ウワサ4 牛乳のナトリウムはカルシウムを排出するから 牛乳を飲むと体内のカルシウム量が減る
牛乳を飲むと体内カルシウム量が減る、ということはありません。
● 牛乳はカルシウムの吸収率に優れている
カルシウムはもともと消化吸収率の低い栄養素ですが、牛乳の場合、牛乳中のたんぱく質を消化するとき生じるカゼインホスホペプチド(CPP)、乳塩基性たんぱく質(MBP)や乳糖のはたらきによってカルシウムの吸収率が高まります(カルシウムの吸収率は牛乳40%、小魚33%、野菜19%)。
牛乳を飲むと、カルシウムが効率良く摂取できます。体内のカルシウム量が減ることはありません。
● 牛乳のわずかなナトリウムが体内のカルシウム量を減らすことはない
ウワサのもとになった本には「2,300mgのナトリウムが腎臓から排出されると40.60mgのカルシウムが消失する」とあります。牛乳100g に含まれるナトリウムは、わずか41mg。上記の本に従えば、牛乳を100g飲むと約0.7mgのカルシウムが消失することになります。
しかし、牛乳100gには110mgのカルシウムが含まれており、牛乳のカルシウム吸収率を40%とすると44mgのカルシウムが体内に取り込まれることになります。ナトリウムによってたとえ0.7mgのカルシウムが排出されたとしても、体内には多くのカルシウムが残ります。
● 牛乳は体内のカルシウム量を増やす
日本人は食事中の食塩から1日約4,000mgのナトリウムを摂っています。栄養バランスの良い食事をしないと、カルシウム不足になってしまうかもしれません(実際に、日本人は慢性的にカルシウム摂取が不足しています)。
塩分を多く摂りがちな日本人にとって、食事に牛乳・乳製品を採り入れることは、カルシウムの摂取・蓄積につながります。牛乳を飲むと血液中のカルシウム濃度が上がります。すると、カルシトニンというホルモンの働きにより骨から出てくるカルシウムの量が少なくなり、カルシウムは骨に蓄積されます。
参考資料
・“ミネラル・微量元素の栄養学”, 鈴木継美, 和田孜編, 第一出版社, 1994, 73-297.
・上西一弘, 江澤郁子, 梶本雅俊ほか. 日本人若年成人女性における牛乳, 小魚(ワカサギ, イワシ), 野菜(コマツナ, モロヘイヤ, オカヒジキ)のカルシウム吸収率. 日本栄養・食糧学会誌. 1998, 51(5), 259 - 266.
・文部科学省, 日本食品成分表2010, 東京, 2010. 13. 乳類
・厚生労働省, 平成23年国民健康・栄養調査, 東京, 2011, 52
カルシウムはもともと消化吸収率の低い栄養素ですが、牛乳の場合、牛乳中のたんぱく質を消化するとき生じるカゼインホスホペプチド(CPP)、乳塩基性たんぱく質(MBP)や乳糖のはたらきによってカルシウムの吸収率が高まります(カルシウムの吸収率は牛乳40%、小魚33%、野菜19%)。
牛乳を飲むと、カルシウムが効率良く摂取できます。体内のカルシウム量が減ることはありません。
● 牛乳のわずかなナトリウムが体内のカルシウム量を減らすことはない
ウワサのもとになった本には「2,300mgのナトリウムが腎臓から排出されると40.60mgのカルシウムが消失する」とあります。牛乳100g に含まれるナトリウムは、わずか41mg。上記の本に従えば、牛乳を100g飲むと約0.7mgのカルシウムが消失することになります。
しかし、牛乳100gには110mgのカルシウムが含まれており、牛乳のカルシウム吸収率を40%とすると44mgのカルシウムが体内に取り込まれることになります。ナトリウムによってたとえ0.7mgのカルシウムが排出されたとしても、体内には多くのカルシウムが残ります。
● 牛乳は体内のカルシウム量を増やす
日本人は食事中の食塩から1日約4,000mgのナトリウムを摂っています。栄養バランスの良い食事をしないと、カルシウム不足になってしまうかもしれません(実際に、日本人は慢性的にカルシウム摂取が不足しています)。
塩分を多く摂りがちな日本人にとって、食事に牛乳・乳製品を採り入れることは、カルシウムの摂取・蓄積につながります。牛乳を飲むと血液中のカルシウム濃度が上がります。すると、カルシトニンというホルモンの働きにより骨から出てくるカルシウムの量が少なくなり、カルシウムは骨に蓄積されます。
参考資料
・“ミネラル・微量元素の栄養学”, 鈴木継美, 和田孜編, 第一出版社, 1994, 73-297.
・上西一弘, 江澤郁子, 梶本雅俊ほか. 日本人若年成人女性における牛乳, 小魚(ワカサギ, イワシ), 野菜(コマツナ, モロヘイヤ, オカヒジキ)のカルシウム吸収率. 日本栄養・食糧学会誌. 1998, 51(5), 259 - 266.
・文部科学省, 日本食品成分表2010, 東京, 2010. 13. 乳類
・厚生労働省, 平成23年国民健康・栄養調査, 東京, 2011, 52
そもそも・・・「体内のカルシウム」ってどのくらい?
体内のカルシウム量は、体重50kg の人で約1kg。その99%以上が骨と歯にあります。残り1%未満は血液や細胞の中にあります。
血液中のカルシウム濃度は、副甲状腺ホルモンなどのカルシウム濃度調節ホルモンのはたらきで厳格に管理され、ほぼ一定値(約10mg/dL)に保たれています。カルシウム摂取が多ければ骨に貯蔵し、血液中のカルシウムが不足すれば骨から取り出して使用しています。
このため、骨は「カルシウムの貯蔵庫」と呼ばれています。
血液中のカルシウム濃度は、副甲状腺ホルモンなどのカルシウム濃度調節ホルモンのはたらきで厳格に管理され、ほぼ一定値(約10mg/dL)に保たれています。カルシウム摂取が多ければ骨に貯蔵し、血液中のカルシウムが不足すれば骨から取り出して使用しています。
このため、骨は「カルシウムの貯蔵庫」と呼ばれています。
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ウワサ4 牛乳のナトリウムはカルシウムを排出するから 牛乳を飲むと体内のカルシウム量が減る (0.3MB)
ウワサ4 牛乳のナトリウムはカルシウムを排出するから 牛乳を飲むと体内のカルシウム量が減る (0.3MB)