま牛乳を加えるのではなく、「あらかじめ味噌と牛乳をよく混ぜ込んでおくことが重要」と指導。学生からは、「牛乳と乳清を分離する際の温度管理の大切さが、実際につくってみてわかった」といった声も上がっていました。
こうした実習を繰り返すことで、調理はもちろん現場の衛生管理や食材廃棄率の管理など、さまざまな要素を経験し、栄養バランスやおいしさだけでなく、調理方法や器具・機材、調理時間、人員なども考慮に入れたレシピ作成力を身につけることができます。
浅田准教授は、学生たちに乳和食を指導する際のポイントとして、「単純に牛乳を入れた料理とは別物だということを実際に食事で示し、そのつくり方を同時に紹介して、家庭でも実践してみようという意欲を高めることを重視しています」と話します。
この日の実習でも、豚汁にそのまま牛乳を加えるのではなく、「あらかじめ味噌と牛乳をよく混ぜ込んでおくことが重要」と指導。学生からは、「牛乳と乳清を分離する際の温度管理の大切さが、実際につくってみてわかった」といった声も上がっていました。
優れた減塩効果とおいしさを試食で実感
調理終了後は、試食と評価を担当する別クラスの学生や教職員もまじえて試食し、栄養バランスや盛りつけ、量の適正、おいしさなどを評価します。
調理主担当班の学生は、「“おいしい”減塩食にしようとすると、どうしても塩が多くなりがちですが、今回は牛乳の旨味やコクを生かすことで効果的な減塩ができました」と乳和食の価値や、ミルク豚汁ではみその使用量を8gに抑え(通常は15g程度)、食塩摂取量を2.0g(基準値は2.4g)まで減らせたことや、カルシウムは基準値の230mgに対して279mg摂れることなどを、試食した学生や教職員にアピールしました。
調理主担当班の学生は、「“おいしい”減塩食にしようとすると、どうしても塩が多くなりがちですが、今回は牛乳の旨味やコクを生かすことで効果的な減塩ができました」と乳和食の価値や、ミルク豚汁ではみその使用量を8gに抑え(通常は15g程度)、食塩摂取量を2.0g(基準値は2.4g)まで減らせたことや、カルシウムは基準値の230mgに対して279mg摂れることなどを、試食した学生や教職員にアピールしました。
今回のレシピは試食した学生たちにも好評だった様子で、「減塩してあってもおいしかった」「牛乳の苦手な人でも料理に入っていることに気づかない」といった感想が聞かれました。
挑戦と失敗から学んだ成果を将来の職場で生かして
浅田准教授は「減塩食の献立作成は本来難しいのですが、牛乳を使うとしっかり減塩しながら、コクが出ておいしく仕上げられます」と乳和食の価値を強調。また、普段から料理をしている学生ほどレシピを自己流に解釈し、自分の感覚で調理をしがち。その点、和食に牛乳を違和感ないように利用し、減塩してもおいしい乳和食を作るためには「レシピを厳密に守ることの重要性を実習通じて学ぶことのできる料理」と、乳和食の教材としての価値についてもお話いただきました。
管理栄養士として病院などの現場を担当すると失敗は許されず、調理実習という教育の場は、たくさんの未体験な料理にも挑戦をして、失敗して学ぶことも大切な要素。
管理栄養士専攻の学生たちの多くは卒業後、医療や福祉施設、給食施設、学校などで栄養管理を担っていきます。「管理栄養士は幅広い職場で活動していますが、まだ少数派で立場が弱いという現実もある」という浅田准教授は、「乳和食も含めて、ここで学んだことを卒業後の職場で生かし、みんなの活躍で『管理栄養士は役に立つ』というイメージを世の中に定着させてほしい」と学生たちに期待している熱い思いを最後に語ってくれました。
今後、こうした大学で学んだ学生たちが、将来の職場で健康寿命の延伸に向けた取り組み、乳和食もその一翼を担っていく可能性を感じました。
管理栄養士として病院などの現場を担当すると失敗は許されず、調理実習という教育の場は、たくさんの未体験な料理にも挑戦をして、失敗して学ぶことも大切な要素。
管理栄養士専攻の学生たちの多くは卒業後、医療や福祉施設、給食施設、学校などで栄養管理を担っていきます。「管理栄養士は幅広い職場で活動していますが、まだ少数派で立場が弱いという現実もある」という浅田准教授は、「乳和食も含めて、ここで学んだことを卒業後の職場で生かし、みんなの活躍で『管理栄養士は役に立つ』というイメージを世の中に定着させてほしい」と学生たちに期待している熱い思いを最後に語ってくれました。
今後、こうした大学で学んだ学生たちが、将来の職場で健康寿命の延伸に向けた取り組み、乳和食もその一翼を担っていく可能性を感じました。
2019年03月08日