冷たい北風にのってやってきたのは冬将軍。
その到来とともに、いよいよ本格的なカゼの季節もやってきました。
昔から「カゼは万病のもと」といわれますが、それは、カゼで弱ったカラダが合併症を起こしやすいことから。
カゼをこじらせる前に、日頃から対策をたてておくことが肝心です。
牛乳・乳製品を味方につけて、さぁ、さっそく冬を元気にのりきる対策を。
カゼをふきとばす知恵の数々を集めてご紹介します。
カゼをこじらせる前に、日頃から対策をたてておくことが肝心です。
牛乳・乳製品を味方につけて、さぁ、さっそく冬を元気にのりきる対策を。
カゼをふきとばす知恵の数々を集めてご紹介します。
気をつけて! こんな環境ではカゼウイルスが元気になるばかり
カゼの原因の約80%は、カゼウイルス。しかもその種類は200種類以上というから驚きです。
いったんカゼが治ったのにまたひいてしまうのは、いろいろなウイルスがあなたの周りを取り巻いているからなのです。
クシュン!カゼをひいたときも、世界中から親しまれてきたミルク
日本に、ショウガのくず湯や卵酒など、昔から家庭に伝わるカゼ対策があるように、世界中にもさまざまなカゼの民間療法が。
中でも、牛乳・乳製品を使ったカゼ対策を集めてみました。
ドクターからのワンポイントアドバイスも参考に、もしもカゼをひいてしまったときには、試してみるのもいいかもしれませんね。
ドクターからのワンポイントアドバイスも参考に、もしもカゼをひいてしまったときには、試してみるのもいいかもしれませんね。
あたためた牛乳に、お好みの量の砂糖やハチミツなどを加え、コニャックを入れたものを飲みます。ゆっくり、少しずつ飲んでいくとカラダがポカポカとあたたまって、ぐっすり眠れます。ほかにも、赤ワインを熱々にあたためてハチミツ、粒のままの黒こしょう、クローブを入れた飲み物も飲むそうです。
ドクターからのワンポイントアドバイス
牛乳とハチミツのおいしさの相性もバツグンですが、カゼをひいたときにはノドの痛みの緩和にも役立ちます。栄養豊富な牛乳に加え、ハチミツには消化機能や疲労の回復を助ける作用があり、さらにノドを潤して咳をやわらげてくれるのです。なので、くしゃみや咳でノドが痛めつけられるカゼのときには、特におすすめですね。
牛乳とハチミツのおいしさの相性もバツグンですが、カゼをひいたときにはノドの痛みの緩和にも役立ちます。栄養豊富な牛乳に加え、ハチミツには消化機能や疲労の回復を助ける作用があり、さらにノドを潤して咳をやわらげてくれるのです。なので、くしゃみや咳でノドが痛めつけられるカゼのときには、特におすすめですね。
あたためた牛乳に、レモン汁を加えます。さらにシナモンで香りづけをして、お好みの量のブランデーをたらしたらできあがり。レモンを加える分、少しヨーグルトのような風味になります。ほかにも、アグアルデンテ(ポルトガルのぶどうの焼酎のようなもの)を入れて飲むこともあります。
ドクターからのワンポイントアドバイス
ビタミンCが豊富なレモン汁はカラダの免疫機能を活性化してくれます。さらに加えるシナモンはカラダを芯からあたため、カゼの寒気を散らしてくれます。ブランデーも加えることでカラダをあたためる力が増加し、寒気をふきとばしてくれるでしょう。お酒が苦手な人はブランデーを抜いても十分です。
ビタミンCが豊富なレモン汁はカラダの免疫機能を活性化してくれます。さらに加えるシナモンはカラダを芯からあたため、カゼの寒気を散らしてくれます。ブランデーも加えることでカラダをあたためる力が増加し、寒気をふきとばしてくれるでしょう。お酒が苦手な人はブランデーを抜いても十分です。
