第二話 牧場でカウボーイ体験の巻(前編)

元気くん一家のミラクルミルクライフ

日本初! 食育小説「元気くん一家のミラクル ミルク ライフ」の第二話です。

今回と次回は、牛乳を毎日生産する乳牛と牧場のお話です。さて、牧場に行った元気君と愛ちゃん、どんな発見があったでしょう。

牧場でカウボーイ体験の巻(前編)

「元ちゃん、おかえり~! いっしょに麦茶オーレ飲もうと思って待ってたの。」
と、妹の愛が野球の練習から帰った僕を出迎えてくれた。
この前のお母さん特製スペシャルドリンクが楽しかったらしく、自分から牛乳を飲むようになったんだ。
2人で飲んでいると、お母さんが
「明日、牧場に行ってみない? 牛乳を搾るところ見たことないでしょ。」
と突然言ったから驚いた。
「3人で? そんなに簡単に行けるの?」
「ビックリさせようと思ってね。予約してあるの。」
ホント、お母さんらしい。もう決まってるんだもん。愛が飛び跳ねて喜んでる。僕も楽しみになってきた。
 

牧場ってどこにあるんだろう

いつもどおり7時に起きた。とってもいい天気だ。
朝ごはんを食べて、さあ出発。仕事で疲れているお父さんと、暑いのが苦手なおばあちゃんはお留守番。
3人で電車に乗った。すごく遠いのかと思っていたら、一度乗り換えて1時間半くらいで牧場がある駅に着いた。
駅から歩いて15分、緑が多くなってきたと思ったら、牧場に到着した。
「意外と近かったね~。」
と言ったら、
「牛乳を飲む人がたくさんいる都会に近いほうが便利だから、関東地方にはたくさん牧場があるの。酪農、乳牛を飼って牛乳を搾るのは北海道が有名だけど、栃木県や千葉県も盛んなのよ。」
「で、ここは何県?」
「東京都よ。」(※1)
愛も驚いてる。
「東京にも牧場があるんだね。」
二人で顔を見合わせた。

酪農体験はビックリがいっぱいだった

「わぁ、牛がいる。大きい! 目がとってもキレイだな。」
僕たち以外にも2組の家族が来ていた。一緒に牧場の人に話を聞いた。
「牛を見るのが初めてな人? ここに居るのはホルスタインという種類の牛です。牧場にはオスとメス、どのくらいの割合でいると思いますか?」
「半々かなぁ?」
と、隣にいた男の子が答えた。
「メスしかいないのです。牛乳を出すのはメスの牛だけだから。では、牛は何歳で大人になるでしょう?」
「20歳くらい?」
と妹の愛。もっと若いんじゃないかな。
「5歳」
と僕。
「なんと2歳で大人になります。」(※2)
えーっと皆が驚いた。

牛乳はお母さん牛から

「君たちは3kgくらいで生まれたと思うけど、乳牛は40kgで生まれて、2歳で500kgになるんです。」 
スゴイ!
「では2歳になったら、自然に牛乳が出るようになるかな?」
「搾れば出る。」
と、また別の子が答えた。
「人間はどうするとお乳が出るかな?」
わかった!
「赤ちゃんを産むと出る。」
「大正解! 人間も牛も哺乳類。子牛を産んだお母さん牛が牛乳を出します。」
今まで知らなかったよ。

1日で1クラス、1週間分の牛乳

「そして1頭の牛から、1日におうちで飲んでいる1リットルの牛乳パックで約30本。給食では200ml飲んでいるよね。1クラス30人だとしたら、月曜から金曜までの1週間分を1日で出す働き者です。では、これからカウボーイ体験です。牛の近くに行きましょう!」
「お母さん、愛、行こう!」
僕はワクワクしてきた。
  • ※このテーマは次回に続きます。お楽しみに。

管理栄養士のお母さんから

(※1)見学ができる牧場

(この牧場はフィクションです。見学できる牧場が近くにあるか探してみましょう。)

(※2)子牛から乳牛になるまで

管理栄養士・消費生活アドバイザー・フードコーディネーター 加藤明子
牛乳・乳製品の相談業務を平成6年より担当し、食育授業、料理講習会、勉強会等で講師を務めている。近年は小中学校における食育授業、学校栄養職員、教諭、PTA等の研修や講習会、大学での授業、フードコーディネーター養成講座の講師など、東京、埼玉、千葉、神奈川を中心に活動している。