運動能力を高める栄養学とは?

ミルクでヘルスケア

スポーツと栄養ここが気になる!

4年に一度のスポーツの祭典にわく今年の夏。
応援にも力が入りますが、スポーツ好きの人や、未来の選手を目指すこどもたちは、自らプレイするうえでも刺激を受けるのでは?

今回は、そんな人たちに向けて、プロサッカーチームやオリンピック選手の栄養サポートなどで活躍中のスポーツ栄養学の専門家、橋本玲子さんに栄養面からカラダをつくるポイントについて詳しく教えていただきました。
さあ、今日からさっそくはじめましょう!

「スポーツするカラダ」をつくるために食事でできること

健康づくりの基本を追究する「スポーツ栄養学」

「スポーツ栄養学」というと、アスリートのための特別なものというイメージがあると思いますが、基本は健康を目指す一般の人の食べ方と同じ。欧米では、スポーツ栄養学はアスリートだけでなく一般の人にも広く知られています。

「運動」「栄養」「休養」は健康のために切り離せないもの。「運動と食事・栄養」の関係を科学的に追究する、競技力向上だけでなく健康増進にも役立つ栄養学なのです。

日本での認知・浸透はこれからですが、みなさんにより強いカラダをつくるための正しい食べ方を伝えていくことがスポーツ栄養学の役割だと思います。

丈夫なカラダづくりの第一歩「食生活7つのルール」

食生活7つのルールは、カラダをつくるうえでまず実践してほしいこと。基本は「1日3食、バランスよく食べる」です。最近は特に朝食を取らないこどもが多く、食べたとしてもおにぎりやトーストだけ。そうすると、つい早弁や間食をしてしまいます。生活やカラダのリズムを整えるためにも、朝食をしっかり取るようにしましょう。きちんと習慣づくと、集中力が高まり、疲れも取れやすくなります。

バランスのよい食事の基本は、主食、主菜、副菜、汁物。これは家でも外食でも共通です。コンビニで買うなら、サンドイッチにゆで卵をプラスして、サラダと牛乳をつけるという感じです。食事で取りきれない果物や牛乳・乳製品はおやつなどで積極的に取り入れましょう。

食生活をきちんとして、当たり前のことを毎日しっかり続ける人ほど、現役選手としても長く活躍できています。食べたものが日々カラダと心を養うのだと、改めて認識してほしいですね。7つのルールを、ぜひ食生活を見直すヒントにしてください。

成長期こそ、十分な栄養で体力づくり

小中学生は成長期にあたり、筋肉や骨が発育するため、エネルギーや栄養素は、体重当たりで換算すると成人以上に必要。特にカルシウム、鉄、食物繊維は不足しがちです。

また、筋肉づくりのためにたんぱく質が一番大切と考えるこどももいますが、必要なエネルギーが摂れないことの方が心配。不足すると筋肉の材料となるたんぱく質がエネルギーとして消費されてしまうので、まずごはんやパンをしっかり食べて十分にエネルギーを確保することです。

女子は小学校4、5年生くらいから体脂肪が増えだすので、「ごはんなどの炭水化物を食べると太る」と気にするかもしれませんが、むしろ逆です。炭水化物は、活動時に優先的にエネルギーとして消費されるので、食品自体に脂肪が含まれる肉や魚を取り過ぎるよりも、エネルギーの過剰摂取を抑えることができるのです。

スポーツをするこどもは、小学生のうちは基礎的な技術を習うのが主ですが、中学生からは持久力も求められます。より意識して栄養素が不足しないようにしましょう。

強い骨が「負けないカラダ」をつくる

よく「当たり負けしないカラダになりたい」と中学生くらいのこどもたちがいうのですが、そのためには筋肉やカラダ全体を支えている骨を強くすることが肝心。

丈夫な骨をつくるには、やはりカルシウムです。

1日に必要なカルシウムは約600~1000mg(小中学生男子の場合)なので、吸収率の優れた牛乳や乳製品でまず必要な量を摂取して、あとはそれ以外の食品で補うようにします。

牛乳はカルシウムのほか、たんぱく質やさまざまなビタミン、ミネラルも摂れるので、丈夫な骨や筋肉を効率よくつくるのに効果的です。1日にコップ2~3杯は必ず飲んでほしいものです。

スポーツするカラダづくりに補食を活用!

