フランス人にとって日常欠かせない食品
その1

世界的に猛威を振るっている新型コロナウィルスにより、3月中旬から外出制限が続いているフランス。
食料品など日用品の買出しにも外出証明書*を携帯し、マスクとゴム手袋をはめ、客は人数制限のため店外に１ｍ間隔で列に並んで待つのがもはや日常の光景となっています。

外出制限令の告知直後はフランスでも地域によってはスーパーに殺到した人たちがいたようですが、リヨン市の私が住む自宅周辺では混乱は少なかったように思います。
陳列棚をみると、欠品がある棚もありますが、フランスのスーパーは通常でも頻繁に補充を行わないのでそれほど気にはなりません。

しかしながら、常温で長期保存できて主食となりうる小麦粉、パスタ、米などは今日まで品薄が続いています。
ふと、平時にはフランス人はどのような食品を多く消費しているのか気になりました。

次のような統計が出ています。
フランス人に聞きました。「あなたにとって、日常欠かせない食品は何ですか？」（成人男女1,511人を対象にしたアンケート 2015年Toluna/LSA調べ*）

フランス人が必要と考える食べ物の第一位が果物とは少し意外な気がします。
果物の中で人気があるのは、いちご、りんご、バナナだそう。せっかくいちごが旬を迎えるこの時期に、残念ながらマルシェ（青空市場）が閉鎖されているため、新鮮な果物、野菜を生産者から直接購入することが難しくなっています。

長期に及ぶ外出制限の疲れもあり、みずみずしい果物を食べてリフレッシュしたいところ。
また、フレッシュな果実だけでなく、フランスではコンポートにした製品も多く食べられています。

フランスといえば、細長いバゲットをイメージする人は多いでしょう。
ほとんどの家庭で必ずといってよいほど常備され、バターやジャムを塗ったり、チーズをのせたりと、朝から晩まで様々なシーンで登場するバゲット。

外出制限発令当初は、そのバゲットが入手できなくなったらという不安感から自宅でのパン作りのために、スーパーの小麦粉が即座に欠品しました。
さらに、家庭用小麦粉は多くがイタリア、ドイツ産のため、輸出制限が敷かれている状況では品薄状態に。
小売店や飲食店の多くが休業を余儀なくされる中、幸いにもフランスのパン店は政府によって優先部門として宣言されたため、今日でも焼きたてのパンが入手できています。

営業時間短縮などを行ってはいますが、フランスの美食のシンボルでもあるパン店が変わらない営業を続けている佇まいに安心感を覚える人も少なくない気がします。しかしながらバゲット以外の高価なクロワッサンなどの菓子パン購入が減る*などのため、本来ならパン屋へ販売されている多くのフランス産小麦粉が、１kgの家庭用小麦粉の袋で、スーパーで販売され始めています。

学校が休校のため、家にいる子供と一緒にパンを焼いたり、おやつに菓子パンを作ったりと、普段ならスーパーやパン店で買う商品が自家製に変わる楽しさを体験する子供が増えているようです。

（15位まで続く）

2020年4月現在、フランスでは最低限生活に必要な食料品店・薬局・銀行・ガソリンスタンドなどを除くすべての店舗・施設を閉鎖されている。 フランスの美食のシンボルでもあるパン店は営業を続けているので焼きたてのパンが食べられるのはありがたい。パンの紙袋には、地域の農業を守るために地産地消を呼びかける言葉と、外出制限期間に適切な栄養を摂取できるようリヨン市の健康サイトを紹介

※このテーマは次号に続きます。