外気温が零下にもなる寒い国ロシア。カゼのひきはじめにはウォッカにこしょうを入れて飲んだり、木イチゴやツルコケモモがカゼにいいといわれています。ノドが痛いときには、牛乳を熱くあたため、バターと重曹を入れて飲むこともあるそうです。
ドクターからのワンポイントアドバイス
寒い地方では、カラダをあたためる作用をもつ飲み物や香辛料がよく食卓にのぼります。ウォッカを飲むのはロシアらしいですね。こしょうを加えることでお腹があたたまり、寒気も消えることでしょう。また抵抗力回復にはビタミンやミネラルが豊富な食品は効果的なので、木イチゴや牛乳などの摂取はうなずける選択です。
寒い地方では、カラダをあたためる作用をもつ飲み物や香辛料がよく食卓にのぼります。ウォッカを飲むのはロシアらしいですね。こしょうを加えることでお腹があたたまり、寒気も消えることでしょう。また抵抗力回復にはビタミンやミネラルが豊富な食品は効果的なので、木イチゴや牛乳などの摂取はうなずける選択です。
プレーンヨーグルトに、シベットやナナと呼ばれるアフガニスタンのハーブを加えて混ぜます。小麦粉で作ったうどんのような麺をゆでて、熱い麺の上にハーブ入りのヨーグルトをかければできあがりです。食べるとカラダがあたたまり、食欲が落ちているときも食べやすいのだとか。
ドクターからのワンポイントアドバイス
食べる漢方薬ともいわれる香味の強いハーブの多くは、カゼの治療にもよく使われています。ウイキョウやシナモン、ニクズクなどはカラダをあたため寒気を追い出し、ハッカやスイカズラ、シソの葉や花はカラダの炎症を抑え、ノドの痛みなどを軽減します。ヨーグルトは免疫力を高めるのにぜひ取りたい食品のひとつです。
食べる漢方薬ともいわれる香味の強いハーブの多くは、カゼの治療にもよく使われています。ウイキョウやシナモン、ニクズクなどはカラダをあたため寒気を追い出し、ハッカやスイカズラ、シソの葉や花はカラダの炎症を抑え、ノドの痛みなどを軽減します。ヨーグルトは免疫力を高めるのにぜひ取りたい食品のひとつです。
牛乳・砂糖・ショウガを入れたミルクティー。ふだんから飲みますが、カゼのときは、さらにショウガをたっぷり入れて飲みます。また、南北に広いインドでは地域により対処法にも特色が。北部インドでは、ミルクから生バターを作り、これを液状になるまであたため、胸に塗ってマッサージする方法があります。
ドクターからのワンポイントアドバイス
ハーブ医学の発達したインドでよく使われるのがショウガ。初期のカゼに対してあなどれない作用をもっています。カゼで低下した食欲を回復し、免疫力を高め、軽い発汗作用でカゼを汗といっしょに追い出してくれます。また、あたためて溶かしたバターを使った胸部マッサージは、カゼで衰えた呼吸機能の回復に一役かいます。
ハーブ医学の発達したインドでよく使われるのがショウガ。初期のカゼに対してあなどれない作用をもっています。カゼで低下した食欲を回復し、免疫力を高め、軽い発汗作用でカゼを汗といっしょに追い出してくれます。また、あたためて溶かしたバターを使った胸部マッサージは、カゼで衰えた呼吸機能の回復に一役かいます。
南半球のオーストラリアは夏を迎えている頃。こちらでは、熱くあたためた牛乳にラム酒を入れたものを飲みます。また、同じく熱くあたためた牛乳に生卵の黄味を入れて、ぐるぐるとかき混ぜて飲んだりもします。どちらもカラダがあたたまります。
ドクターからのワンポイントアドバイス
カゼの回復にたんぱく質は重要な栄養素です。そして、カラダをあたためるラム酒は、寒い地方ではカゼの寒気を取り除き、あたたかい地方では初期のカゼをうっすらとかく汗といっしょに体外に追い出してくれます。気候は違っても「汗とともにカゼを体外に追い出す」対処法であることは同じで、漢方では「汗法による治療」と呼んでいます。
