牛乳乳製品市場の不確実性が高まる
欧州委員会「牛乳乳製品市場観測サイト」2022年3月会合報告より
欧州委員会が開設している「牛乳乳製品市場観測サイト(Milk Market Observatory = MMO)」の経済委員会3月会合が、ビデオ会議方式で開かれた。同会合の報告書では、EUの近況として 2022年1月の生乳生産量は前年同月比で 0.7%減少したこと、庭先乳価が上昇を続ける一方で飼料やエネルギ ーのコストも上昇していること、乳製品価格が上向くとともに民間在庫量は記録的な低水準になっていること、食品インフレが乳製品にも及ぶ可能性があることなどについて報告している。世界の主要な乳製品輸 出国では 2022年1月の生乳生産は前年同月比 1.8%減少し、昨年過去最高を記録した世界の乳製品貿易は、今年は減少する見込みであることなどを述べている。報告書は飼料やエネルギーなどのコストの上昇、ウクライナ情勢でさらに進んだ資材コスト増、そして需要の依存度が高い中国において新型コロナによる都市封鎖が再び行われていることなどが、乳製品市場にかつてないほどの不確実性をもたらしていることを指摘している。現在、わが国は、国産乳製品の過剰在庫に対策が講じられているが、国内の牛乳乳製品市場の約3割を輸入乳製品に依存している構造は変わらない。MMO報告書にもある国際的な乳製品需給の逼迫と国際価格の高騰が、今後も続くことになれば、粉乳調製品・ホエイ・チーズの輸入価格も高騰し、わが国の乳製品需給にも大きな影響を与える可能性もあり、こうした状況にも注視することが必 要である。以下に報告書の要約を紹介する。(読みやすさを考慮し、Jミルクで小見出しなどを補った)