骨がスカスカになってしまう骨粗しょう症。お年寄りの病気と思われがちですが、最近は若い人の間に予備軍が増えています。
やせたい女性が増えるなか、さまざまなダイエット法が登場しています。
でも、減量ばかりを考えた無理なダイエットが体によくないことは周知のとおり。
2005年2月3日、東京・大手町で開催された「メディアミルクセミナー」で辻学園中央研究室の広田孝子先生から、牛乳をダイエットに取り入れると、骨や筋肉を減らさずに体脂肪を効果的に減らすことができるとの報告がありました。
日本では数少ない、若い女性を対象にしたダイエット研究の成果です。
今回はヘルシーな「牛乳ダイエット」に注目してみましょう。
ダイエットの本当の目的は体脂肪を減らすこと
年齢を問わずダイエットに関心を持つ現代の女性には、「やせる=きれいになる」というイメージがあるようです。
国民栄養調査によると、男性や子供には肥満が増えつつあるのに対し、実は若い女性では、この20年ほどのあいだ肥満の人の数はほとんど横ばいで、むしろ「やせ」の人が増えています。それにもかかわらず、自己評価では「太っている」「少し太っている」と思っている人が増え続けているのです。
肥満の人にダイエット願望があるのは分かりますが、20歳代の女性では、最も健康的な標準体型の人でも、半数以上がダイエットをしたいと考えているのです。
でも、むやみな減量は思わぬ危険をはらんでいるのです。
国民栄養調査によると、男性や子供には肥満が増えつつあるのに対し、実は若い女性では、この20年ほどのあいだ肥満の人の数はほとんど横ばいで、むしろ「やせ」の人が増えています。それにもかかわらず、自己評価では「太っている」「少し太っている」と思っている人が増え続けているのです。
肥満の人にダイエット願望があるのは分かりますが、20歳代の女性では、最も健康的な標準体型の人でも、半数以上がダイエットをしたいと考えているのです。
でも、むやみな減量は思わぬ危険をはらんでいるのです。
無理な減量をすると骨まで軽くなる
「肥満」とは、本来、体脂肪が多くなりすぎた状態をいいます。普通、肥満ややせの判定には、身長と体重から求めた BMIという体格指数が目安にされています。しかし、当然のことながら、体重には、脂肪ばかりでなく骨や筋肉も含まれています。いわばこれらの総重量ですから、その数値だけでは内訳がわかりません。
体格指数からすれば肥満に分類される人でも、余計な体脂肪がなく筋肉の発達したスポーツ選手などは、肥満とは言えません。一方、体格指数では肥満にあたらない人でも、筋肉が少なく体脂肪率の高い人は、いわゆる「隠れ肥満」です。
ダイエットの本当の目的は、増えすぎた体脂肪を減らすことにあるのですが、ただ体重を減らすと、骨量や筋肉量まで減らすことになりかねません。
実際、若い女性のダイエット回数と骨密度の関係を調査した結果でも、ダイエットを3回以上繰り返した人では5人に1人が更年期並の低骨密度でした。
女性は閉経に伴う女性ホルモンの減少とともに骨密度が急速に下がり、骨粗鬆症になりやすいのです。骨密度の低下が始まる44~50歳の中年女性を調べた研究でも、減量した人のほうが、骨密度の低下が大きいというデータがあります。
一生懸命減量することが、結果として骨の老化を促進させる——ダイエットで骨粗鬆症予備軍に加わりたくはありませんよね。
※1 BMI=正式名称はボディ・マス・インデックス。
体重(kg)÷身長(m)2で割り出されるこの数値により、肥満度が4段階に分けられる。
※2 DXA法=Dual Energy X-Ray Absoptiometryの略。
極微量の2種類のX線を照射することで、体組成を細分化測定して骨密度・体脂肪率などを高精度に測定できる方法として、近年医学界の主流となりつつある。
体格指数からすれば肥満に分類される人でも、余計な体脂肪がなく筋肉の発達したスポーツ選手などは、肥満とは言えません。一方、体格指数では肥満にあたらない人でも、筋肉が少なく体脂肪率の高い人は、いわゆる「隠れ肥満」です。
ダイエットの本当の目的は、増えすぎた体脂肪を減らすことにあるのですが、ただ体重を減らすと、骨量や筋肉量まで減らすことになりかねません。
実際、若い女性のダイエット回数と骨密度の関係を調査した結果でも、ダイエットを3回以上繰り返した人では5人に1人が更年期並の低骨密度でした。
女性は閉経に伴う女性ホルモンの減少とともに骨密度が急速に下がり、骨粗鬆症になりやすいのです。骨密度の低下が始まる44~50歳の中年女性を調べた研究でも、減量した人のほうが、骨密度の低下が大きいというデータがあります。
一生懸命減量することが、結果として骨の老化を促進させる——ダイエットで骨粗鬆症予備軍に加わりたくはありませんよね。
※1 BMI=正式名称はボディ・マス・インデックス。
体重(kg)÷身長(m)2で割り出されるこの数値により、肥満度が4段階に分けられる。
※2 DXA法=Dual Energy X-Ray Absoptiometryの略。
極微量の2種類のX線を照射することで、体組成を細分化測定して骨密度・体脂肪率などを高精度に測定できる方法として、近年医学界の主流となりつつある。
骨や筋肉を減らさずに体脂肪を減らす
ダイエット中の食事は、エネルギーは抑えながらバランスよく栄養を摂るのがポイントです。特にカルシウムを充分に摂ることが大切。なぜならそれは、食事制限によりカルシウムが最も不足しやすい栄養素だからです。
もちろん骨を丈夫に保つためにも、カルシウムは欠かせません。
