「あたらしいミルクの研究」2018年度
トップアスリートの牛乳・乳製品摂取状況と睡眠状況との関係
国立スポーツ科学センター 亀井明子
研究報告「トップスポーツ選手の牛乳・乳製品摂取状況と健康状態の関係」(亀井明子)をもとに作成。
研究報告「トップスポーツ選手の牛乳・乳製品摂取状況と健康状態の関係」(亀井明子)をもとに作成。
アスリートが競技力を高めるためには、トレーニングを重ねるだけではなく、休養と栄養のコンディショニングを行なうことも大切です。
休養の面では、いかに良質な睡眠を維持するかが課題となりますが、そのカギは牛乳・乳製品をしっかり摂ることにも関係があるようです。
トップアスリートの牛乳・乳製品の摂取頻度と、それが睡眠の質にどのように関連しているかを明らかにした研究です。
休養の面では、いかに良質な睡眠を維持するかが課題となりますが、そのカギは牛乳・乳製品をしっかり摂ることにも関係があるようです。
トップアスリートの牛乳・乳製品の摂取頻度と、それが睡眠の質にどのように関連しているかを明らかにした研究です。
オリンピック選手と大学生選手の食事・睡眠状況を調査
牛乳・乳製品の摂取が睡眠の状況と関わることはよく知られています。私たちは今回、オリンピック出場レベルのトップスポーツ選手および大学生選手における牛乳・乳製品摂取の実態を調査し、主観的な睡眠との関連を検討しました。その結果、乳類の摂取頻度が週に0〜2日と少ない選手に比べて、週に3〜5日、6〜7日と摂取頻度が多い選手ほど睡眠の質が良好となる可能性があることがわかりました。
調査の対象となったのは、第31回オリンピック競技大会(リオデジャネイロ)、および第23回オリンピック冬季競技大会(平昌)の候補選手も含む出場選手(以下、トップ選手)927名、加えて関東地方のT大学および中部地方のC大学の体育系部活動に属する大学生選手286名です。トップ選手の競技種目は、夏季が陸上、水泳、自転車、サッカー、テニス、体操など全部で25種目以上、冬季がスキー、スケート、アイスホッケー、ボブスレー、カーリング、バイアスロン。大学生選手は、アイスホッケー、サッカー、ラグビー、陸上、ラクロス、バスケットボール、テニスでした。
調査の対象となったのは、第31回オリンピック競技大会(リオデジャネイロ)、および第23回オリンピック冬季競技大会(平昌)の候補選手も含む出場選手(以下、トップ選手)927名、加えて関東地方のT大学および中部地方のC大学の体育系部活動に属する大学生選手286名です。トップ選手の競技種目は、夏季が陸上、水泳、自転車、サッカー、テニス、体操など全部で25種目以上、冬季がスキー、スケート、アイスホッケー、ボブスレー、カーリング、バイアスロン。大学生選手は、アイスホッケー、サッカー、ラグビー、陸上、ラクロス、バスケットボール、テニスでした。
トップ選手は大学生選手より各食品の摂取頻度が多い
調査方法ですが、トップ選手については競技大会派遣前のメディカルチェックのための自己記入式問診票から、調査に必要な質問項目を抽出し、大学生選手にはアンケート調査で同様の質問をしました。
質問項目は、食事状況に関しては、 1週間当たりの主食、卵類、肉魚類、大豆製品、緑黄色野菜、淡色野菜、牛乳・乳製品(ヨーグルト、チーズ等)、果物の摂取頻度、補食を摂取する頻度、1週間のうち1日3回の食事を摂取している日数、睡眠状況に関しては、主観的睡眠状況、就寝および起床時刻、睡眠時間とし、主観的睡眠状況は「良好」「普通」「不良」のいずれかで回答を求めました。
食事状況の結果を見ると、トップ選手では大学生選手に比べて各食品/食品群の摂取頻度がいずれも高く、1日3回の食事を摂る頻度や補食の頻度も高いことが明らかになりました。しかしながら、トップ選手、大学生選手ともに、牛乳や乳製品の摂取頻度は他の食品/食品群の摂取頻度に比べると低い傾向が見られました。
質問項目は、食事状況に関しては、 1週間当たりの主食、卵類、肉魚類、大豆製品、緑黄色野菜、淡色野菜、牛乳・乳製品(ヨーグルト、チーズ等)、果物の摂取頻度、補食を摂取する頻度、1週間のうち1日3回の食事を摂取している日数、睡眠状況に関しては、主観的睡眠状況、就寝および起床時刻、睡眠時間とし、主観的睡眠状況は「良好」「普通」「不良」のいずれかで回答を求めました。
