第56回 人類によるミルク利用の“謎”に迫る!
~古代日本に連なる痕跡をたどりながら~

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第56回 人類によるミルク利用の“謎”に迫る! ~古代日本に連なる痕跡をたどりながら~

2024年5月14日 開催

 現在、牛などのミルク(乳)は飲み物としてだけではなく、チーズ、ヨーグルト、バターなどさまざまな形で利用されています。そして、ミルク利用の起源をたどってみると、それは最もシンプルな「生のミルクを飲む」というものではないようです。日本では、古代において大陸から伝わった健康食や薬としての乳製品がミルク利用の始まりと考えられます。
 こうした人類によるミルク利用の起源や広がりを探るうえでは、「牛乳を飲むとおなかに違和感を覚えたり、ゆるくなったりする」という「乳糖不耐」のこともポイントになります。乳糖不耐は世界におけるミルク利用の起源となった地域でも見られましたが、人々はミルクの利用に価値を見いだし、世界各地で乳文化が発展してきたのです。
 そこで、「人類によるミルク利用の“謎”に迫る!~古代日本に連なる痕跡をたどりながら~」をテーマに、第1部では考古学者で(独)国立文化財機構奈良文化財研究所国際遺跡研究室長の庄田慎矢先生による講演、第2部では庄田先生と、文化人類学者で京都大学名誉教授の谷泰先生、国立民族学博物館名誉教授の小長谷有紀先生によるディスカッションを行いました。

講演者プロフィール

庄田 慎矢 先生
(独)国立文化財機構奈良文化財研究所 企画調整部国際遺跡研究室長

東京大学大学院修士課程、大韓民国国立忠南大学校大学院博士課程修了。文学博士。
現在は、(独)国立文化財機構奈良文化財研究所 国際遺跡研究室長のほか英国ヨーク大学名誉訪問研究員、同セインズベリー日本藝術研究所客員研究員も務める。
主な著書に『ミルクの考古学』(同成社、2024)、『アフロ・ユーラシアの考古植物学』(編著・訳、クバプロ、2019)、『武器形石器の比較考古学-文化受容過程の模倣と創造-』(2017)など。
1978年、北海道生まれ。最近はユーラシア大陸東部における食文化史を研究。

第1部 「目に見えるもの」から「目に見えないもの」へ
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「ミルクの考古学」の持つ可能性

  • ミルク研究の進展は考古学における革命的な出来事
  • 日本におけるミルク利用の歴史
  • さらに進化する「ミルクの考古学」

第2部 ディスカッション
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~人類によるミルク利用の“謎”に迫る!~

  • いったいなぜ、どういう状況で人類はミルクを飲んだのか
  • 「ミルクパラドックス」をどう理解するか
  • 日本人のミルク利用の歴史と背景を考える
  • ~質疑応答から~

第2部 講演者プロフィール

谷 泰 先生
京都大学名誉教授
専門は西洋史、文化人類学。イタリアの生活文化から思想史や家畜化をとらえる研究業績が多数ある。

小長谷 有紀 先生

国立民族学博物館名誉教授
専門は文化人類学。乳の学術連合 乳の社会文化ネットワーク副代表幹事。モンゴル遊牧民の生活技術から儀礼までを読み解く一般書が多数。

※なお、第1部講演に続き 庄田 慎矢 先生 も出演

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このセミナーの内容をまとめたニュースレターです。
メディアミルクセミナーとは
メディアミルクセミナーは、主に、医学・栄養学・食品科学の専門家による栄養と健康をテーマにしたメディア向け勉強会で、年に3回程度開催されています。
セミナーでは、毎回、牛乳乳製品の持つ栄養健康機能についての最新の研究成果や知見も報告されています。
毎回のセミナーの内容は、下記のニュースレターとして取りまとめられています。
牛乳乳製品の栄養健康に関する最新の情報がご覧いただけますので、どうぞご活用ください。