2021年上半期の中国乳製品市場
米国農務省GAINレポートより
米国農務省(USDA)の海外農務局(FAS)がGAIN(国際農業情報ネットワーク)データベースの情報を元に2021年5月に発表した報告によると、原料乳価格の高騰と大手生産者による継続的な投資の恩恵を受け、中国の液状乳生産量は2021年に3460万トンに達すると予測されている。また、乳製品および乳原料の輸入は、国内の供給量が限られていることから、食品加工部門の強い需要に牽引されて増加することが予測されている。報告では、液状乳のほか、全粉乳(WMP)、脱脂粉乳(SMP)、バター、ホエイパウダーなどについて、中国の2021年の生産量と輸入量を中国国内の状況を踏まえて独自に予測し、それ以前のUSDAの公式の予測と対比している。米国は、2021 年にはSMP、チーズ、ホエイパウダーなどの輸入乳原料に対する中国の強い需要の恩恵を受ける可能性があるとしている。本稿では中国国内の生乳生産量、乳製品の需要見通し、今後の貿易の見通し等について、米国GAINレポートの情報から一部紹介するとともに、近年中国で注目されつつあるA2ミルクの状況についても触れる。2008年に起こったメラミンスキャンダルから10年以上を経て、中国の乳製品市場は大きく変化してきたようだ。