補食とは、運動の前後などに食べる軽食のこと。
一度の食事でおとなほど食べられないこどもにとっては、必要な栄養素を補う役割もあります。
運動前に食べれば運動中の集中力を高める効果がねらえ、運動後なら疲労回復を早める効果があります。

選ぶなら、脂肪の少ないものを

補食にはおにぎりなど、運動のエネルギー源になるものを。あとは食事で補いきれない栄養素の豊富なものを選びましょう。

牛乳やヨーグルト、フルーツ、ぶどうパンなどは不足しがちなカルシウムや鉄、食物繊維が補えるのでおすすめです。

消化に時間がかかる脂肪の多いものは避けましょう。こどもにはアメリカンドックやスナック菓子などが人気のようですが、これらはごほうびくらいに考えましょう。

補食はタイミングと量が大切

「補食は運動前と後の両方必要ですか?」と聞かれますが、お腹が空いていなければ必要ありません。運動が終わってから軽くエネルギーと水分を補いましょう。

小中学生であれば、運動の1~2時間前、または運動直後にパン1個と牛乳1杯(200ml)程度を取るのが理想的です。

いずれも食べ過ぎてトレーニングや夕食に響かないように注意。体調やお腹の具合をみて決めましょう。

「楽しく食べる」ことは「バランスよく食べる」ことと同じくらい大切!

練習後は疲れて食欲がなくなり、必要な食事の量を食べきれないことがあります。また、専用の食堂でバランスのよい食事が取れる選手ばかりでなく、仕出し弁当や外食で済ませたり、コンビニで買わないといけない選手もいます。トレーニングに見合っただけのエネルギーや栄養素を摂ることは、意外と難しいのです。

スポーツ選手を目指すこどもには、まず「しっかり食べられるカラダ」づくりが何より大事だと思います。おとなになってから食生活を改善したり、たくさん食べる習慣をつけるのはとても大変です。

また、すべての人にいえることですが、食事が義務にならないよう、こどもの頃から食べることを楽しめる、好きになる習慣づけが何より大切です。楽しい食事は会話やコミュニケーションから。一週間に一度でも家族で食卓を囲んで、食事が楽しいと思える環境を整えてあげてほしいものです。

もっと強いカラダになりたいから 教えて! 運動にプラスの食べ方

スポーツをしていると自己管理が必要な場面も多く、さまざまな疑問が出てくるもの。
橋本さんが、スポーツ栄養でよくある質問について、わかりやすくお答えします。

Q.疲労回復を早める食事法が知りたい!

A.運動後2時間以内を目安に食事を取るのがコツです。

疲れをもち越さないためには、運動で使ったものを少しでも早くカラダに戻してあげることが肝心です。
炭水化物と、たんぱく質をきちんと摂る
これらは運動で失われたエネルギーを補ったり、筋肉の修復をするのに欠かせません。疲れて食欲がない時は、うどんなどのさっぱりしたメニューがよいでしょう。
不足しがちな野菜、果物、キノコ、海藻、イモ類も積極的に食べる
ビタミンやミネラルがエネルギーの代謝を助けるので、野菜はしっかり食べましょう。
家族で、楽しみながら食事をする
何より大事なのは、楽しみながら食べること。みんなで楽しく食べれば、疲れも吹き飛びますよ。

Q.サプリメントって、摂った方がいいの?

A.子どもには特に必要ありません。基本は毎日の食事です。

トップクラスの選手ともなれば、コンディションを維持するためにサプリメントを利用する人もいますが、成長期の子どもには必要ありません。
むしろ、3度の食事で主食、主菜、汁物をちゃんと食べているか、果物も食べているかといったことを見直し、改善する方が大事です。

自分で勝手に摂ると、過剰摂取などによってかえって体調を崩しかねません。
強いカラダをつくるためには、成長期に正しい食習慣を身につけることが何より大切だということを忘れないようにしましょう。

Q.すぐバテちゃって・・・。どうしたらいいの?

A.炭水化物、ビタミンB群、鉄など、持久力に必要な栄養素を十分に摂って。

持久力をアップさせるには、エネルギー源になる「炭水化物」、炭水化物と脂肪を効率よくエネルギーに変えてくれる「ビタミンB群」、酸素の運搬に欠かせない「鉄分」をしっかり摂ること。
牛乳・乳製品は手軽に食べられるうえ、ビタミンB群やたんぱく質などをバランスよく含んでいるのでおすすめです。

また、夏は消化機能が落ちてバテやすいもの。一度に食べられない時は、小分けにして少しずつ食べるのもひとつの方法です。
酢やカレー粉などを活用して、食欲を増進させるのもおすすめ。

そうめんなどの単品で済ませると、エネルギーは摂れても体内でうまく代謝されないので、野菜やゆで卵をのせたりして、ビタミンやたんぱく質もあわせて摂れるメニューを心がけましょう。
運動前後はこまめに水分補給を行うことも忘れずに。 

Q.明日は試合。実力を発揮するためのメニューを教えて!