欧米での肥満者におけるダイエットの研究では、カルシウムをしっかり摂ったほうが、体重減少が多いことが報告されています。なかでも、牛乳・乳製品によるカルシウム摂取は効果的と言われています。
実際、若い女性がダイエットをするときにカルシウムを多く含む牛乳や乳製品を摂ると、骨や筋肉、体脂肪の変化はどう変わるのでしょうか。
最近では、骨密度の測定に用いられている DXA法により、骨ばかりでなく体脂肪や筋肉の量も正確に測定できるようになりました。これにより、体重の増減に伴う体の組成の変化も把握できます。体重が増えたとき、その人の体重は何で増えたのか。減量したとき、減ったのは何なのかがはっきり分かるようになったわけです。
広田先生はこのDXA法を利用して、ダイエットによる体の組成変化と牛乳摂取のかかわりを調べています。
もちろん骨を丈夫に保つためにも、カルシウムは欠かせません。
欧米での肥満者におけるダイエットの研究では、カルシウムをしっかり摂ったほうが、体重減少が多いことが報告されています。なかでも、牛乳・乳製品によるカルシウム摂取は効果的と言われています。
実際、若い女性がダイエットをするときにカルシウムを多く含む牛乳や乳製品を摂ると、骨や筋肉、体脂肪の変化はどう変わるのでしょうか。
最近では、骨密度の測定に用いられている DXA法により、骨ばかりでなく体脂肪や筋肉の量も正確に測定できるようになりました。これにより、体重の増減に伴う体の組成の変化も把握できます。体重が増えたとき、その人の体重は何で増えたのか。減量したとき、減ったのは何なのかがはっきり分かるようになったわけです。
広田先生はこのDXA法を利用して、ダイエットによる体の組成変化と牛乳摂取のかかわりを調べています。
ダイエットにコップ1杯の牛乳を
実験に参加したのは、やせ願望を持つ平均年齢23歳の女性たち。BMIは平均21.1と、普通の体型の人です。ただ、今の若い女性たちには、BMIは低くても体脂肪率の高い人が多く、体重の割にウエストが太かったり、ウエストのくびれがはっきりしないような人がよく見られます。
こうした女性たちが、薬やサプリメント、特殊なダイエット法に頼らず、食事と運動による基本的なダイエットを4か月間行いました。
参加者を2つのグループに分け、一方には、1日1回、食事の前に牛乳(低脂肪乳)を200ml飲んでもらいました(牛乳摂取群)。もう一方には、特に決まりを設けていません(対照群)。
共通して指導が行われたのは、3食きちんと食事を摂りなるべく間食はしない、運動をするなどを心がけ、体重グラフと食事記録を毎日つけることです。
4ヶ月後の体重は、牛乳摂取群も対照群もほとんど差がなく、約1kg減でした。しかし、DXA法で調べると、その内容には違いのあることがわかりました(図1)。
無理をしない減量だったので、どちらも骨量にはほとんど変化がありませんでしたが、対照群では、減った体重の3分の2近くが筋肉だったのに対し、牛乳摂取群では、筋肉はむしろ増え、体脂肪が大きく減少していたのです。
そのうえ、牛乳摂取群ではウエストが3.6cm減と、対照群1.1cm減の3倍以上という結果になり、予想外の差に喜ぶことになりました(図2)。
こうした女性たちが、薬やサプリメント、特殊なダイエット法に頼らず、食事と運動による基本的なダイエットを4か月間行いました。
参加者を2つのグループに分け、一方には、1日1回、食事の前に牛乳(低脂肪乳)を200ml飲んでもらいました(牛乳摂取群)。もう一方には、特に決まりを設けていません(対照群)。
共通して指導が行われたのは、3食きちんと食事を摂りなるべく間食はしない、運動をするなどを心がけ、体重グラフと食事記録を毎日つけることです。
4ヶ月後の体重は、牛乳摂取群も対照群もほとんど差がなく、約1kg減でした。しかし、DXA法で調べると、その内容には違いのあることがわかりました(図1)。
無理をしない減量だったので、どちらも骨量にはほとんど変化がありませんでしたが、対照群では、減った体重の3分の2近くが筋肉だったのに対し、牛乳摂取群では、筋肉はむしろ増え、体脂肪が大きく減少していたのです。
そのうえ、牛乳摂取群ではウエストが3.6cm減と、対照群1.1cm減の3倍以上という結果になり、予想外の差に喜ぶことになりました(図2)。
牛乳を活かしてヘルシー・ダイエット
この実験で牛乳摂取群の人たちに求められたのは、必ず1日1回、食事の前に牛乳200mlを飲むことだけです。対照群の人も牛乳を飲んでいけないわけではありませんが、コップ1杯の牛乳を毎日飲むことを習慣づけるだけで、これだけの差が生じたことになります。
もう1つのポイントは、牛乳を食前に飲んでいることでしょう。
空腹感が減って、食べる量を抑えやすかったことが考えられます。
お酒を飲む人では、食前に牛乳を飲むと、お酒の量を抑えるとともに、アルコールを吸収しにくくする効果も期待できます。
牛乳を飲む習慣は、骨や筋肉を減らさずに余分な体脂肪を減らす——そんなヘルシー・ダイエットの強い味方になってくれそうです。
もう1つのポイントは、牛乳を食前に飲んでいることでしょう。
空腹感が減って、食べる量を抑えやすかったことが考えられます。
お酒を飲む人では、食前に牛乳を飲むと、お酒の量を抑えるとともに、アルコールを吸収しにくくする効果も期待できます。
牛乳を飲む習慣は、骨や筋肉を減らさずに余分な体脂肪を減らす——そんなヘルシー・ダイエットの強い味方になってくれそうです。
ほわいと(2005春)より