日本初の乳和食レストラン「まきばの家」--牛乳づくりにこだわる永利牛乳が伝えたい乳和食の魅力とは

永利牛乳株式会社 まきばの家

永利牛乳株式会社 様

福岡県太宰府市に拠点を置く永利牛乳株式会社は、全国でも数少ない自家牧場を持つ牛乳工場。1942年に先代が牧場を興してから今に至るまで、産地が見える昔ながらの牛乳づくりにこだわりながら、“本物の牛乳”を作り続けています。今回は永利牛乳が取り組む乳和食レストラン「まきばの家」について、専務取締役 長谷川 章子さんにお話を伺いました。

背景
  • きっかけは乳和食を提唱した小山 浩子先生との出会い。減塩であることを感じさせない乳和食を長寿の時代に普及させたかった。
効果
  • 乳和食御膳に含まれる食塩量は通常の調理法の3分の1以下で、地域ならではの食材を使ってメニューも工夫できる。
展望
  • ・乳和食を通して食材そのものの味がワンランクアップするような“思いがけない美味しさ”を見つけてほしい。
  • ・乳和食レストラン「まきばの家」をきっかけとして、牛乳本来の姿はいのちから始まることを知ってほしい。

1. 牛乳づくりにこだわる永利牛乳が“乳和食レストラン”をオープン

--牧場内に、日本初の乳和食レストラン「まきばの家」をオープンしたきっかけについて教えてください。

永利牛乳株式会社 専務取締役 長谷川 章子
永利牛乳株式会社 専務取締役 長谷川 章子
現在、牛乳工場と牧場には、地域の幼稚園や小学校などから年間およそ5000人が工場見学にいらっしゃいます。見学者は大勢いらっしゃるのに、施設は古くてトイレの数も足りていないという設備上の理由から、新しい施設を建てることを計画していました。まだ計画段階だったときに、Jミルクの乳和食の講習を受けたんです。そこで初めて乳和食について知り、新しくオープンする施設にぜひ取り入れたいと考え、乳和食レストランとして「まきばの家」をオープンしました。

2. 減塩なのに美味しい!栄養の宝庫とよばれる牛乳

--「乳和食」のどういったところが魅力的でしたか?

講習を受けた際、小山 浩子先生のお話を聞いて、実際に乳和食を食べてみました。牛乳臭さは無く、旨味やコクだけを活かして和食の味は美味しいまま、減塩であることを感じさせないお食事だったので、「ああ、これはいいな。」と思いました。“減塩=味が薄い・まずい”という概念を捨てることができると思ったんです。
 
また、牛乳は栄養の宝庫と呼ばれるくらい栄養価が高く、人間が生活していく上で必要な栄養素が凝縮されている飲み物です。ですが、牛乳が苦手な方ももちろんいらっしゃいます。それに、お年寄りの方には牛乳を1本飲んでしまうと、それだけでお腹いっぱいになってしまって他のお食事が食べれなかったりするんですね。その点、乳和食の場合、牛乳を使って調理するので、和食で不足しがちなカルシウムをきちんと補いながら食事することができます。これからの長寿の時代に、普及させていかなければならない調理法だと思います。
背景
  • きっかけは乳和食を提唱した小山 浩子先生との出会い。減塩であることを感じさせない乳和食を長寿の時代に普及させたかった。

3. 牛乳嫌いでも食べることができる「乳和食」

--レストラン開業後、「乳和食」を召し上がったお客様の反応はいかがですか?

シェフおまかせの乳和食ご膳(1200円)※要予約
皆さんが一番びっくりされることは、牛乳が使われているのがわからないほど牛乳臭さがなく、コクや旨味だけが引き立つので減塩された食事だと感じないことです。また、「牛乳嫌いな人でも、この料理なら食べられるよね。」とも言われます。特に人気のメニューは「鯖のミルク味噌煮」です。お年寄りの方にも、魚の嫌いなお子様にも非常に喜ばれます。牛乳を使うことで魚臭さがなく、身がふわっとするんです。「かぼちゃのそぼろ煮」が好きなお子様も多いですね。
 
また、皆さんが一番びっくりされるのは乳和食御膳の定番メニュー「ポテトサラダ」。牛乳だけでじゃがいもを炊き上げることで、しっとりとコクのあるポテトサラダに仕上がります。「まきばの家」でお出ししている乳和食御膳は、従来の調理法と比べると食塩量は3分の1以下。マヨネーズや塩は使っていませんが、ほんの少しのベーコンやチーズ、そして牛乳の旨味のおかげで減塩とは思えないほど美味しいんですよ。

4. 地産地消にこだわった「乳和食」でメニューにも工夫

--レストランで「乳和食」を出す際に心掛けていることはありますか?

