第8回 ヨーグルト学

ミルク解体新書

第8回 ヨーグルト学

発酵乳のひとつであるヨーグルト。爽やかな風味が特徴です。
含まれる乳酸菌の働きに期待して、健康づくりのために積極的に食べている人もいるようです。
牛乳だとお腹がゴロゴロするという人でも、ヨーグルトなら大丈夫。
その栄養や働き、味わいの魅力を知って、もっと毎日楽しんでみませんか。

ヨーグルトは古くから親しまれてきた乳製品

ヨーグルトは、乳に乳酸菌を加え、発酵させた乳製品です。紀元前数千年、人間が牧畜をはじめた頃から作られています。
原料は、牛乳だけでなく、水牛、山羊、羊など哺乳動物の乳が使われます。牛乳、水牛の乳から作るインドの「ダヒ」、馬の乳から作るモンゴルの「クーミス」など、世界各地で特色のあるヨーグルトが食べられています。
この「ヨーグルト」という言葉は、古代トルコの「乳から作った酸っぱい発酵乳」をさした「ユーグルト」が語源になっています。

日本でヨーグルトは、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で、種類別「発酵乳」とされていて、成分の規格は、無脂乳固形分(牛乳から乳脂肪分と水分を除いた成分)が8.0%以上で、乳酸菌数または酵母数が1000万/ml以上と定められています。

どのタイプでも栄養にすぐれたヨーグルト

ヨーグルトには、いろいろなタイプがありますが、成分規格が決められているので、どのタイプでも、たんぱく質やカルシウム、乳酸菌の効果は、ほぼ同じです。

●食べるヨーグルト(糊状)
牛乳などを乳酸菌で発酵させただけのものをプレーンヨーグルトといいます。そのほか寒天やゼラチンで固めたり、フルーツを加えたデザート感覚のものもあります。

●のむヨーグルト(液状)
発酵後、固まったヨーグルトを攪拌して液状にしたものです。

●フローズンヨーグルト(凍結状)
発酵したヨーグルトを攪拌しながら、空気を混入して凍結したもので、冷凍保存中も定められた数の乳酸菌が生きています。

製造方法は、種類によって異なります。

原料をタンクで発酵させてから、容器に充てんする「前発酵タイプ」と、原料を容器に充てんした後に発酵させる「後発酵タイプ」の2つのタイプに分けられます(図1 ヨーグルトの製造方法)。

さまざまな特徴をもつ乳酸菌

ヨーグルトを製造する上で、なくてはならない乳酸菌は、糖類を分解して多量の乳酸などを生成する細菌の総称で、1857年にパスツールによって発見されました。

乳酸菌は、広く自然界に存在し、人や動物の消化管にも生息しています。みそ、しょうゆ、漬物、チーズなども乳酸菌の働きを利用して作られています。

ヨーグルトの製造に使われている乳酸菌は、ブルガリア菌、サーモフィルス菌、ビフィズス菌、アシドフィルス菌などです。
乳酸菌の種類ごとにさまざまな特徴をもつため、乳酸菌の組み合わせ方により、製品ごとに風味や味、機能などが変わってきます。

ヨーグルトの乳酸菌による効果

乳酸菌には、いろいろな効果がありますが、代表的なものには、次のようなものがあげられます。

(1)整腸作用…消化管の有害菌を抑え、菌叢(きんそう)を正常にする。腸内腐敗を抑える。消化管の運動 を促進して便通を整える。
(2)消化吸収の促進…牛乳を乳酸発酵することにより消化吸収を促進する。
(3)免疫力を高める…病気に対する抵抗力をつける。
(4)アレルギー症状をやわらげる…花粉症など。

また牛乳を酸性にすることで保存性を高め、風味を高める効果もあります。

乳酸菌は、胃酸や胆汁酸の影響を受けて、腸まで生きて届くことができないものと、生きて腸に届き効果を発揮するものがありま。
しかし死んでしまった菌も、有害物質を吸着して排出させたり、免疫機能を高めてウイルスや病原菌からカラダを守ったり、体内で有効に働きます。

ヨーグルトの栄養価

牛乳は、それ自体栄養価の優れた食品ですが、ヨーグルトは乳酸発酵により、牛乳にはない機能性が加わった食べものに変化しています。

ヨーグルトに含まれるたんぱく質は、乳酸発酵により一部分解されているので消化吸収しやすく、また、乳糖の一部も分解されているため、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする人にもおすすめです。

