英国の食料戦略と酪農乳業を取り巻く状況（2022/8/24）
農業食料関係者の声を英報道が伝える

6月13日に英国で初となる政府による食料戦略が公表された。この政府食料戦略は、健康的で、持続可能で、手頃な価格の食事をすべての人に実現するための農業食料分野の施策を提示したものであり、食料安全保障の確保と持続可能な生産、農業による環境負荷の低減、食品基準とアニマルウェルフェア基準の維持などに重点が置かれている。この戦略は、昨年、英国政府が諮問して発表された有識者の調査報告書に対する政府からの回答でもある。英国の報道各社は、公表された政府食料戦略に対する業界関係者の様々な反応を一斉に伝えた。英国で進行している、新型コロナ禍やウクライナ紛争の影響などにより農業のコスト高「アグフレーション（Agflation）」が、農産物の価格上昇を上回るペースで進んでいることなども報道は伝えている。本稿では、英国の政府食料戦略の概要と酪農乳業に関連するいくつかの記述に加え、酪農経営コストの高騰、生乳価格の上昇、小売価格と飲用牛乳の消費動向など、最近の英国の酪農乳業を取り巻く状況についても紹介する。