カゼの回復にたんぱく質は重要な栄養素です。そして、カラダをあたためるラム酒は、寒い地方ではカゼの寒気を取り除き、あたたかい地方では初期のカゼをうっすらとかく汗といっしょに体外に追い出してくれます。気候は違っても「汗とともにカゼを体外に追い出す」対処法であることは同じで、漢方では「汗法による治療」と呼んでいます。
参考サイト(一部)〉ヘルス・スクランブル http://www.health.co.jp/
古くから医薬として考えられていたミルク
■その昔、中国でも薬効をうたわれた牛乳
元の時代に、天子の健康を増進し、病を防ぎ、不老長生を目的としてまとめられた著書「飲膳正要(いんぜんせいよう)」の中に、牛乳の薬効について記されています。牛乳を材料のひとつに作る、不老長生の妙薬「地仙煎(ちせんせん)」は骨を堅固にするとされています。牛乳に含まれる豊富なカルシウムの効果について、知っていたのでしょう。また、明の時代の李時珍の著「本草綱目(ほんぞうこうもく)」には、牛乳を煎じて作ったものがときの帝の病をいやしたことが書かれています。
ちなみに、旧字で「体」は「體」と書きます。つまり「豊」かな「骨」がカラダをつくると考えていたのです。不老長生も、まず丈夫な骨があってこそ。毎日元気に暮らすことができるのです。この考えは、今に通じるものかもしれませんね。
■人のカラダをよくする薬として、日本へ
日本の文化は古くから大陸の文化に強く影響を受けてきました。日本における古典的医薬も同様でした。
かつて飛鳥の時代、仏教が日本に伝来した頃、朝鮮半島に遠征した大伴狭手彦(おおともの さでひこ)が、百済国にいた智聡(ちそう)という人物をつれて帰国しました。そのとき智聡は、仏像のほかに教典や医薬書もいっしょにもってきました。その中に「神農本草経集注(しんのうほんぞうきょうしっちゅう)」などがあり、牛乳の薬効や乳牛飼育法が書かれていたことで、日本人が牛乳について知ることとなったのです。智聡の子である善那(ぜんな)が、孝徳天皇の時代にはじめて牛乳を献上しました。孝徳天皇は牛乳を飲んで大いに喜び、牛乳は人のカラダをよくする薬であり、善那はそれを管理するものとして「和薬使主(やまとくすりのおみ)」の姓を贈られました。その後、牛乳や乳の加工品である蘇は重要視され、特に蘇は貢納の対象となるほどに。それは、天皇や貴族など一部の人にのみ許された、貴重な食べ物でした。
牛乳・乳製品で抵抗力アップ カゼをひきにくいカラダに
カゼウイルスからカラダを守る免疫
カゼの正式名称は「カゼ症候群」。おもにカゼウイルスが原因で起こる呼吸器系の病気の総称で、上気道の急性炎症です。
カゼの感染ルートはほとんどが飛沫感染で、カゼの人が1回くしゃみをすると10万個もの飛沫が飛び散るといいます。そのばらまかれたウイルスを直接吸い込んだり、ウイルスがついたものを手で触れたりして間接的に感染していくのです。
このようにカゼウイルスはいつも空中を浮遊していますが、ウイルスを吸い込んでもカゼがうつらないのは、人のカラダには侵入したウイルスを排除する力、「免疫」が備わっているから。
免疫には、もともと備わっている自然免疫と、感染後に獲得する獲得免疫があります。まず侵入しようとするウイルスを、皮膚、鼻毛、鼻粘膜、鼻腔、ノド、喉頭、気管・気管支、それぞれの箇所がバリアとなって機能します。
そしてもし体内に入り込んでも、免疫力がウイルスの増殖を阻止するのです。
そしてもし体内に入り込んでも、免疫力がウイルスの増殖を阻止するのです。
寝不足や疲労、不規則な食生活などで免疫力が落ちていると、カゼをひいたり、こじらせたりするのはこのためです。
食事で免疫力を高めてカゼ予防
免疫強化に重要なのは、免疫細胞や抗体の材料になるたんぱく質の存在。不足すると、免疫に大切な抗体やウイルスを殺す働きをもつNK細胞が減少してしまいます。