A.生ものや脂肪を控え、炭水化物を積極的に摂る献立に。

当日の朝は緊張して食べられない場合もあるので、前日の夕食には気をつかって。生ものや、腸内にガスのたまりやすい根菜類や生野菜、胃に負担をかける脂肪は控え、穀類やイモ類などで、炭水化物を積極的に摂るようにします。

牛乳に含まれるカルシウムは神経の興奮を抑えてくれるので、試合前夜に緊張して眠れない時は、ホットミルクなどを飲んでみるのもいいですね。

当日は、食事のタイミングも大切。試合開始3時間前くらいまでに、消化がよく炭水化物が豊富なものを補食として取りましょう。

Q.牛乳をたくさん飲むアスリートがいるっていうけど、何がいいの?

A.さまざまな栄養素が効率的に摂れるほか、骨や筋肉づくりにも役立ちます。

ここがうれしい! 運動時における牛乳の効果
  • 強い骨をつくるために必要なカルシウムを効率的に補給できる。
  • 運動前に飲むと、アミノ酸が筋肉の消耗を抑えてくれる働きがある。
  • 運動後に飲むと、失われた水分やたんぱく質が補給できて筋肉の回復が早まる。

日本では、運動後はスポーツドリンクやオレンジジュースなどのさっぱりしたドリンクが好まれますが、アメリカでは、運動後に選手に牛乳を飲ませるところが増えているようです。

水分やたんぱく質、炭水化物だけでなく、汗とともに失われるカルシウムやカリウムも補給でき、理にかなっていると話題に。イチゴやチョコレートなどのフレーバーをつけたものが人気ですね。

丈夫なカラダをつくり、よいプレイをするためにも、牛乳を水分補給や補食などに計画的に取り入れましょう。

ちなみに、「水分補給には、やっぱりスポーツドリンクがいいの?」ともよく聞かれますが、1時間くらい軽くカラダを動かす程度であれば水や麦茶で十分。
ただ、特に夏場、体育館などの暑いところで長時間カラダを動かす時は、スポーツドリンクのような電解質の入ったものを、食事に響かない程度に利用するといいでしょう。

監修

アメリカ栄養士会会員(インターナショナルメンバー)
日本栄養士会会員(国際交流委員)
日本臨床栄養協会サプリメントアドバイザー

管理栄養士の資格を取得後、「(有)橋本玲子ダイエットコンサルテーションズ」を設立。欧米の健康と栄養に関する情報を集め、日本人の生活習慣に合った食生活の提案・普及に努める。トリノオリンピックではフリースタイルスキー上村愛子選手をサポート。また、プロサッカーチームや社会人ラグビーチームの栄養アドバイスや講演活動などで、幅広く活躍中。

食欲をそそる日本料理レシピ MILK×日本料理人村田明彦さん ミルクと和の味わいが織りなす夏の食卓

暑さの厳しい夏は、日本料理のさっぱりしたおいしさがうれしいもの。
慣れ親しんだ和の味わいにミルクのコクやうまみを加えて、夏の食卓に新しいおいしさを取り入れてみませんか?
今回は、老舗日本料理店「なだ万」で修行を積まれた、創意に富む日本料理人 村田明彦さんに、簡単に作れて、しかもミルクと和の風味が見事に合わさった料理を教えていただきました。

私ならミルクをこうアレンジ!

ミルクは和食に主役で使われることが少ないこともあり、和食に合わないと思っている人もいるのでは? 洋の味わいだけでなく、和の味わいとも牛乳・乳製品は好相性。加えることで、和食の味わいに独特のコクや洋の風味が合わさり、料理にさらなる奥行きが生まれます。ミルクでひと味違った和食のおいしさを楽しんで。
みそは、ミルクととても相性がいい調味料。独特の風味がミルクのうまみとマッチして、お互いの味わいを引き立てます。チーズに合わせる場合は、塩分少なめの白みそがおすすめ。白みそをベースにほかのみそを合わせたり、香辛料をプラスするなどしてアレンジすると、いっそう味わい深いものに。
種類も味わいも多彩なチーズは、合わせて使うことでコクやうまみが深まります。これは和食に取り入れる時も同様。素材の持ち味やシンプルなうまみを楽しむ和食だからこそ、チーズの組み合わせの妙が料理にもいきてきます。味わいに特徴のあるナチュラルチーズもたくさん出回っているので、好みの味や組み合わせを探してみて。

簡単なのに絶品!食欲をそそる夏レシピはこちら

画像をクリックするとレシピサイトにリンクします。
■クリームチーズのみそ漬け
濃厚なクリームチーズに合わせみそがマッチ。 
■みそトマトフォンデュ
チーズとみその深いコクに、トマトの爽やかさが絶妙。 
■冷製 ミルク茶碗蒸し
クラムチャウダーのようなやさしい味わいの茶碗蒸し。 
2008年6月1日
ほわいと(2008夏)より