乳製品輸入の新たな広がりと高止まりした国際価格の下落傾向を予測
FAOとOECDが「農業アウトルック2022-2031」を6月29日にリリース
経済協力開発機構(OECD)と国連食糧農業機関(FAO)は、6月29日に年次報告書「農業アウトルック(Agricultural Outlook)」を発表し、世界の農業食料部門は向こう10年間、①増加を続ける人口への持続可能な食料供給の必要性、②気候変動の影響、③ウクライナ紛争に伴う経済的影響と食料安全保障などの大きな課題に直面するとし、農業の生産性向上のための技術、インフラ、人的資本などへの投資の重要性を強調した。この報告書の第7章「酪農乳業および乳製品」は、生乳、フレッシュ乳製品、バター、チーズ、脱脂粉乳、全粉乳などについて、最近の市場動向を解説するとともに、2022~2031年の世界の乳製品市場の消費、生産、貿易、価格の中期予測を行ない、①乳製品貿易は少数の主要輸出国から多数の輸入国へ拡大することや、②乳製品の国際価格は現在の高値から長期的には下落傾向になる可能性があることなどを予測している。また、ウクライナ紛争、新型コロナの新規変異株、乳代替品、環境規制、家畜の疾病、貿易環境、国内政策などのリスクと不確実性について考察している。本稿では、第7章「酪農乳業および乳製品」の中から、第3節「市場予測」の「貿易」と「価格」に関する項及び第4節「リスクと不確実性」を仮訳として紹介する。なお、理解しやすさという点から一部を編集している。