人類の新しい食生活(2022/2/9)
「クリーンで環境に優しい未来の食品」

人類の新しい食生活

「クリーンで環境に優しい未来の食品」

2050年までに予測される世界人口100億人に対し、いまのままで健康的な食事を賄うことができるのだろうか? 2019年、「食と地球と健康に関するEATランセット委員会(EAT-Lancet Commission on Food, Planet, Health)」が、世界中から 37人の著名な科学者を集め、この問いに答えた。その答えは、「健康的な食事を賄うことができる」かどうかについては「イエス」としたものの、その条件として、人々は食習慣を変え、食料生産方法を改善し、食料廃棄物を減少させる必要があるとした。そして肉と乳製品は重要な栄養素を供給しているとしながらも、全粒穀物、果物、野菜、ナッツ類、豆類がより多くの割合を占める植物を主体とした「地球環境に配慮した食生活(Planetary Health Diet)」であるべきだと推奨し、「アントロポセン(人新世(ひとしんせい))の食料(Food in the Anthropocene)」と題した論文を発表した。一方、昨年後半に英国のエコノミスト誌に掲載された「新しいアントロポセンの食生活(The new Anthropocene diet)」の記事 では、現在の農業の生産方法や経済活動のグローバル化によって可能となった豊かな食生活が地球環 境の悪化の原因にもなっているとしている。また環境問題に関心を持つ消費者の増加を背景に、植物性の代替たんぱく質食品の市場は拡大しているが、それだけでは問題を根本的に解決することはできないとし、主として近年の技術で可能となった人工的なたんぱく質(アントロプロテイン)の供給について論じている。本稿ではこのエコノミスト誌の記事を中心に紹介する。

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