国連フードシステムサミット2021に向けて〜Jミルクコミットメント~
日本においてもGDPやIDFなど国際的な酪農乳業組織と歩調を合わせ、国連フードシステムサミットにむけて、酪農乳業戦略ビジョンに基づくコミットメントを理事会において策定いたしましたのでお知らせいたします。
SDGs(持続可能な開発目標)を達成するためには、世界のフードシステム(食料の生産と消費の方法)を、経済・環境・社会・栄養の側面からバランスの取れた持続可能なものに改革することが必要です。
この課題の解決を図るため、国連は、本年9月に「国連フードシステムサミット」を開催することとしており、これに呼応して、全ての地域や国、ステークホルダー(農業者・食品企業・流通業者・消費者・政府・研究者・非営利組織などの関係者)に対し、持続可能なフードシステムへの改革が円滑に進むための突破口となる解決策(ゲームチェンジャーソリューション)の提案とコミットメント(責任ある約束)を求めています。
こうしたなかで、わが国においては、農水省から、「みどりの食料システム戦略」及び「持続的な畜産物生産の在り方」が提案されるとともに、企業や非営利組織などの多くのステークホルダーからもコミットメントが発表される予定です。
この課題の解決を図るため、国連は、本年9月に「国連フードシステムサミット」を開催することとしており、これに呼応して、全ての地域や国、ステークホルダー(農業者・食品企業・流通業者・消費者・政府・研究者・非営利組織などの関係者)に対し、持続可能なフードシステムへの改革が円滑に進むための突破口となる解決策(ゲームチェンジャーソリューション)の提案とコミットメント(責任ある約束)を求めています。
こうしたなかで、わが国においては、農水省から、「みどりの食料システム戦略」及び「持続的な畜産物生産の在り方」が提案されるとともに、企業や非営利組織などの多くのステークホルダーからもコミットメントが発表される予定です。
また、世界の酪農乳業セクターとしても、本年3月に、国際的な酪農乳業組織であるGDP及びIDFが共同声明を発表し、その中で、世界の酪農乳業が連携して進める「学校給食プログラム」「デーリー・サスティナビリティ・フレームワーク」「ネットゼロ・低炭素酪農への道筋」「アフリカに栄養を与える酪農」などのプロジェクトの推進を宣言するとともに、国連及び各国に対して、経済・食生活・環境面でもたらしている酪農の価値を最大限活かすような解決策を検討するように求めています。
「国連フードシステムサミット」に向け国内外の動きと連携するため、Jミルクが、2019年10月に決定した提言「力強く成長し信頼される持続可能な産業を目指して〜わが国酪農乳業の展望ある未来に向けた戦略ビジョン」(以下、「酪農乳業戦略ビジョン」という)を、SDGs達成の解決策(ゲームチェンジソリューション)のひとつとして位置付けて、関係者と一体的に次のような取り組みを推進します。
1 酪農乳業戦略ビジョンによる貢献
酪農乳業戦略ビジョンを通して、国連が示す持続可能なフードシステムのための5つのアクショントラックに対し、次の様に貢献します。
酪農乳業戦略ビジョンを通して、国連が示す持続可能なフードシステムのための5つのアクショントラックに対し、次の様に貢献します。
(1)「全ての人に安全で栄養価の高い食料へのアクセスを確保」への貢献
生乳生産量の目標を達成することを通して、牛乳乳製品の国内自給率を原料乳ベースで6割以上に維持し、日本国内の牛乳乳製品の需要に対して安定供給を図るとともに、増加が見込まれている新興国の乳製品需要に対して、世界の乳製品が適切に配分されることに貢献します。また、世界の酪農乳業セクターが進める「学校給食プログラム」の活動と連携し、子ども達のバランスの取れた栄養に不可欠な学校給食牛乳の安定供給に貢献します。
(2)「持続可能な消費パターンへの転換」への貢献
牛乳乳製品の安定供給を通して、日本人の栄養課題であるカルシウム不足や塩分過剰を補いつつ、植物性食品と動物性食品をバランスよく組み入れた、持続可能で健康な日本型の食事パターンの維持に貢献します。また、心血管疾患、2型糖尿病などの非感染性疾患のリスクを低減し、免疫システムを向上させる、牛乳乳製品の栄養機能を通して、日本人の健康寿命の延伸に貢献します。
