コラム、「ミルクの国の食だより」の第80回をお送りします。コロナ禍での食品の流通は、人々の間でどう変わっていったのでしょうか。
身近な生産者
2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2ヶ月間の外出制限措置がしかれたフランス。
国境は閉鎖され、輸出入の中断、外国人労働者の不足、さらには地元野外市場の閉鎖。いつまで続くかわからない状況に当初、人々は備蓄食品を求めてスーパーに駆け込みました。
そして、人との接触を最小限に抑えたいという思いから、多くの消費者がデジタルショッピングに移行していきました。
家で過ごす時間が長くなり、子供たちがいて、すべての食事が自宅でとられるようになると、人々は食品の品質に注意を向け、自宅に近く、最小限の接触で入手できる新鮮な季節の食物をますます探すようになりました *1)。
そして、気づいたはずです。嵐のようなスーパーマーケットから逃げ出したとき、家の近くに生産者がいることに。
国境は閉鎖され、輸出入の中断、外国人労働者の不足、さらには地元野外市場の閉鎖。いつまで続くかわからない状況に当初、人々は備蓄食品を求めてスーパーに駆け込みました。
そして、人との接触を最小限に抑えたいという思いから、多くの消費者がデジタルショッピングに移行していきました。
家で過ごす時間が長くなり、子供たちがいて、すべての食事が自宅でとられるようになると、人々は食品の品質に注意を向け、自宅に近く、最小限の接触で入手できる新鮮な季節の食物をますます探すようになりました *1)。
そして、気づいたはずです。嵐のようなスーパーマーケットから逃げ出したとき、家の近くに生産者がいることに。
野外市場の閉鎖と地方自治体の取り組み
野外市場の閉鎖が発表された時、生産者もまた、新たな販売方法を見つける必要がありました。
各地方自治体は消費者が地元の生産者から直接購入できるようにする短絡流通専用のプラットフォームをリストアップしたり、野外市場に代わって農家のバスケットを注文するためのWebサイトを作成し、地元の商工会議所などと連携して、物流に利用できる空き施設を提供し、地域社会や団体の支援を得て配達を行いました。
また、生産者が可能な限り最良の条件下で活動の継続性を確保できるように、支援を提供する新興企業がこの期間に続々と起業され、生産者と消費者を繋げるプラットフォームが数々誕生しました。
彼ら全員の使命は、可能な限り少ない仲介者で、季節の新鮮な製品を提供するために生産者を消費者に近づけることでした。さらに、生産者自身がオンラインコマースに乗り出し、農場のドライブスルーを設定したり、ソーシャルネットワーク経由で注文をとる生産者もいました。そして消費者も、感染の恐怖や移動距離の制限のためだけでなく、生産者の支援のために、短絡流通を利用しました *1) *3)。
デジタル技術を積極的に活用し、これまでのグローバル化から今度はローカルへの回帰が一斉に行われたのです。
各地方自治体は消費者が地元の生産者から直接購入できるようにする短絡流通専用のプラットフォームをリストアップしたり、野外市場に代わって農家のバスケットを注文するためのWebサイトを作成し、地元の商工会議所などと連携して、物流に利用できる空き施設を提供し、地域社会や団体の支援を得て配達を行いました。
また、生産者が可能な限り最良の条件下で活動の継続性を確保できるように、支援を提供する新興企業がこの期間に続々と起業され、生産者と消費者を繋げるプラットフォームが数々誕生しました。
彼ら全員の使命は、可能な限り少ない仲介者で、季節の新鮮な製品を提供するために生産者を消費者に近づけることでした。さらに、生産者自身がオンラインコマースに乗り出し、農場のドライブスルーを設定したり、ソーシャルネットワーク経由で注文をとる生産者もいました。そして消費者も、感染の恐怖や移動距離の制限のためだけでなく、生産者の支援のために、短絡流通を利用しました *1) *3)。
デジタル技術を積極的に活用し、これまでのグローバル化から今度はローカルへの回帰が一斉に行われたのです。
コロナ禍でさらに根付いた短絡流通
コロナウイルスによって引き起こされた健康危機により、フランス人の食糧購入習慣は大きく変わりました。
この2ヶ月で地方経済がほぼすべてを供給できることに気づいたのは明らかです。
地元で生産された製品や短絡流通の食品を購入する人が増え、制限解除後も多くの人が、この習慣を続けたいと願っています *1) *2)。
また、日常生活が閉ざされた中で、生産者、消費者が触れ合えたことは、双方にとって社会的な繋がりを感じる貴重な瞬間だったのかもしれません。
地元で消費することにより、仲介人の数を根本的に減らし、生産の状況を知り、起源についてさらに知り、危機におけるリスクを最小限に抑えることができる短絡流通。
今日、フランスでこの流通システムは一過性のブームではなく、人々の心に根付き始めています。
それは、短絡流通が単に販売方法に限定されるだけでなく、食品とのより直接的な関係を求め、生産者—消費者という垣根を越えて、お互いに関心を抱き、理解し、支えあうコミュニティ意識が根底にあるからだと思います。
この2ヶ月で地方経済がほぼすべてを供給できることに気づいたのは明らかです。
地元で生産された製品や短絡流通の食品を購入する人が増え、制限解除後も多くの人が、この習慣を続けたいと願っています *1) *2)。
また、日常生活が閉ざされた中で、生産者、消費者が触れ合えたことは、双方にとって社会的な繋がりを感じる貴重な瞬間だったのかもしれません。
地元で消費することにより、仲介人の数を根本的に減らし、生産の状況を知り、起源についてさらに知り、危機におけるリスクを最小限に抑えることができる短絡流通。
今日、フランスでこの流通システムは一過性のブームではなく、人々の心に根付き始めています。
それは、短絡流通が単に販売方法に限定されるだけでなく、食品とのより直接的な関係を求め、生産者—消費者という垣根を越えて、お互いに関心を抱き、理解し、支えあうコミュニティ意識が根底にあるからだと思います。
参考資料
- 1)「外出制限中のフランス人の食品消費アンケート」
- 2)「外出制限後のフランス人の新しい食行動」
- 3)「外出制限中の農場ドライブの成功、またはテクノロジーと地元の人々との会合」
- 4)「Covid-19、封じ込めと連帯:健康危機の際に行動し、サポートし、サポートされる1001のリソース」
管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。