ウワサ16 日本人のほとんどは、牛乳を飲むとおなかをこわす
「乳糖不耐」は日本人のほとんどではありません。
● 「乳糖不耐」とは?
牛乳を飲むとおなかにガスがたまる、ゴロゴロする、下痢をするなどの不快症状が現れることを、「乳糖不耐」といいます。昔から知られてきた症状ですが、病気というわけではありません。
● 「乳糖不耐」はそれほど多くない
乳糖不耐は、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が大人では小腸で少なくなり、十分に働かないことにより起こると考えられてきました。しかし実際には、牛乳を飲んで下痢をする人の割合はそれほど高くないことがわかりました。
乳糖の摂取量と下痢発生に関するヒト試験(※1)によると、乳糖を30g(牛乳700mL相当)摂取したグループでも下痢は起こりませんでした。60g(1,200mL)摂取のグループでは50%以上の割合で下痢が起こりましたが、一度に1,200mLの牛乳を飲むというのは、実生活ではほぼありえないことです。
また、15歳以上の男女10,000人を対象とした調査(※2)では、牛乳を飲んでお腹がゆるくなったり、ゴロゴロしたり、張ったりする症状の自覚を持つ人について、「いつもそうなる」人は7%、「いつでもではないがなる」は13%、「たまになる」は29%でした。その理由は、腸内細菌叢にありました。
● 乳糖は大腸でも分解できる
これまで乳糖不耐のメカニズムは、小腸に存在するラクターゼ活性が低いため乳糖が小腸で消化されずに大腸へ運ばれ、大腸内の有害菌に利用されて多量の酸やガスを発生するため腹痛や下痢を起こすと考えられてきました。
しかし、乳糖が小腸で分解されない場合でも、大腸に存在する乳酸菌やビフィズス菌などの有用腸内細菌が多い人では、乳糖が良く分解されて、不快症状が出にくいことが近年の研究により明らかになってきました。乳糖は最終的に腸管内で分解され、乳酸や酢酸や酪酸などの安全な代謝物となって吸収されていきます。
乳糖不耐の最新研究については、コチラ
■ 優れた食品素材である牛乳 その利点と課題(乳糖不耐など) (Jミルク 第36回メディアミルクセミナー)
参考資料
※1 奥恒行, ヒトにおける乳糖の一過性下痢に対する最大無作用量とそれに及ぼす食べ方に関する研究, 牛乳栄養学術研究会委託研究報告書, 2001, 123-141.
※2 一般社団法人J ミルク, 牛乳乳製品に関する食生活動向調査2013.
牛乳を飲むとおなかにガスがたまる、ゴロゴロする、下痢をするなどの不快症状が現れることを、「乳糖不耐」といいます。昔から知られてきた症状ですが、病気というわけではありません。
● 「乳糖不耐」はそれほど多くない
乳糖不耐は、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が大人では小腸で少なくなり、十分に働かないことにより起こると考えられてきました。しかし実際には、牛乳を飲んで下痢をする人の割合はそれほど高くないことがわかりました。
乳糖の摂取量と下痢発生に関するヒト試験(※1)によると、乳糖を30g(牛乳700mL相当)摂取したグループでも下痢は起こりませんでした。60g(1,200mL)摂取のグループでは50%以上の割合で下痢が起こりましたが、一度に1,200mLの牛乳を飲むというのは、実生活ではほぼありえないことです。
また、15歳以上の男女10,000人を対象とした調査(※2)では、牛乳を飲んでお腹がゆるくなったり、ゴロゴロしたり、張ったりする症状の自覚を持つ人について、「いつもそうなる」人は7%、「いつでもではないがなる」は13%、「たまになる」は29%でした。その理由は、腸内細菌叢にありました。
● 乳糖は大腸でも分解できる
これまで乳糖不耐のメカニズムは、小腸に存在するラクターゼ活性が低いため乳糖が小腸で消化されずに大腸へ運ばれ、大腸内の有害菌に利用されて多量の酸やガスを発生するため腹痛や下痢を起こすと考えられてきました。
しかし、乳糖が小腸で分解されない場合でも、大腸に存在する乳酸菌やビフィズス菌などの有用腸内細菌が多い人では、乳糖が良く分解されて、不快症状が出にくいことが近年の研究により明らかになってきました。乳糖は最終的に腸管内で分解され、乳酸や酢酸や酪酸などの安全な代謝物となって吸収されていきます。
乳糖不耐の最新研究については、コチラ
■ 優れた食品素材である牛乳 その利点と課題(乳糖不耐など) (Jミルク 第36回メディアミルクセミナー)
参考資料
※1 奥恒行, ヒトにおける乳糖の一過性下痢に対する最大無作用量とそれに及ぼす食べ方に関する研究, 牛乳栄養学術研究会委託研究報告書, 2001, 123-141.