食事状況の結果を見ると、トップ選手では大学生選手に比べて各食品/食品群の摂取頻度がいずれも高く、1日3回の食事を摂る頻度や補食の頻度も高いことが明らかになりました。しかしながら、トップ選手、大学生選手ともに、牛乳や乳製品の摂取頻度は他の食品/食品群の摂取頻度に比べると低い傾向が見られました。
乳類摂取頻度が高い選手は良質な睡眠を得ている
次いで、トップ選手と大学生選手を合わせた1145名(男性642名、女性503名)を、乳類摂取頻度が週に0〜2日の群(203名)、週に3〜5日の群(300名)、6〜7日の群(642名)の3つに分類し、乳類摂取頻度と睡眠状況の関連を解析しました。
その結果、単変量解析において、乳類の摂取頻度は主観的睡眠状況と有意な関連を示し、オッズ比はそれぞれ0.79、0.66を示しました(表)。ここでは主観的睡眠状況が良好=0、その他=1とするため、0〜2日群に比べて3〜5日群、6〜7日群のほうが主観的睡眠は良好であるといえます。
また、競技シーズンや年齢、性別、競技レベルほかの因子を調整した多変量解析においても、乳類摂取頻度と主観的睡眠状況との間には有意な関連が見られ、0〜2日群に対する3〜5日群と6〜7日群のオッズ比はそれぞれ0.78、0.68を示しました。以上より、トップ選手および大学生選手において、乳類の摂取頻度が高い人ほど睡眠の質が良好である可能性が明らかになりました。今後は、スポーツ選手の良好な睡眠を維持、あるいは改善するための食生活面からのアプローチ法として、乳類の摂取頻度を増やすことも考慮していく必要があるでしょう。
その結果、単変量解析において、乳類の摂取頻度は主観的睡眠状況と有意な関連を示し、オッズ比はそれぞれ0.79、0.66を示しました(表)。ここでは主観的睡眠状況が良好=0、その他=1とするため、0〜2日群に比べて3〜5日群、6〜7日群のほうが主観的睡眠は良好であるといえます。
また、競技シーズンや年齢、性別、競技レベルほかの因子を調整した多変量解析においても、乳類摂取頻度と主観的睡眠状況との間には有意な関連が見られ、0〜2日群に対する3〜5日群と6〜7日群のオッズ比はそれぞれ0.78、0.68を示しました。以上より、トップ選手および大学生選手において、乳類の摂取頻度が高い人ほど睡眠の質が良好である可能性が明らかになりました。今後は、スポーツ選手の良好な睡眠を維持、あるいは改善するための食生活面からのアプローチ法として、乳類の摂取頻度を増やすことも考慮していく必要があるでしょう。
-「あたらしいミルクの研究」2018年度 -
一般社団法人Jミルクと「乳の学術連合」(牛乳乳製品健康科学会議/乳の社会文化ネットワーク/牛乳食育研究会の三つの研究会で構成される学術組織)は、「乳の学術連合」で毎年度実施している乳に関する学術研究の中から、特に優れていると評価されたものを、「あたらしいミルクの研究リポート」として作成しています。
本研究リポートは、対象となる学術研究を領域の異なる研究者や専門家含め、牛乳乳製品や酪農乳業に関心のある全ての皆様に、わかりやすく要約したものになります。
なお、研究リポートに掲載されている研究内容詳細を確認する場合は、乳の学術連合公式webサイト内「学術連合の研究データベース」より研究報告書のPDFをダウンロードして閲覧可能です。あわせてご利用ください。
本研究リポートは、対象となる学術研究を領域の異なる研究者や専門家含め、牛乳乳製品や酪農乳業に関心のある全ての皆様に、わかりやすく要約したものになります。
なお、研究リポートに掲載されている研究内容詳細を確認する場合は、乳の学術連合公式webサイト内「学術連合の研究データベース」より研究報告書のPDFをダウンロードして閲覧可能です。あわせてご利用ください。
トップアスリートの牛乳・乳製品摂取状況と睡眠状況との関係
乳の学術連合のサイトはこちら
我が国における牛乳乳製品の消費の維持・拡大及び酪農乳業と生活者との信頼関係の強化を図っていく観点から、牛乳乳製品の価値向上に繋がる多種多様な情報を「伝わり易く解かり易い表現」として開発し、業界関係者及び生活者に提供することを目的とした健康科学分野・社会文化分野・食育分野の専門家で構成する組織の連合体です。
乳の学術連合
乳の学術連合