コラム、「ミルクの国の食だより」の第3回をお送りします。

前回「牛乳の選び方-1」の続きです。フランスでの牛乳類の表示や価格について詳しくご紹介します。 

牛乳の表示

フランスの牛乳はキャップの色分け以外に、次のような項目の表示があります。
① 商品名
”Marguerite” がブランド名。
”Lait frais microfiltré demi-écrémé 1,55%m.g.” が商品名 。
同じブランドで、他のタイプの牛乳や乳製品が販売されていることもあります。 
② 製品名
“Lait frais microfiltré demi-écrémé 1,55%M.G.”=”乳脂肪1.55% 要冷蔵 マイクロフィルター殺菌 半脱脂乳”
商品名と混同せずに、消費者がきちんと選択できるよう、どのような牛乳なのかを一言で表しています。
(この例では、商品名と製品名が同じです)
ここでは、殺菌方法と、脂肪含有量、entiere(全脂乳)、demi-écrémé(半脱脂乳)、écrémé(脱脂乳) のいずれかが明記されていなければなりません。
また、ビタミン等が添加されたものであれば、原材料表示もされます。 
③ 容量
常温保存、要冷蔵ともに1L が主流で、そのほか250ml、500ml、1.5L、2Lが並んでいます。
250mlと500mlは常温保存品のみ。
ヨーロッパでは、飲料の容量の単位には「cl = センチリットル」が使われているので、250ml→25cl、500ml→50clと表示されます。
④ 期限表示 
日/月(/年)の順で、要冷蔵品は消費期限、常温保存品は賞味期限が記されています。
⑤ 製造ロット番号 
⑥ 製品責任者連絡先 
⑦ 衛生適合マーク
牛乳のほか卵、肉、魚、ソーセージなど動物由来の食品に課せられる欧州連合表示。 
例として、「FR-69.013.001-CE」ならば、
FR 原産国(フランス) 
69 県(ローヌ・アルプ県) 
013 最小行政区(アルナス村) 
001 製造施設 
CE Conformite Europeenne=EU指令に適合していることを示します。 
⑧ 栄養表示
義務ではありませんが、表示する場合は基準に従います。
・エネルギーはジュールとカロリーが併記されています。
・ビタミン、ミネラル(特にカルシウム)は一日あたりの推奨摂取量(AJR*)に対する割合が示されることが多いです。 
*Apport Journalier Recommandé 
②-⑥はすべての加工食品に共通する表示項目です。

価格

一番飲まれているLait UHT demi-écrémé(常温保存品の半脱脂乳)が、種類が豊富で価格も安価。

entier(全脂乳)がdemi-écréméよりも20~30サンチーム高く、écrémé(脱脂乳)は種類が少ないためか、同程度から若干高めです。  
   entier  demi-écrémé  écrémé 
Lait UHT(常温保存品) 1.05€/ℓ 0.81€/ℓ 0.83€/ℓ 
Lait Frais(要冷蔵品)  1.36€ /ℓ 1.25€/ℓ -該当商品なし-

(同じスーパーマーケットのプライベートブランドで比較) 

■電子タグで価格を表示しています。

ということで、毎日カフェオレを飲む私は、UHTのレーンに並んだ水色のキャップを目指し、価格と、時折、表示を参考に購入しています。
■カフェオレでほっと一息。
管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。