牛乳宅配一日体験

食育実践記 ミルクに学ぼう

【食育実践記】ミルクに学ぼう(4/8)

安心とおいしさに笑顔をそえて 牛乳を届ける宅配屋さん

工場から出荷された牛乳は、いろいろなルートで私たちの元へ。お店へ買いに行くこともあれば、直接、家まで牛乳を配達してもらう方法もあります。
今回は、牛乳を配達してくれる「牛乳の宅配屋さん」に注目。明治まごころ宅配・文京店を訪ね、どのように牛乳が配達されるのか、見学と体験をさせてもらいました。

さて牛乳宅配のしくみは?

工場を出発した牛乳・乳製品は、スーパーマーケットなどのお店で販売される以外に、街の宅配屋さんへと搬入され、デリバリースタッフから各家庭へと配達されたりします。こうした、牛乳の宅配は昭和20年代からはじまり、現在も全国で利用されています。「どんなふうに運ぶのかなあ」と、拓斗くんは興味をもったようです。

牛乳宅配の一番の特徴は、売る人が買う人の元へ直接牛乳をお届けすること。顔を合わせたり話したりすることで、コミュニケーションが生まれることです。
しくみとしては、飲み終わった空ビンを宅配屋さんが回収して、牛乳工場でリユース(再利用)されること。
牛乳宅配は、人々の暮らしや生活サイクルに密着した牛乳の販売方法なのです。出かけていることが多いご家庭では、商品の受け渡しに宅配ボックスを利用します。
  • 宅配牛乳がみんなの家に届くまで

さっそくお仕事だ!

1.大きな冷蔵庫に、いろんな牛乳が工場から届くよ!

朝、お店の大きな冷蔵庫に、牛乳や乳製品が工場から保冷トラックで運ばれてきます。宅配屋さんでは、注文するお客さんが好みに合わせて商品を選べるように、たくさんの牛乳や乳製品を揃えています。中には栄養をプラスしたものなど、宅配屋さん限定の商品もいろいろ。

「ぼくの大好きなのむヨーグルトもあったよ!」。デリバリースタッフは、担当コースの集計票を見ながら、今日、配達する商品を冷蔵庫からまとめてピックアップ。
5℃で管理された冷蔵庫内でお手伝いしながら「寒いよう!」と拓斗くん。
  • ▲宅配牛乳は、お年寄りやこどもでも飲みきれる200mlサイズが多いのが特徴。
 2.届ける商品やお客さんのこと。全部パソコンでわかるんだね

集計表には各家庭から注文された牛乳や乳製品の数が書かれています。「いつも同じ牛乳を配達するの?」と拓斗くん。
「試飲で牛乳を飲みくらべたときとか、家族の健康状態や好みで注文を変えるお客さんもいるよ」とお兄さん。

注文を変えたいときは、空ビンといっしょに宅配ボックスにメモを入れてもらったり、お客さんから電話連絡をもらったりします。その情報はすぐにお店のパソコンに入力され、配達先と注文状況が、いつでもすぐ、わかるように管理されているのです。

冷蔵庫から出した商品を、今度はお客さん一軒ごとに管理したカード式の配達伝票を見ながら、配達する順番に素早くケースへ。「こうして順番にならべておくと、早く配れるし、間違いがなくなるんだよ」。 
  • ▲最新の注文商品情報はパソコンで管理され、集計表と配達伝票に反映されます。
3.さあ、出発!配達へ

配達用のバイクには40本の牛乳ビンが入るケースを4つ、そのほかヨーグルトなどの乳製品のケースが準備できたら、保冷材とともに積み込みます。配達範囲はだいたい半径3~4kmのエリア。通常は一軒に週2~3回配達します。

一回の配達でまわるのは約70軒。配達員さんは一人で午前と午後に1コースずつ配達していきます。

一回の配達にかかる時間は約3時間。嵐や雪の日の配達は大変ですが、どんなときでも安全運転には気を配ります。
  • ▲普通牛乳や、カルシウムや鉄など栄養をプラスした乳飲料、ヨーグルトなどの乳製品、ジュースまで、種類が豊富で選ぶのも楽しい!
 4.一軒ずつ、ていねいに届けます

まず宅配ボックスを利用しているご家庭へ。宅配ボックスから空ビンを取り出し、中をきれいに拭きます。飲みきらないときに栓として使ったポリキャップもリサイクルの対象。いっしょに回収します。

それから、新しい保冷材に入れ替え、袋にまとめた今日の牛乳を入れます。袋のもち手部分を少しだけ出してフタを閉めます。
「これは配達に来ましたよ、というお客さんへの合図なんだ」とお兄さん。「そんな意味があるのかぁ、知らなかった」と感心の拓斗くん。

宅配ボックスにはポケットがついていて、健康ニュースをお届けしたりお客さんと宅配屋さんのコミュニケーションに役立っています。

家にいるお客さんには、笑顔で手渡しが原則です。利用している方の中にはお年寄りも多く、ふれ合いを通して気づかうこともできるのだとか。
「重くないよ、平気!」と牛乳のバッグを玄関まで運んだ拓斗くん。「こんにちは!牛乳です!」と元気な笑顔で配達ができました。
  • ▲冷たく温度管理された牛乳を、保冷材といっしょに宅配ボックスの中へ。お客さんが商品を受け取るまでが大切な仕事です。
● 宅配利用者さんへインタビュー

拓斗くん
どうして宅配牛乳をとっているんですか?

宅配利用者さん
ビンの牛乳が懐かしく、宅配牛乳をとりはじめました。家族にも好評で、お風呂あがりには腰に手をあててゴクゴク飲んでいますよ(笑)。宅配牛乳って、なんだか、おいしくて元気になれる気がします。

体験しての感想

・「配達は大変だったけど、おもしろかった。宅配ボックスが気に入っちゃった。ウチにもほしいな」(勝田拓斗くん・7歳)

・「ビンの牛乳に久々に触れ、軽さにびっくり。宅配システムも進化していて感心しました」(お母さん) 

食育コラム:五感で体験

管理栄養士 吉川直美さん

牛乳宅配と聞いて、早朝、牛乳を配達する自転車の「カタカタッ」という音を想像した方も多いのではないでしょうか。おいしさの記憶は、感覚と結びついているものも多いですよね。

拓斗くんは、牛乳の入っている冷蔵庫や保冷材を保管している冷凍庫の温度管理のこと、お届けするときの牛乳の重み、お客さんの喜ぶ笑顔など、カラダとココロで感じていたようです。見て、聞いて、届けて、味わって…まさに、五感で体験できた一日でした。
【取材・撮影協力】明治まごころ宅配・文京店<バリュークエスト株式会社> 

 
ほわいと(2006春)より