またヨーグルトは、ビタミンCが少なく食物繊維は含まれませんから、フルーツとの組み合わせはおすすめです。味わいの相性も抜群です。

ただし、生のキウイフルーツ、パパイヤ、パイナップルなどには、たんぱく質分解酵素が含まれ、その酵素の働きにより、苦みを感じることがあるので、これらのフルーツと組み合わせる場合は、すぐに食べるようにしましょう。
プレーンヨーグルトと牛乳の栄養(100g中)
  エネルギー
(kcal)
水分
(g)
たんぱく質
(g)
脂質
(g)
炭水化物
(g)
カルシウム
(mg)
プレーンヨーグルト 62 87.7  3.6  3.0  4.9 120 
牛乳 67 87.4  3.3  3.8  4.8 110 
日本食品標準成分表2015年版(七訂)より

いろいろな食べ方で、毎日おいしく健康に

ヨーグルトはそのまま食べるだけでなく、爽やかな風味を生かしたさまざまな料理に利用されます。

ヨーグルトとフルーツやシリアルの組み合わせは、栄養学的にもすぐれているので、朝ごはんには最適です。
また、ドレッシングの材料として使うと、カルシウムの摂取量を増やせるだけでなく、エネルギーを抑えることができ、食物繊維が豊富な野菜をおいしく食べられます。

カレーなどの煮込み料理に加えると、ヨーグルトの爽やかな風味により、味わいをまろやかにすることができます。

調理に使うと、肉や魚の臭いを吸着したり、漬け込むことでやわらかく仕上がるなどの効果があります。

ヨーグルトのおいしさを保つ保存方法

乳酸菌は、温度が高いと活動が活発になって酸度が高くなり、味が酸っぱくなったり、水分(ホエー)が分離する原因になります。10℃以下の冷蔵庫で保存すると、乳酸菌は活動せず、風味を長く保つことができます。

ヨーグルトの上部に出てくる水分はホエー(乳清)といい、たんぱく質やミネラル、ビタミンなどの栄養分が豊富に含まれています。

牛乳のたんぱく質(カゼイン)が乳酸によって固まっていたものが、振動を加えたり、スプーンなどですくったときに、そのつなぎめが切れて分離してしまうことにより出てきます。
冷蔵庫では、ドアポケットに入れると、開閉の振動でホエーが出やすくなりますのでご注意を。
ホエーは捨てずに、ヨーグルトと混ぜて食べましょう。

ヨーグルトの体内での効果は、毎日続けて食べることで得られるもの。楽しみながら毎日の食事の中にヨーグルトを取り入れていきましょう。

知っトク

プロバイオティクスの力にご注目
 最近よく聞く「プロバイオティクス」。
プロバイオティクスとは、「人の健康に有益な働きをする生きた微生物」のことです。
抗生物質(アンチバイオティクス)に対する言葉で、共生(プロバイオシス)が語源です。

プロバイオティクスの代表的なものが乳酸菌です。乳酸菌にはおなかの調子を整える、免疫力を高める、アレルギー症状を緩和する(花粉症)、有害菌を抑制する(ピロリ菌)などさまざまな効果があります。

「おなかの調子を整える」などのカラダへの効果が認められたヨーグルトには、消費者庁が認めるトクホマークが。トクホマークにも注目しながら、自分のカラダにあったものを選んでいくのもよいでしょう。

みんなのMILK DATA

性・年齢別・地域別 飲食するヨーグルトのタイプ(複数回答) <ヨーグルト飲食者ベース>
  •  =全体より、10ポイント以上高い
     =全体より、5ポイント以上高い
世代や男女で好みが分かれるヨーグルト
いろいろなタイプがあるヨーグルト。どのタイプが好まれているのか調べてみると、全体ではプレーンヨーグルト45.4%で一番。でも、加糖のヨーグルト38.0%、果肉フルーツ入りヨーグルト36.1%、と大きな差はありません。
しかし、年代別・性別でその内訳を見てみると好みの差があらわれてきます。

プレーンヨーグルトをよく食べているのは50代女性と、60代の男性・女性。半数以上の人が食べています。
中学生・10代・20代の女性に人気なのは、果肉フルーツ入りのヨーグルトで、美容志向や味のバラエティ志向が高いことがうかがえます。

若い世代ほど甘いヨーグルトがお好み
男女ともに中学生・10代・20代に人気があるのは甘い味のもの。デザートやおやつ感覚で楽しんでいるのでしょう。 
風味を出したり、コクを出したり、料理にも活躍するヨーグルトの実力を知ってほしいですね。
j-milk magazine ほわいと2007春「ミルク解体新書 第8回 ヨーグルト学」より
(HP掲載にあたり、参照する統計データなどを更新)