コラム、「ミルクの国の食だより」の第78回をお送りします。新型コロナウイルスの影響で注目される「短絡流通」。今回は統計データを通して見ていきます。
短絡流通の7割は直接販売
circuit court(短絡流通)で販売を行っている農業者は5人に1人、フランス全体の約20%にあたります *1 。
販売方法別では、農場販売と野外市場が7割近くを占め、生産者から消費者への直接販売が主流というのがわかります。
一つの仲介者を介在させる販売方法はあまり普及しておらず、製品によって異なりますが、短絡流通のうち2~4割ほどになります。
販売方法別では、農場販売と野外市場が7割近くを占め、生産者から消費者への直接販売が主流というのがわかります。
一つの仲介者を介在させる販売方法はあまり普及しておらず、製品によって異なりますが、短絡流通のうち2~4割ほどになります。
短絡流通の農産物は有機栽培が多い
品目では蜂蜜と野菜が農場の約50%、果物とワイン約25%、家畜産品約10%が短絡流通で販売されています。
家畜産品は加工と保存の点で、より制限があるため、短絡流通で販売されることは少ないのですが、乳製品については乳牛を有する生産者の34%、羊と山羊を有する生産者の44%が短絡流通で販売を行っています。
また、地域的な偏りが大きく、パリがあるイル・ド・フランス州では、大消費地に近いこともあって野菜・果実の3分の2が、リヨン市を中心とするローヌ・アルプ州では、3分の1の農家が短絡流通での販売を行っています。
また、短絡流通の販売を行う10%が有機栽培生産者で、通常の「長い」流通経路(2%)に比べ多くなっています。
2010年の短絡流通での販売額は約67億ユーロ、農業生産全体の10.2%にあたります。
2015年では約12〜13%で、年々増加傾向にあります。
家畜産品は加工と保存の点で、より制限があるため、短絡流通で販売されることは少ないのですが、乳製品については乳牛を有する生産者の34%、羊と山羊を有する生産者の44%が短絡流通で販売を行っています。
また、地域的な偏りが大きく、パリがあるイル・ド・フランス州では、大消費地に近いこともあって野菜・果実の3分の2が、リヨン市を中心とするローヌ・アルプ州では、3分の1の農家が短絡流通での販売を行っています。
また、短絡流通の販売を行う10%が有機栽培生産者で、通常の「長い」流通経路(2%)に比べ多くなっています。
2010年の短絡流通での販売額は約67億ユーロ、農業生産全体の10.2%にあたります。
2015年では約12〜13%で、年々増加傾向にあります。
半数近くの人が短絡流通を利用
一方、消費側をみると、2013年の調査 *2 ではフランス人の42%が短絡流通で食品を定期的に購入している答えています。
購入場所は野外市場(マルシェ)が最も多く、次いで農場販売、直売所など。
食品購入全体に占める短絡流通の割合は約7〜10% *3 で、食品全般では従来の流通経路であるスーパーマーケットでの購入が一般的です。
数字だけを見ると短絡流通での購入は少数派のままですが、2000年代初めに起きた度重なる食品スキャンダルの後、製品の原産地、環境への影響などへの人々の意識の向上から、消費パターンは変化してきており、過去2年間と比べて地元で生産される食品の購入頻度が増えた人の割合は69%に上ります *4 。
購入場所は野外市場(マルシェ)が最も多く、次いで農場販売、直売所など。
食品購入全体に占める短絡流通の割合は約7〜10% *3 で、食品全般では従来の流通経路であるスーパーマーケットでの購入が一般的です。
数字だけを見ると短絡流通での購入は少数派のままですが、2000年代初めに起きた度重なる食品スキャンダルの後、製品の原産地、環境への影響などへの人々の意識の向上から、消費パターンは変化してきており、過去2年間と比べて地元で生産される食品の購入頻度が増えた人の割合は69%に上ります *4 。
オンライン、オフライン両面で整備されつつある短絡流通
高まる消費者の需要、農業政策と相まって、地域の農家と消費者をつなぐ取り組みが、オンライン、オフラインにわたって、様々な広がりを見せています。
オフラインでは生産者市場など直接販売場所の拡充、オンラインでは地域の自発的な地産地消をサポートする共同購入システムが、生産者主導で各地で広がっています。
また近年では特に、生産者の業務効率化を支援するような流通プラットフォームが新興企業やクリエーターにより構築され、オンラインマーケットやドライブスルー、グループ購入など様々な形で生産者、消費者双方に利用されています。
また従来のスーパーマーケットでも直売コーナーを設けたり短絡流通製品を多く扱う傾向になってきています。
地元の生産者と消費者のリンクを更新するべく、古くて新しい流通システムcircuit court(短絡流通)は、単なる流行ではなく、フランス人のライフスタイルのひとつとして定着してきたといえるかもしれません。
オフラインでは生産者市場など直接販売場所の拡充、オンラインでは地域の自発的な地産地消をサポートする共同購入システムが、生産者主導で各地で広がっています。
また近年では特に、生産者の業務効率化を支援するような流通プラットフォームが新興企業やクリエーターにより構築され、オンラインマーケットやドライブスルー、グループ購入など様々な形で生産者、消費者双方に利用されています。
また従来のスーパーマーケットでも直売コーナーを設けたり短絡流通製品を多く扱う傾向になってきています。
地元の生産者と消費者のリンクを更新するべく、古くて新しい流通システムcircuit court(短絡流通)は、単なる流行ではなく、フランス人のライフスタイルのひとつとして定着してきたといえるかもしれません。
出典:
- *1 2010年農業センサス(10年毎に行われる農業統計)=図1、図2、図3の出典
- *2 短絡流通における食料消費の全国調査(第一報)CODIA =図4の出典
- *3 短絡流通におけるフランス環境エネルギー管理庁(ADEME)の見解
- *4 フランス人と地域消費に関するアンケート2014年 =図5の出典
※このテーマは次号に続きます。
管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。