ウワサ10 ヨーグルトの乳酸菌は胃で死滅するため効果なし

牛乳の気になるウワサをスッキリ解決!

ウワサ10 ヨーグルトの乳酸菌は胃で死滅するため効果なし

「ヨーグルトの健康効果」は、科学的根拠に基づいたものです。

● 生菌・死菌ともに効果がある
ヨーグルト(発酵乳)は、牛乳や脱脂粉乳などの原料を乳酸菌で発酵させて作るため、牛乳の栄養性に加え、乳酸菌のはたらきによる効果が期待できます。

ヨーグルトの乳酸菌には、胃酸や胆汁酸などで死滅するものと、生きたまま腸に達するものがあります。そのどちらにも、健康に効果があることが明らかになっています。
生きて腸に達した菌は、腸内で増殖して乳酸および酢酸を作ります。乳酸は腸内の他の微生物に利用され、腸内の有害菌を減らして腸の調子を整える効果があります。免疫力を高め、がんや感染症に対する抵抗力を高めることも報告されています。

乳酸菌は生きていなくても、発酵生産物や菌体内外の諸成分に抗腫瘍性、血圧降下作用、血清コレステロール低下作用などの健康効果のあることがわかっています。

● ヨーグルトの成分が腸内細菌バランスを良くする 
私たちの腸内には約1,000種類もの腸内細菌がすみついています。この中には体に良いはたらきをする善玉菌と、悪いはたらきをする悪玉菌、そのどちらでもない中間菌(日和見菌)があります。

善玉菌の代表は「乳酸菌」やその仲間である「ビフィズス菌」です。これらの菌は、牛乳の成分である乳糖やオリゴ糖によって増殖します。

参考資料 
・ 光岡知足.“ヨーグルト健康法”. 青春出版社, 2000, 39. 
・ Marina Elli; Maria Luisa Callegari; Susanna Ferrari et al. Survival of Yogurt Bacteria in the Human Gut.Applied Environmental Microbiology. 2006, 72(7), 5113 - 5117. 
・ 公益財団法人日本健康・栄養食品協会ホームページ. http://www.jhnfa.org/(特定保健用食品とは>1.おなかの調子を整える食品)
・ 細野明義.“ヨーグルトの科学”.八坂書房, 2004, 95.  

もっと知りたい! 乳酸菌のはなし

発酵食品には欠かせない菌
乳酸菌とは、糖類を分解して乳酸などを生成する細菌の総称です。 
乳酸菌は広く自然界に存在し、人や動物の消化管にも生息しています。 
乳酸菌のはたらきを利用して、みそ、醤油、漬物、ヨーグルト、チーズなどの発酵食品が作られています。

ヨーグルトに使われている乳酸菌の種類 
乳酸菌にはいろいろな種類があります。一般にヨーグルトに使われている乳酸菌は、ブルガリア菌、サーモフィルス菌、アシドフィルス菌、ビフィズス菌(正確には乳酸菌の仲間)などです。市販のヨーグルトは、乳酸菌の組み合わせや発酵温度などにより、製品の特色を出しています。

ヨーグルトの中の乳酸菌は生きているので、製造後、時間が経つと発酵が進み、酸味が増します。