食品ロス削減のために小売業と製造業ができること
米マッキンゼー・アンド・カンパニーの提言とFAO食料損耗指数
国連食糧農業機関(FAO)は、「2019年世界食料・農業白書」で、食品ロスについて収穫から小売に到達するまでに生じる食料損耗と小売・消費段階で生じる食料廃棄を区分して定義し、「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標12「つくる責任つかう責任」のサブ指標として、12.3.1.a「食料損耗指数(Food Loss Index)」と 12.3.1.b「食料廃棄指数(Food Waste Index)」を提起した。FAOのWebサイトの推計によると、地域によるばらつきはあるものの、世界の食料損耗(%)は、2016年が13.8%、2020年が13.3%とあまり進展がみられていない。最近、米国のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、「食料損耗削減のために食品小売業と食品製造業ができること」と題した報告書を発表し、消費者に届く前の食品ロスを削減する方策を提言している。乳・乳製品は農産物のなかでも食料損耗は比較的少ないが、環境負荷が他よりも高めであることを踏まえ、バリューチェーン全体の協力で食品ロスの一層の削減を図ることが重要である。本稿では、その報告書の内容を中心に紹介する。