貿易自由化の流れと新型コロナウイルスの影響
中国政府RCEPを承認
2021年3月8日、中国政府は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を正式に承認したことを発表した。日本は2020年11月15日、既にRCEPには署名しており、現在開催中の第204回通常国会で成立する見込みだ。RCEPの発効時期は東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国のうち6カ国以上と、その他の3カ国以上が国内手続きを終えてから60日後となっており、年末に発効する可能性が出てきた。総人口は23億人、GDPは約27兆ドルと、ともに世界の約30%を占める巨大な市場となる。これは2018年末に発効されたTPP11(環太平洋パートナーシップ協定)の人口比7%、GDP比13%と比較するとその規模ははるかに大きい。日本は2002年のシンガポールとのEPA締結を皮切りに、TPP11、EUとのEPA(経済連携協定)、英国とのEPAと、世界各国との貿易自由化に力を入れてきた。
本稿では、中国政府のRCEP承認に関する米国の見解、EUを離脱した英国の動きをまとめ、貿易自由化へのコロナ禍の影響についても考察してみた。