免疫機能を高める働きは、動物性たんぱく質の方が効果大。牛乳はアミノ酸スコア100の、良質な動物性たんぱく質を含んだ食品ですから、カゼ予防に期待大です。
たとえば、休憩時間やだんらんの時間に、ホットミルクでほっと一息するだけで、リラックスしながらカゼ予防もできそうです。
たとえば、休憩時間やだんらんの時間に、ホットミルクでほっと一息するだけで、リラックスしながらカゼ予防もできそうです。
そして、粘膜強化に欠かせないのが、牛乳・乳製品にも含まれているビタミンA。ビタミンAは白血球の働きも活性化するので自然免疫・獲得免疫の両面からカゼのブロックに役立ちます。
また、ビタミンCもとても大切な栄養素。カラダの免疫システムの維持に欠かせないビタミンで、抗ストレス作用に優れているのも特徴です。
ただ牛乳・乳製品にはビタミンCが少ないので、フルーツや野菜と組み合わせると、よいカゼ対策メニューになるでしょう。
カゼをこじらせたときにもミルクを活用
食後服用のタイプが多いカゼ薬。食欲がないときには、牛乳やヨーグルトを少量でも胃に入れて、しばらくしてから薬を飲むと胃粘膜を守ってくれます。
ただし、薬を牛乳で飲むことは避けましょう。発熱したときは、汗も多くかきますから、水分補給には気をつけたいもの。
ただし、薬を牛乳で飲むことは避けましょう。発熱したときは、汗も多くかきますから、水分補給には気をつけたいもの。
そんなときには、栄養補給も兼ねて、栄養バランスに優れた牛乳をあたためて飲むとよいでしょう。ただ、お腹にくるカゼの場合は、合わない人もいるので気をつけて。
熱のカゼのときには、アイスクリームもおすすめ。栄養補給もできますし、食べ過ぎなければカラダを冷やすこともなく、症状をしばらく緩和してくれます。
まずはカゼをひかないために、日頃から栄養バランスの取れた食生活を送ることが肝心。カゼ予防にも、早く治るための体力づくりにも、ぜひ牛乳・乳製品を活用してみてくださいね。
ワンポイントコラム 牛乳成分の感染防御機能、免疫系調整機能にもご注目!
牛乳中には、免疫グロブリンと呼ばれるたんぱく質が含まれていて、細菌やウイルスがカラダに侵入するのを阻止する働きがあります。
また、病原菌と戦う抗体をつくり出したり、リンパ球などの免疫細胞を増殖させたり、病原菌の増殖を防ぐなど、免疫系を強化する働きがあるのです。
ミルクでカゼ対策レシピ おいしくカゼをふきとばそう!
リンク先に詳しいレシがあります。
予防 まずカゼをひかないために!ヨーグルトで免疫力アップ、感染予防
ひきはじめ カゼのひきはじめに!カラダをあたため、ノドの痛みをケア
治りかけ 治りかけたらしっかり養生!カラダをいやしながらきちんと栄養補給
[監修] 小菅孝明さん
小菅メディカルグループ代表院長。
平成元年 東邦大学医学部大学院修了、医学博士。現在東邦大学理学部非常勤講師、済生会神奈川県病院血液内科、横浜市立大学附属市民総合医療センター総合内科外来、昭和薬科大学非常勤講師、上海中医薬大学附属日本関西校客員教授を兼任。 日本東洋医学会専門医・指導医。監修した本に「健康を科学する さよなら!不快症状 知って安心かぜ対策」(旬報社)がある。
平成元年 東邦大学医学部大学院修了、医学博士。現在東邦大学理学部非常勤講師、済生会神奈川県病院血液内科、横浜市立大学附属市民総合医療センター総合内科外来、昭和薬科大学非常勤講師、上海中医薬大学附属日本関西校客員教授を兼任。 日本東洋医学会専門医・指導医。監修した本に「健康を科学する さよなら!不快症状 知って安心かぜ対策」(旬報社)がある。
j-milk magazine ほわいと 2006冬号より