まきばの家のシェフ 猪股 聖士(いのまた せいじ)さん
私たちは、「まきばの家」で乳和食を実食した方に、「ぜひご自宅でも一度乳和食を作ってみてください。」とお伝えしています。調理されたものを食べるよりも、実際に乳和食を作ってみた方が減塩であることを実感できるんですよ。ほんの少しのお味噌やお醤油で、これだけの味を引き出すことができるということをもっと多くの方に知っていただきたいです。
 
それと、牛乳にこだわることと同様、地産地消にもこだわっています。レストランがある朝倉周辺は、梨や柿などフルーツの産地としても有名です。生産者の方にお願いをして、ポテトサラダに朝倉産の梨を入れてアレンジしてみたり、乳和食としてだけでなく地域ならではの四季を楽しんでいただけるよう工夫しています。
効果
  • 乳和食御膳に含まれる食塩量は通常の調理法の3分の1以下で、地域ならではの食材を使ってメニューも工夫できる。

5. 永利牧場からはじめる乳和食と食育

--どういった方に乳和食レストラン「まきばの家」に来ていただきたいですか?

まきばの家
まきばの家目印の緑の塔
牛乳が苦手なお子様や、カルシウムが不足しがちなお年寄りの方がたくさんいらっしゃると思います。乳和食は、牛乳嫌いなお子様でも、しっかりと食事としてカルシウムを摂取することができますし、健康で長生きするために必要不可欠な栄養素を補うことができます。ですから、子供からお年寄りまで、皆さんに来ていただきたいですね。
 
ご家族でもぜひいらっしゃってください。「まきばの家」では、お子様と一緒に調理できるレシピもお伝えしています。乳和食を一緒に調理することで、牛乳を飲み物としてだけでなく、食材として使うことを習慣として促し、日頃から健康的な食事を心がけるきっかけにしていただきたいです。

--永利牧場で力を入れている食育について、教えてください。

永利牧場は酪農教育ファームとして認証されています。酪農教育ファームとは、酪農を通して食の教育、心の教育、いのちの教育を支援する牧場のことです。地域の幼稚園や小学校と協力して、牧場見学やエサやり体験を実施することで、より多くの子供たちに「いのちの大切さ」を実体験を通して学んでもらうことが目的です。

また、乳和食作りの体験も、親子やグループでの参加者に好評です。
 
毎年開催している「永利牧場まつり」では、より多くの方に乳和食を知っていただくために乳和食試食コーナーを設けました。最近では、親子で参加していただく小山先生のワークショップや、栄養士の方や栄養士を目指す学生さんたちを対象に「乳和食のクッキングセミナー」を開催しています。年1回の小山先生のワークショップでは、親子で牧場見学やエサやり体験をしたあとに、小山先生をお招きして乳和食のお弁当を一緒につくっていきます。牧場だからこそできる“乳和食を通した食育”を新しい食育のカタチとして広めていきたいです。
小山先生の親子で作ろう乳和食弁当(イベント)の様子
小山先生の親子で作ろう乳和食弁当(イベント)の様子
展望
  • 乳和食を通して食材そのものの味がワンランクアップするような“思いがけない美味しさ”を見つけてほしい。

6.「乳和食」は食材そのものの味を引き出す新しい減塩調理法

--まだ乳和食を食べたことがない方、作ったことがない方へひと言お願いします。

乳和食には、食材本来の味を引き出してくれる“思いがけない美味しさ”があると思います。たとえば、「ミルク納豆」というメニュー。普通の納豆とは違って、大豆本来の美味しさが味わえるのできっと驚きますよ。乳和食は、調理方法によって素材の味わいがワンランクアップするんです。減塩というメリットがあることはもちろんですが、純粋に新しい調理方法として、ぜひご家庭でも楽しんでいただきたいです。

7. 全国でも珍しい自家牧場を持つ牛乳工場が「乳和食」を通して伝えたい想い

--乳和食レストラン「まきばの家」を通して伝えていきたいことは何ですか?

永利牧場牛乳と手作りのまきばのプリン
先代が1942年に牧場を興してから今に至るまで、産地が見える昔ながらの牛乳づくりにこだわりながら、“本物の牛乳”を作り続けてきました。乳和食は、新しい減塩方法としてぜひご家庭にも取り入れていただきたい調理法です。同時に、牛乳本来の姿を皆さんに知っていただきたいです。
 
当たり前のことですが、牛乳は工場だけで作られるものではありません。酪農家が大事に牛を育てて、子牛を産んだお母さん牛だけが牛乳をつくることができます。本来は、子牛を育てるための牛乳。私たちはその牛乳を飲んでいます。私たちの牧場やレストランをきっかけとして、酪農のあり方や、牛乳の姿をもっと知っていただけたらすごく嬉しいです。
展望
  • 乳和食レストラン「まきばの家」をきっかけとして、牛乳本来の姿はいのちから始まることを知ってほしい。
本コンテンツは「平成28年度生乳需要基盤確保事業」で製作しております。
2016年12月06日