主要輸出国・地域の生乳生産量は下半期に増加に転じる可能性も
欧州委員会「牛乳乳製品市場観測サイト」2022年9月会合報告より
欧州委員会が開設している「牛乳乳製品市場観測サイト(Milk Market Observatory = MMO)」の経済委員会9月会合がビデオ会議方式で開かれた。同会合の報告書では、EUの近況として、①2022年1~7月の生乳生産量は前年同期比で0.5%減少したこと、②庭先乳価(牧場出荷)は19か月にわたり上昇を続けていること、③EUの乳製品価格は品目によっては低下もみられるが依然として高水準で推移していること、④食品インフレが消費者の購買力への懸念を高めていることなどを報告している。また、世界の近況として、主要乳製品輸出国・地域では 2022年1~7月の生乳生産は前年同期比0.9%減少したものの、下半期には増加に転じる可能性があることも指摘している。一方で乳製品需要は堅調に推移し、中国の輸入量減少を東南アジアなどの活発な購買が部分的に相殺していることを述べている。さらに報告書は、EUの市場は、生乳価格が高いにもかかわらず集乳量は幾分低調であること、資材コストは高止まりしていること、ウクライナの紛争は農産物、肥料およびエネルギーの市場に影響を与え続けていること、ガス不足やエネルギー価格高騰が特に乳業の懸念材料であること、環境上の制約、家畜福祉基準、労働力不足が問題となっていることなど、かなり特殊な状況にあることを指摘している。以下に報告書の要約を紹介する。(読みやすさを考慮し、Jミルクで小見出しなどを補った)