第1回 カルシウム学
さまざまな食品の中でも牛乳に多く含まれるカルシウムは、日本人の食生活の中で一番不足しがちな栄養素です。
では、カルシウムにはどんなメリットがあり、どう摂取すると効果的なのでしょうか。カルシウムの上手な摂取法を考えます。
人体のカルシウムの99%は骨や歯に。ホルモン分泌や筋肉の運動にも一役。
カルシウムは人体にもっとも多く含まれるミネラルです。
成人の体重のおよそ2%を占めるといわれ、たとえば、50kgの体重の人なら約1kgのカルシウムが体内にあります。
その99%が骨や歯に含まれ、残りは血液や細胞、筋肉のなかに存在して、ホルモンの分泌や、血液の凝固、筋肉の収縮・弛緩などいろいろな生理機能に関わっています。
心臓が規則的に拍動を繰り返せるのも、カルシウムの働きによるものです。
成人の体重のおよそ2%を占めるといわれ、たとえば、50kgの体重の人なら約1kgのカルシウムが体内にあります。
その99%が骨や歯に含まれ、残りは血液や細胞、筋肉のなかに存在して、ホルモンの分泌や、血液の凝固、筋肉の収縮・弛緩などいろいろな生理機能に関わっています。
心臓が規則的に拍動を繰り返せるのも、カルシウムの働きによるものです。
カルシウムは、毎日の食事で意識しないと不足しがちな栄養素。
日本は火山国のため土壌が酸性で、ミネラルの含有量が欧米の半分程度といわれており、水やそこで育つ野菜に含まれるカルシウムの量も少なくなっています。
よって、カルシウムは毎日の食事で意識的にとらないとすぐに不足してしまいます。
1日当たりのカルシウム摂取の推奨量と、実際の摂取量を比較してみると、ほとんどの年齢で不足していることがわかります。
よって、カルシウムは毎日の食事で意識的にとらないとすぐに不足してしまいます。
1日当たりのカルシウム摂取の推奨量と、実際の摂取量を比較してみると、ほとんどの年齢で不足していることがわかります。
カルシウムの摂取推奨量と摂取量
年齢(歳) | 男性 | 女性 | ||
推奨量 (mg/日) | 摂取量(mg/日) | 推奨量(mg/日) | 摂取量(mg/日) | |
1~2 | 450 | 372 | 400 | 332 |
3~5 | 600 | 452 | 550 | 427 |
6~7 | 600 | 581 | 550 | 547 |
8~9 | 650 | 689 | 750 | 633 |
10~11 | 700 | 723 | 750 | 635 |
12~14 | 1,000 | 716 | 800 | 607 |
15~17 | 800 | 566 | 650 | 486 |
18~29 | 800 | 460 | 650 | 413 |
30~49 | 650 | 437 | 650 | 429 |
50~69 | 700 | 520 | 650 | 516 |
70以上 | 700 | 556 | 650 | 516 |
※赤字部分で摂取量が不足しています。
出典:推奨量「日本人の食事摂取基準(2015年版)」、摂取量「H24年国民健康・栄養調査」自身のカルシウム吸収率が良いだけではなく、食事全体のカルシウム吸収率を高める牛乳。
カルシウムは食べた量のすべてがカラダに吸収されるわけではなく、吸収率は食品によって異なります。カルシウムが豊富だといわれている食品の吸収率は、おおよそで牛乳は40%、小魚は33%、野菜類は19%です。
牛乳のカルシウム吸収率が高いのは、牛乳自身に含まれる乳糖やカゼイン・ホスホ・ペプチド(CPP、カゼインが消化される過程でつくられる)などがカラダのなかでカルシウムの利用率を高めるからです。
また、牛乳のたんぱく質はアミノ酸スコアが100の良質なたんぱく質です。必須アミノ酸のうちリジン、トリプトファンは、腸管でカルシウムの吸収を促進します。
そして、牛乳にも含まれるリンは、私たちの骨や歯をつくり神経や筋肉の機能を調整する大切なミネラルですが、牛乳の場合、カルシウムとリンの割合が、カルシウムの吸収率を高める理想的なバランス、約1対1であることも魅力です。
さらに、牛乳は自身に含まれるカルシウムだけでなく、食事全体のカルシウムの吸収を高めることも見逃せません。
下記に、1日の献立例を挙げてみました。これを見ると、乳製品をプラスするだけで、カルシウムの摂取量がぐんと良くなることがわかります。
乳製品を含め、さまざまな食材を毎日の食事に上手に取り入れて、不足しがちなカルシウムを効率良く摂りたいですね。
牛乳のカルシウム吸収率が高いのは、牛乳自身に含まれる乳糖やカゼイン・ホスホ・ペプチド(CPP、カゼインが消化される過程でつくられる)などがカラダのなかでカルシウムの利用率を高めるからです。
また、牛乳のたんぱく質はアミノ酸スコアが100の良質なたんぱく質です。必須アミノ酸のうちリジン、トリプトファンは、腸管でカルシウムの吸収を促進します。