※2 一般社団法人J ミルク, 牛乳乳製品に関する食生活動向調査2013.
そもそも・・・「乳糖」って?
乳糖は、自然界では乳にのみ含まれる糖です。その構造は、単糖類(*1)であるガラクトースとグルコース(ブドウ糖)が結びついた形をしていて、「二糖類」と呼ばれます。
二糖類の仲間には、砂糖や麦芽糖などがあります。乳糖は乳糖分解酵素(ラクターゼ)によって、ガラクトースとグルコースに分解され、体内でエネルギー源になります(4kcal/g)。
乳児にとって乳糖は非常に重要な栄養素です。また、乳糖は乳酸菌の栄養源でもあり、腸内で乳酸菌の発育を助けます。さらに、乳糖にはキレート作用(*2)によりカルシウムの吸収を促進する働きもあります。
乳糖は消化に時間がかかりますので、血糖値が上がりにくく、最近では低グリセミックインデックス(GI)値食品として注目されています。
他の高GI値食品と一緒に摂ると、全体のGI値も下げることがわかっています。
*1 単糖類:それ以上分解されない最小単位の糖(グルコース、果糖など)
*2 キレート作用:中心の金属イオンを挟む形で分子やイオンが結合すること
二糖類の仲間には、砂糖や麦芽糖などがあります。乳糖は乳糖分解酵素(ラクターゼ)によって、ガラクトースとグルコースに分解され、体内でエネルギー源になります(4kcal/g)。
乳児にとって乳糖は非常に重要な栄養素です。また、乳糖は乳酸菌の栄養源でもあり、腸内で乳酸菌の発育を助けます。さらに、乳糖にはキレート作用(*2)によりカルシウムの吸収を促進する働きもあります。
乳糖は消化に時間がかかりますので、血糖値が上がりにくく、最近では低グリセミックインデックス(GI)値食品として注目されています。
他の高GI値食品と一緒に摂ると、全体のGI値も下げることがわかっています。
*1 単糖類:それ以上分解されない最小単位の糖(グルコース、果糖など)
*2 キレート作用:中心の金属イオンを挟む形で分子やイオンが結合すること
もっと知りたい! おなかゴロゴロ・・・の人におすすめの飲み方
● 数回にわけて飲む
一度にたくさん飲まず、少しずつ数回にわけて飲むことで乳糖が分解しやすくなります。
● 温めて、ゆっくり飲む
牛乳を温めることで、腸への刺激が弱まり、ラクターゼの働きも盛んになります。ホットミルクだけでなく、コーヒーや紅茶にまぜる、ココアにするのもおすすめです。
● 毎日飲む習慣をつける
乳糖は消化に時間のかかる難消化性オリゴ糖の一種であり、腸内細菌叢に影響します。毎日飲み続けることで、乳糖分解性の腸内細菌が増加して腸内環境が改善され、乳糖の分解や代謝を増進できることが期待できます。
● 料理にプラスする
牛乳が苦手な人も摂りやすく、料理にもコクが出て美味しさが増します。乳糖はショ糖の16%程度のほのかな甘さがあり、甘すぎないのも特徴です。
● 代わりにヨーグルトやチーズを食べる
ヨーグルトは乳酸菌の発酵によって乳糖の20 ~ 40%が分解され、減少しています。チーズは製造過程で乳糖の大部分がホエー(乳清)に移行して取り除かれています。したがって、ヨーグルトやチーズは乳糖不耐が起こりにくい食品といえます。
一度にたくさん飲まず、少しずつ数回にわけて飲むことで乳糖が分解しやすくなります。
● 温めて、ゆっくり飲む
牛乳を温めることで、腸への刺激が弱まり、ラクターゼの働きも盛んになります。ホットミルクだけでなく、コーヒーや紅茶にまぜる、ココアにするのもおすすめです。
● 毎日飲む習慣をつける
乳糖は消化に時間のかかる難消化性オリゴ糖の一種であり、腸内細菌叢に影響します。毎日飲み続けることで、乳糖分解性の腸内細菌が増加して腸内環境が改善され、乳糖の分解や代謝を増進できることが期待できます。
● 料理にプラスする
牛乳が苦手な人も摂りやすく、料理にもコクが出て美味しさが増します。乳糖はショ糖の16%程度のほのかな甘さがあり、甘すぎないのも特徴です。
● 代わりにヨーグルトやチーズを食べる
ヨーグルトは乳酸菌の発酵によって乳糖の20 ~ 40%が分解され、減少しています。チーズは製造過程で乳糖の大部分がホエー(乳清)に移行して取り除かれています。したがって、ヨーグルトやチーズは乳糖不耐が起こりにくい食品といえます。
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