ウワサ25 牛乳にはリンが多く含まれているから、 牛乳を飲むとかえってカルシウムが排出されてしまう

牛乳の気になるウワサをスッキリ解決!

ウワサ25 牛乳にはリンが多く含まれているから、牛乳を飲むとかえってカルシウムが排出されてしまう

牛乳に含まれるカルシウムとリンの比率は、骨をつくるための理にかなった値です。

● なぜそんなウワサが生まれたの?
このウワサは、体内からリンが排出されるときカルシウムを伴う(リン酸カルシウムの形で排出される)というメカニズムから生まれたようです。牛乳にはカルシウムも多く含まれているけれど、リンも多く含まれているので、牛乳を飲んでもリンと一緒にカルシウムも出て行ってしまう……と。でも、この主張は、牛乳を悪者にしたいがための「屁理屈」としか言いようがないものです。その理由を詳しくみていきましょう。

そもそも・・・人の体にとって、カルシウムとは? リンとは?

はじめに、カルシウムとリンについて、おさらいしておきましょう。ご存じの方は読み飛ばしていただいてかまいません。

カルシウム:骨を構成する主な成分であるだけでなく、体じゅうの細胞の営みに重要な役割を担っている元素。非常に大切なので、カルシウムの血中濃度は常に一定に保たれています。血中のカルシウム濃度が少なくなると、骨からカルシウムが溶け出て補うしくみになっています。つまり骨は、カルシウムの貯蔵庫でもあるのです。体内のカルシウムの99%は骨にあります。

リン:体内に存在するミネラルの中で、カルシウムの次に多い元素です。エネルギーをつくり出すなど、生命の維持や活動のために重要な役割を担っています。体内のリンの85%は、カルシウムやマグネシウムとともに骨や歯をつくる成分(主にリン酸カルシウム)として存在し、残りの15%は、筋肉、脳、神経などのさまざまな組織に含まれて、エネルギーをつくり出す役割を果たしています。たとえば、生命維持に必要なATP(アデノシン三リン酸)などがそうです。
● カルシウムとリンは、なぜ体外へ出ていくの?
人間を含め生物はすべて新陳代謝をすることで生きています。新陳代謝とは、体内のあらゆる成分が一定の期間で新しいものと入れ替わることです。骨の細胞も、毎日少しずつ新しいものと入れ替わっています。そのために、カルシウムとリンは毎日、必要な量が消費され、一定の量がリン酸カルシウムの形で体外に排出されます。このバランスを維持するためには、毎日、一定の量を新しく摂取しなければなりません。骨からカルシウムが溶け出すことで血中のカルシウム濃度を保っている状態の人が、カルシウムを摂取せずにいたら、骨はどんどんやせ細ってしまいます。1日に必要なカルシウムの量は、骨から出ていくのを阻止する分と思えばよいでしょう。

● どれくらい摂ればいいの?
骨は、主にカルシウムとリンの化合物であるリン酸カルシウムの一種、「ハイドロキシアパタイト」でできています。カルシウムもリンも、これに見合う量を摂らなければなりません。また、リンは骨だけでなく、ほかにもエネルギー生産などの重要な働きをしているので、骨の分より多く摂らなければなりません。

では、具体的にどれくらい摂ればいいのでしょうか。
  • カルシウムとリンの1日の推奨量、目安量
カルシウム:650mg (推奨量、女性18 歳以上)
リン:800mg (目安量、女性18 歳以上)
※日本人の食事摂取基準(2015 年版)
  • 目安摂取量を元にしたカルシウムとリンの比率
カルシウム:リン=1:1.2
※この比率は食事摂取基準の1日目安摂取量から算出したものです。カルシウムとリンの最適比率であるというエビデンスではありません。
● 牛乳に含まれるカルシウムとリンの比率に注目!
牛乳1本(200mL)に含まれるカルシウムとリンの量は次のとおりです。
  • カルシウム:227mg
  • リン:192mg
  • カルシウムとリンの比率=1:0.8
比率でいうと、リンは他の食品からもう少し摂る必要がありますね。

つまり、牛乳を飲んでリンを過剰に摂取する、ということはありえないのです。仮に、1日あたりのカルシウムを牛乳だけで摂ろうとすると、3本は飲まなければなりませんが、これだ
けの牛乳を飲んでもリンの目安量(800mg)にはぜんぜん届きません。
リンを過剰に摂取してしまうと、代謝のためにカルシウムもそれに見合った量が体外に排出されてしまうことはあるかもしれません。しかし、牛乳を1日3本飲んだところで、リンの目安摂取量に届かないのです。
そのような心配をする必要はまったくないということです。