新潟県三条市の学校給食用牛乳供給中止の決定に対する見解
平成27年7月1日
一般社団法人Jミルク
一般社団法人Jミルク
各社の報道によると、昨年来、学校給食での牛乳供給の中止を検討してきた新潟県三条市では、6月30日、臨時に開催された教育委員会で、本年9月から、牛乳を学校給食の献立から外し、時間帯をずらした「ドリンクタイム」で牛乳を提供することを、正式に決定した。
今回の決定によって、三条市では、学校給食の献立から牛乳が消えることになるが、この措置は、牛乳を上手に活用しながら栄養的なバランスを確保し、食育活動の推進と併せ、子ども達の成長や健康を支えていくという、これまでの学校給食の仕組み、関係者の永年の努力や経験を無にするものであり、残念である。
なお、「米飯給食に牛乳が合わない」というのがもっぱらの理由だと聞いているが、教育委員会に先立って開催された三条市の学校給食運営委員会では、委員から、「学校給食の牛乳の文化を奪わないで欲しい」「子どもの感想や意見が反映されていない」「牛乳とご飯が合う、合わないは個人の味覚の問題であり、牛乳を出しても問題ない」といった趣旨の批判的な意見も相次いだと報道されている。
こうした意見が示すように、今回の決定は、一部の情緒的主観的な意向が強く働いているように感じられ、公的立場としての行政の決定理由としては相応しくないのではないか。
なお、「ドリンクタイム」で、時間帯は変わるが、継続して子ども達に牛乳が供給されることになったことについては、子ども達の成長や健康にとっての牛乳の栄養的意義が、改めて理解されたものと受け止めたい。これは、三条市で牛乳中止の検討が始まった以降、多くの専門的な立場の組織や研究者の方々が、学校給食における牛乳の役割について、適切なご指導をされてきたことの成果であり、心から感謝する。
ただ、「ドリンクタイム」の運営については、学校現場に全て任せるという内容となっており、学校現場など関係者の負担が相当に増えることが危惧されるので、混乱が生じないような適切な取り組みを期待したい。
京都市においても、牛乳は和食とは合わないとの声もあったが、最終的には、牛乳は学校給食において重要な役割を果たしているものとして継続が決定された。
いずれにしても、酪農乳業としては、引き続き、安全で品質の高い牛乳を学校に供給するとともに、京都市や三条市が提起した問題を十分に踏まえつつ、教育や栄養などの関係者とさらに連携を強め、食育活動などを通して、牛乳の価値を正確に理解して頂くよう、努力してまいりたい。
(以上)
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新潟県三条市の学校給食用牛乳供給中止の決定に対する見解
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