そして、牛乳にも含まれるリンは、私たちの骨や歯をつくり神経や筋肉の機能を調整する大切なミネラルですが、牛乳の場合、カルシウムとリンの割合が、カルシウムの吸収率を高める理想的なバランス、約1対1であることも魅力です。
さらに、牛乳は自身に含まれるカルシウムだけでなく、食事全体のカルシウムの吸収を高めることも見逃せません。
下記に、1日の献立例を挙げてみました。これを見ると、乳製品をプラスするだけで、カルシウムの摂取量がぐんと良くなることがわかります。
乳製品を含め、さまざまな食材を毎日の食事に上手に取り入れて、不足しがちなカルシウムを効率良く摂りたいですね。
この食材でカルシウム! 1食で摂ることのできるカルシウムの目安量
カルシウムが多く含まれる食品をご紹介。100g中に含まれるカルシウム量と、1食分で摂ることのできるカルシウムの目安をまとめてみました。毎日の献立づくりに活用してください。
知っトク!コーナー
3年くらいで、人の骨はすべてつくりかえられています
骨は一度つくられると、ずっとそのままというイメージを抱きがちですが、そんなことはありません。私たちの皮膚などカラダの他の細胞と同じように、日々新陳代謝を繰り返し、つくりかえられています。
まず、メンテナンスの時期がきた骨に「破骨細胞」がくっつき、酸を分泌して溶かし、カルシウムを血液中に溶出します(骨吸収)。
そして、溶かされた骨の表面にある「骨芽細胞」が、膠原線維(コラーゲン)を分泌し、そこにカルシウムが沈着して新しい骨がつくられるのです(骨形成)。
このような一連の流れを「骨代謝」といい、3年くらいで全身の骨代謝が一巡します。
カルシウムを毎日きちんと摂っていれば、骨が壊されるとすぐに新しい骨がつくられ、骨の健康が保たれます。しかしカルシウムが不足すると骨が壊されるばかりなので、骨はどんどん弱くなってしまいます。だから、日々、牛乳や乳製品で上手に、カルシウムを補給することが大切なのです。
骨は一度つくられると、ずっとそのままというイメージを抱きがちですが、そんなことはありません。私たちの皮膚などカラダの他の細胞と同じように、日々新陳代謝を繰り返し、つくりかえられています。
まず、メンテナンスの時期がきた骨に「破骨細胞」がくっつき、酸を分泌して溶かし、カルシウムを血液中に溶出します(骨吸収)。
そして、溶かされた骨の表面にある「骨芽細胞」が、膠原線維(コラーゲン)を分泌し、そこにカルシウムが沈着して新しい骨がつくられるのです(骨形成)。
このような一連の流れを「骨代謝」といい、3年くらいで全身の骨代謝が一巡します。
カルシウムを毎日きちんと摂っていれば、骨が壊されるとすぐに新しい骨がつくられ、骨の健康が保たれます。しかしカルシウムが不足すると骨が壊されるばかりなので、骨はどんどん弱くなってしまいます。だから、日々、牛乳や乳製品で上手に、カルシウムを補給することが大切なのです。
みんなのMILK DATA
男女ともに、カルシウムを多く摂取しているのは「乳製品」。
何からカルシウムを摂取しているのか、「国民栄養の現状」をみてみますと、「乳製品」から摂取している割合がやはり高いようです。「乳製品」が占める割合は、15歳未満で実に5割、成人でも約2割。次いで多いのが「豆類」、「魚介類」となっています。
カルシウム摂取量のピークは育ちざかりの7-14歳。
カルシウムを一番多く摂取する年代は、男・女ともに小学生、中学生に当たる、7-14歳。カルシウムを摂取する食品の半分以上を「乳製品」が占めている点から想定すると、学校で、給食やお弁当の時間に飲む「牛乳」が大きく関係していると考えられます。つまり、子どもたちは、学校給食など生活習慣の中で上手にカルシウムを摂ることができているのです。
一方、中学生以降の年代は、この「学校給食での牛乳」がなくなるので、自分で食生活をしっかり管理し、意識的にカルシウムを摂る必要があります。
何からカルシウムを摂取しているのか、「国民栄養の現状」をみてみますと、「乳製品」から摂取している割合がやはり高いようです。「乳製品」が占める割合は、15歳未満で実に5割、成人でも約2割。次いで多いのが「豆類」、「魚介類」となっています。
カルシウム摂取量のピークは育ちざかりの7-14歳。
カルシウムを一番多く摂取する年代は、男・女ともに小学生、中学生に当たる、7-14歳。カルシウムを摂取する食品の半分以上を「乳製品」が占めている点から想定すると、学校で、給食やお弁当の時間に飲む「牛乳」が大きく関係していると考えられます。つまり、子どもたちは、学校給食など生活習慣の中で上手にカルシウムを摂ることができているのです。
一方、中学生以降の年代は、この「学校給食での牛乳」がなくなるので、自分で食生活をしっかり管理し、意識的にカルシウムを摂る必要があります。
j-milk magazine ほわいと2005夏「ミルク解体新書 第1回 カルシウム学」より