(3)「自然に対してポジティブな生産を十分な規模で促進」への貢献
日本は、南北に3,000㎞に連なる島国で温帯及び亜寒帯に属し、約70%が山岳地帯、約67%が森林です。こうした中、酪農は、耕種農業に適していない冷涼地域や山岳地帯で、乳牛を飼養し生乳を生産することを通して、地域社会の存続に貢献しています。また乳牛の自給飼料をはじめ耕種農家などに乳牛の堆肥が供給されることで、「みどりの食料システム戦略」が目指す、化学肥料の削減や有機農業の拡大につながるとともに、酪農経営における再生可能エネルギーの利用を促進し、自然循環型の食料生産に貢献します。
(4)「公平な生計と所得配分を促進」への貢献
日本の酪農場で働く従事者の95%が家族世帯員であることからも明らかなように、酪農は規模の大小にかかわらず家族経営が中心です。また、酪農家は、年間50万人前後の子ども達に酪農場を活用した学習機会も提供しています。
加えて、ミルクは保存がきかず水分も多く輸送コストがかかるため、酪農生産の近隣地で乳製品に加工される必要があり、その結果、冷涼地や山岳地帯など、耕種農業や他産業の立地が困難な地域に雇用を生み出しています。また、酪農乳業の仕事は多様であるため、多くの女性や障碍者が活躍しています。
このような酪農セクターのもつ多様な社会的経済的価値を維持することで、地域社会における豊かな生活に貢献します。
(5)「脆弱性、ショック(危機)、ストレスに対する強靭性の構築」への貢献
経済のグローバル化、気候変動による自然災害の頻発、新たな感染症などにより、わが国のミルクサプライチェーンは、これまで以上に、予想を超える変化やリスクに見舞われています。また、日本における生乳の利用用途は7割が牛乳などのフレッシュな製品ですが、高齢化や担い手不足などによる大幅な酪農家戸数の減少で、酪農生産地域が限定されているため、消費と生産の地理的なギャップ、季節的なギャップが拡大しています。したがって、ミルクサプライチェーンの全ての分野において強靭性を強化することが特に重要ですが、こうした中、わが国においては、指定生乳生産者団体制度を背景に、生乳の需給及び流通の調整に関する酪農家と乳業者の協調的な関係性が形成されており、この機能の充実を図ることにより、持続可能なフードシステムの確立に大きく貢献することが期待されます。また、規模や経営のスタイルなど多様な酪農経営や乳業経営が、それぞれの地域に重層的に存在することで、変化に対するリスクを分散することが可能となります。
生乳生産量の目標を達成することを通して、牛乳乳製品の国内自給率を原料乳ベースで6割以上に維持し、日本国内の牛乳乳製品の需要に対して安定供給を図るとともに、増加が見込まれている新興国の乳製品需要に対して、世界の乳製品が適切に配分されることに貢献します。また、世界の酪農乳業セクターが進める「学校給食プログラム」の活動と連携し、子ども達のバランスの取れた栄養に不可欠な学校給食牛乳の安定供給に貢献します。
(2)「持続可能な消費パターンへの転換」への貢献
牛乳乳製品の安定供給を通して、日本人の栄養課題であるカルシウム不足や塩分過剰を補いつつ、植物性食品と動物性食品をバランスよく組み入れた、持続可能で健康な日本型の食事パターンの維持に貢献します。また、心血管疾患、2型糖尿病などの非感染性疾患のリスクを低減し、免疫システムを向上させる、牛乳乳製品の栄養機能を通して、日本人の健康寿命の延伸に貢献します。
(3)「自然に対してポジティブな生産を十分な規模で促進」への貢献
日本は、南北に3,000㎞に連なる島国で温帯及び亜寒帯に属し、約70%が山岳地帯、約67%が森林です。こうした中、酪農は、耕種農業に適していない冷涼地域や山岳地帯で、乳牛を飼養し生乳を生産することを通して、地域社会の存続に貢献しています。また乳牛の自給飼料をはじめ耕種農家などに乳牛の堆肥が供給されることで、「みどりの食料システム戦略」が目指す、化学肥料の削減や有機農業の拡大につながるとともに、酪農経営における再生可能エネルギーの利用を促進し、自然循環型の食料生産に貢献します。
(4)「公平な生計と所得配分を促進」への貢献
