牛乳摂取はコレステロールの低下に関係し、冠動脈疾患リスクを低減する(Vol.18 2022.2)

ACADEMIC RESEARCH Up date -ミルクに関する国内外の最新研究-

ミルクに関する国内外の最新研究をリポートします

牛乳摂取はコレステロールの低下に関係し、冠動脈疾患リスクを低減する
~英国で行われた遺伝疫学研究から~

牛乳乳製品の摂取と心血管代謝疾患との関連については多くの研究が行われてきており、牛乳摂取はこれらの疾患のリスクを高めるとして、低脂肪乳の摂取が推奨されてきました。しかし、最近行われた大規模なコホート研究やメタ解析の結果では、むしろ循環器系疾患のリスクを下げることが報告されています。今回は、英国のレディング大学などが約200万人のデータをもとに行った研究で、International Journal of Obesity に掲載された論文「1,904,220人を対象とする2標本メンデルランダム化解析を活用した牛乳摂取と心血管代謝疾患との因果関係研究」について解説します。この研究では、「メンデルランダム化解析」という新しい疫学的解析手法を用いて、乳糖分解酵素(ラクターゼ)遺伝子変異(乳糖不耐に関係)に基づく牛乳摂取の遺伝的アプローチを行い、「より高い牛乳摂取量に関連した遺伝的変異を持つ参加者は、わずかに高いBMI、体脂肪を持っていたが、善玉(HDL)コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールのレベルは低いことがわかり、冠動脈疾患のリスクも有意に低いことがわかった。」としています。すなわち、脂質コントロールが必要な疾病においても、牛乳摂取を控える必要はなく、むしろ摂取するほう がリスクは低下するという興味深い報告です。

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