第6回 マルシェ・ド・ノエル

ミルクの国の食だより 連載一覧

コラム、「ミルクの国の食だより」の第6回をお送りします。
もうすぐクリスマス。広場にできるマルシェ(市場)は、クリスマスプレゼントや飾りを買う人で大賑わいです。

お店は休日返上

今年もいよいよ残りわずかですね。
師走といえばクリスマスのイルミネーションで町が華やぎ、またお正月の準備等であわただしい時期ですが、ここフランスもそう。
夏のバカンスに続く、待ちに待ったクリスマス休暇が近づくにつれ、町中がざわめき、お店はノエル(クリスマス)のプレゼントを買い求める人々でいつも以上に賑わいます。
通常、ほとんどの店が日曜は休業ですが、この時期だけは休まずオープンしているほどです。
■リヨンで一番大きなカルノ広場のマルシェ・ド・ノエル。
140店舗が参加。11/22-12/24まで毎日10:00-20:00まで開催。

14世紀から続く習慣

フランスでは11月下旬からノエルにかけて、毎年各地区でマルシェ・ド・ノエル(Marché de Noël クリスマスマーケット)が催されます。14世紀から続く中央ヨーロッパ発祥の伝統的な習慣で、一説によるとノエルのためのごちそうなどを売る目的で市が立ったことに始まるというもの。
広場には、絵本に出てきそうな山小屋風の出店が軒を連ね、ノエルを彩る数百の品々が陳列されます。
日本でいう「酉の市」のようです。
本物のもみの木やキャンドルなどの美しい装飾品、ノエルの食卓には欠かせないフォアグラ、パテ、ソーセージ、エスカルゴなどの食品、ノエルの伝統的な菓子パン・デピス(Pain d'épices スパイス入りのハチミツケーキ)、アクセサリー、サントン人形、木組み細工などの民・工芸品などなど…フランスの名産が盛りだくさん!
■マルシェ・ド・ノエル発祥の地、アルザス地方の菓子ブルドゥル(Bredele)
■ノエルに欠かせないフォアグラのお店
■イエス生誕にまつわる宗教的なプロヴァンス地方の代表的な土人形、サントン(Santon de Provence)。

ホットワインで温まりながら買い物!

マルシェを散策するときのお供は何といってもヴァン・ショー(Vins Chaud)。
シナモンやアニスなどのスパイスと柑橘果実で風味をつけて甘くしたホットワインのこと。
ヴァン・ショー片手に冷えた体を温めながら、家族や友人とおしゃべりを楽しんで見て廻れば、夢心地なクリスマスのワクワク気分により一層浸れること間違いなし!
また、小腹が空いたら食べ物屋台も魅力のひとつ。
冬の名物、焼き栗やショコラ・ショー(ホットチョコレートの飲み物)、ハードタイプのチーズを温め溶かしてじゃがいもに乗せて食べるラクレットのサンドイッチなど、この時期にしか味わえないフランスの郷土料理が堪能できます。
■ヴァン・ショー。アニスとオレンジの香りが心地よく体がぽかぽかに。
■冬の名物焼き栗。自然の甘さでほっこりしておいしい。
■これはホットミルクにもよさそう。
ショコラ・ショー(Chocolat Chaud)に入れて溶かしながら味の変化を楽しむチョコレート。
ナッツ、シナモン、キャラメル風味など味もいろいろ。
■クリームとチーズをたっぷり使ったジャガイモのグラタン、サヴォワ地方の郷土料理タルティフレット(Tartiflette)。

日本のお正月に通じるフランスのノエル

フランスではノエルは1年のうちで最も大切な日で、宗教的・家族的行事であるだけでなく、地方の伝統文化を再認識する期間でもあります。
日本のお正月に似ていますね。
皆様、どうぞよいお年をお迎えください。 Bonne année!
■職人が作った美しい木工細工
管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。