コラム、「ミルクの国の食だより」の第32回をお送りします。
赤ちゃんの離乳食は、栄養補給のほかに「味覚を学習する」という意味もあり、好き嫌いをなくさせる可能性も期待できます。人生最初の食習慣づくり、じょうずに進めたいですね。
出生時に産院でもらう健康手帳(フランス版母子手帳)には、離乳食を始めるための具体的な食品の種類や食事の目安が書かれています。
初めは、乳以外の食べ物に慣れさせる時期。
世界には色々な味が存在すると教えるため、この時期にできるだけ新しい味の発見をさせてあげます。
世界には色々な味が存在すると教えるため、この時期にできるだけ新しい味の発見をさせてあげます。
■離乳食を始めるにあたっては、産院でもらうフランス版母子手帳に書かれた食事の目安や小児科医の指示書、行政が配布するガイドなどが参考になる
■フランス版母子手帳に掲載されている食事の多様化(離乳食)の目安を翻訳したもの。
乳汁以外の食べ物は5-6ヶ月から。おおむね初期と後期に分かれていて、8-12ヶ月(子どもの成長による)からを後期とし、3歳までは健康的な食習慣を身につけるように推奨される
乳汁以外の食べ物は5-6ヶ月から。おおむね初期と後期に分かれていて、8-12ヶ月(子どもの成長による)からを後期とし、3歳までは健康的な食習慣を身につけるように推奨される
離乳食デビューは野菜から
離乳食デビューは通常、赤ちゃんの胃に負担が少ない野菜(にんじん、長ネギ、インゲン、ほうれん草、ズッキーニ、じゃがいもなど)から始めます。
繊維質が多く消化でガスをたくさん発生させる野菜(キャベツ、ブロッコリー、きのこ、豆、玉ねぎ、ピーマンなど)は初期の離乳食では避けます。
味が単調なじゃがいもは味わう野菜としてではなく、水分が多い野菜に混ぜて食べやすくするために使われます。
野菜から果物へ
野菜に慣れたら次は果物。
りんご、洋ナシ、カリン、プルーン、バナナなど、できればよく熟した季節のものを。
りんご、洋ナシ、カリン、プルーン、バナナなど、できればよく熟した季節のものを。
ベリー類や南国の果物はアレルギーのリスクがあるため、初期は避けます。
野菜、果物はすべて火を通したものを与えます。
初めはひとさじから、徐々に60gまで量を増やし、2ヶ月くらいかけて120gまで増やしていきます。
初めはひとさじから、徐々に60gまで量を増やし、2ヶ月くらいかけて120gまで増やしていきます。
離乳食初期の目安(例)
朝 母乳またはミルク240ml
昼 野菜60-120g、母乳またはミルク180-210ml
16時頃 果物 60-120g、母乳またはミルク180-210ml
夕 母乳またはミルク240ml
朝 母乳またはミルク240ml
昼 野菜60-120g、母乳またはミルク180-210ml
16時頃 果物 60-120g、母乳またはミルク180-210ml
夕 母乳またはミルク240ml
野菜と果物で味の学習
多くの種類があり、色、形、味も多様で五感を総動員してその味を学習する野菜と果物。
この時期の赤ちゃんには基本的にどんな食べ物でも受け入れる能力があり、日々味覚の学習をし続けているといわれています。
いろいろな種類の野菜を食べていると、初めて食べる別の野菜も受け入れやすくなることが分かっています。
つまり、離乳食の段階でいろいろな味に慣れさせておくと、好き嫌いをなくせる可能性があるそう。
また、様々な味の体験は、同時に食物アレルギーのリスク軽減にもつながります。
また、様々な味の体験は、同時に食物アレルギーのリスク軽減にもつながります。
まさに離乳食とは、食の多様化です。
■野菜や果物は季節のものを心がけて。難しい時は冷凍野菜やベビーフードが便利。
(写真はカリンとりんごのピュレ)
(写真はカリンとりんごのピュレ)
※このテーマは次回に続きます。お楽しみに。
管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。