日本の酪農場で働く従事者の95%が家族世帯員であることからも明らかなように、酪農は規模の大小にかかわらず家族経営が中心です。また、酪農家は、年間50万人前後の子ども達に酪農場を活用した学習機会も提供しています。
加えて、ミルクは保存がきかず水分も多く輸送コストがかかるため、酪農生産の近隣地で乳製品に加工される必要があり、その結果、冷涼地や山岳地帯など、耕種農業や他産業の立地が困難な地域に雇用を生み出しています。また、酪農乳業の仕事は多様であるため、多くの女性や障碍者が活躍しています。
このような酪農セクターのもつ多様な社会的経済的価値を維持することで、地域社会における豊かな生活に貢献します。
(5)「脆弱性、ショック(危機)、ストレスに対する強靭性の構築」への貢献
経済のグローバル化、気候変動による自然災害の頻発、新たな感染症などにより、わが国のミルクサプライチェーンは、これまで以上に、予想を超える変化やリスクに見舞われています。また、日本における生乳の利用用途は7割が牛乳などのフレッシュな製品ですが、高齢化や担い手不足などによる大幅な酪農家戸数の減少で、酪農生産地域が限定されているため、消費と生産の地理的なギャップ、季節的なギャップが拡大しています。したがって、ミルクサプライチェーンの全ての分野において強靭性を強化することが特に重要ですが、こうした中、わが国においては、指定生乳生産者団体制度を背景に、生乳の需給及び流通の調整に関する酪農家と乳業者の協調的な関係性が形成されており、この機能の充実を図ることにより、持続可能なフードシステムの確立に大きく貢献することが期待されます。また、規模や経営のスタイルなど多様な酪農経営や乳業経営が、それぞれの地域に重層的に存在することで、変化に対するリスクを分散することが可能となります。
2 酪農乳業戦略ビジョンにおける生乳生産の目標
酪農乳業戦略ビジョンの推進及び国が定める「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(酪肉近)」との連携を図り、国内の牛乳乳製品の需要拡大を推進するとともに、2030年度までに、日本国内の生乳生産量を酪肉近で国が示した780万トン以上との目標を踏まえつつ、最大800万トン(2020年度生乳生産量の107.6%)に増加させ、牛乳乳製品の国内自給率の向上の実現を目指します。
3 酪農乳業戦略ビジョンの推進体制と目標設定
酪農乳業戦略ビジョンの実践的体制として、「戦略ビジョン推進特別委員会」が設置されています。
今後は、①アニマルウェルフェアと酪農乳業における労働環境、②温室効果ガスの削減、物質循環型の生産、③家族経営の安定と発展、地域社会への貢献の3つを中心課題として、日本政府が推進する「みどりの食料システム戦略」及び世界の酪農セクターが進める「デーリー・サスティナビリティ・フレームワーク」の取り組みと連携しつつ、具体的な実行内容と数値目標を設定し、持続可能なフードシステムへの改革を、酪農乳業セクターにおいてさらに進めていきます。
酪農乳業戦略ビジョンの推進及び国が定める「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(酪肉近)」との連携を図り、国内の牛乳乳製品の需要拡大を推進するとともに、2030年度までに、日本国内の生乳生産量を酪肉近で国が示した780万トン以上との目標を踏まえつつ、最大800万トン(2020年度生乳生産量の107.6%)に増加させ、牛乳乳製品の国内自給率の向上の実現を目指します。
3 酪農乳業戦略ビジョンの推進体制と目標設定
酪農乳業戦略ビジョンの実践的体制として、「戦略ビジョン推進特別委員会」が設置されています。
今後は、①アニマルウェルフェアと酪農乳業における労働環境、②温室効果ガスの削減、物質循環型の生産、③家族経営の安定と発展、地域社会への貢献の3つを中心課題として、日本政府が推進する「みどりの食料システム戦略」及び世界の酪農セクターが進める「デーリー・サスティナビリティ・フレームワーク」の取り組みと連携しつつ、具体的な実行内容と数値目標を設定し、持続可能なフードシステムへの改革を、酪農乳業セクターにおいてさらに進めていきます。
提言「力強く成長し信頼される持続可能な産業を目指して」(酪農乳業戦略ビジョン)の詳細は下記リンク先からご覧ください。