第28回　冬の定番料理、ラクレット　その1

10月最終日曜（2015年は10/25）に夏時間から冬時間に変わったフランス。日本との時差は8時間になりました。

街路樹がいつの間にかきれいな色彩を見せていて、秋の訪れを感じさせてくれています。
フランスには日本と同じように四季がありますが、秋は本当に短くてあっという間。
「春・夏・秋・冬」というよりは「春・夏・秋冬」という「秋と冬」が合体したような季節の移ろいを見せます。

冬に近づき、日照時間がどんどん短くなって寒くなると、温かい料理が恋しくなってきますね。

日本で冬の定番料理というと「鍋もの」を思い浮かべますが、フランス人にとっての冬の定番料理は何だと思いますか？
答えは「チーズ料理」です。

フランスで毎日の食卓に欠かせないチーズ。
1年中食べられているものですが、寒くなると食べたくなるチーズ料理というのは”溶かした”チーズの料理のことなのです。

●チーズフォンデュ
チーズフォンデュは英語で、フランス語ではフォンデュ・サヴォワイヤルド（Fondue savoyarde）。
溶かしたチーズの鍋を囲んでパンをつけて食べる姿は日本でもすでにおなじみですね。

●タルティフレット
サヴォワ地方の郷土料理。クリームとチーズをたっぷり使ったジャガイモのグラタン。
溶けたチーズのクリーミーさと中に入っているジューシーな角切りベーコンの旨みがたまりません。

●ラクレット
アルプスの少女ハイジに出てきた、あのチーズです。
暖炉であぶったとろりと溶けたチーズをパンにのせて食べていましたね。

フランス人が冬になると無性に食べたくなるラクレット。

「ラクレット」という名前は、“削りとる”という意味のフランス語の動詞”ラクレ Racler” に由来しています。

スイス原産の大型セミハードチーズ「ラクレット」を溶かし、トロトロになったチーズを茹でたジャガイモにからめて食べる料理「ラクレット」。
ちょっとややこしいですが、チーズの名前が料理の名前でもあるのです。

もともとはスイス・ヴァレー州の山岳地帯に暮らす牧童たちが、昼などに焚き火のそばに石を置いて表面のチーズをとかして食べていたのがはじまりだとか。

フランスではスイスとの国境に近いサヴォア地方が発祥の伝統料理ですが、今ではフランスの冬の家庭料理の定番となっています。

※このテーマは次回に続きます。お楽しみに。