牛乳殺菌の歴史
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私たちが毎日飲んでいる牛乳は、加熱殺菌されています。牛乳の殺菌方法は容器に表示されています。
殺菌方法の歴史をみてみましょう。
牛乳製造販売のはじまり
幕末の頃の1863年、横浜で牧場を開いた前田留吉が日本で最初に牛乳の販売をはじめました。
当時の販売方法は、牛乳を大型のブリキ缶で運び、5勺(90ml)ずつ柄杓ですくって量り売りで宅配していました。
当時の牛乳は無殺菌なので、利用できるのは牧場から運べる範囲の人々に限られていました。
当時の販売方法は、牛乳を大型のブリキ缶で運び、5勺(90ml)ずつ柄杓ですくって量り売りで宅配していました。
当時の牛乳は無殺菌なので、利用できるのは牧場から運べる範囲の人々に限られていました。
殺菌のはじまり
1864年、細菌学者ルイ・パスツールはワインの変質を防ぐ方法として55℃の加熱殺菌処理法(パスツリゼーション)を確立しました。
19世紀の終わり頃、欧米でこの方法が牛乳処理に応用されはじめ、今日の殺菌方法の基礎になっています。「パスチャライズ(pasteurize)」は“殺菌する”という意味ですが、これもパスツールの名に由来しています。
19世紀の終わり頃、欧米でこの方法が牛乳処理に応用されはじめ、今日の殺菌方法の基礎になっています。「パスチャライズ(pasteurize)」は“殺菌する”という意味ですが、これもパスツールの名に由来しています。
日本での殺菌処理のはじまり
日本でも安全性と保存性を高めるため、1899年(明治32年)から牛乳ビンに詰めてビンごと蒸気で加熱する「滅菌牛乳」「消毒牛乳」と呼ばれる高温殺菌牛乳が出回りはじめました。
しかし、コストもかかり普及しませんでした。
しかし、コストもかかり普及しませんでした。
殺菌の義務化
東京市営公衆食堂で起きた「腐敗牛乳販売事件」をきっかけに、東京警視庁(警視庁が当時、乳肉衛生関係を所管していた。)は1927年(昭和2年)に殺菌を義務化しました。
1933年(昭和8年)には内務省が「牛乳営業取締規則」を改正し、低温殺菌(63~65℃で30分間加熱)または、高温殺菌(95℃以上で20分間加熱)で殺菌することとしました。
1933年(昭和8年)には内務省が「牛乳営業取締規則」を改正し、低温殺菌(63~65℃で30分間加熱)または、高温殺菌(95℃以上で20分間加熱)で殺菌することとしました。
現在の殺菌
その後、規則は時代の流れとともに改正され、厚生労働省令「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で、「保持式により63℃で30分間加熱、またはこれと同等以上の方法で加熱殺菌すること」と定められました。
技術の進歩により、圧力をかけて100℃以上の加熱が可能になり、現在は耐熱性胞子形成菌を死滅させる超高温瞬間殺菌(UHT殺菌)が9割を占めています。
技術の進歩により、圧力をかけて100℃以上の加熱が可能になり、現在は耐熱性胞子形成菌を死滅させる超高温瞬間殺菌(UHT殺菌)が9割を占めています。
温度 | 時間 | 殺菌方法 |
---|---|---|
63~65℃ | 30分 | 低温保持殺菌(LTLT) |
75℃以上 | 15分以上 | 高温保持殺菌(HTLT) |
72℃以上 | 15秒以上 | 高温短時間殺菌(HTST) |
120~150℃ | 1~3秒 | 超高温瞬間殺菌(UHT) |
LTLT=Low Temperature Long Time、HTLT=High Temperature Long Time
HTST=High Temperature Short Time、UHT=Ultra High Temperature
ほわいと(2008夏)より