第23回 味の発見、チーズとパンのマリアージュ-3

ミルクの国の食だより

コラム、「ミルクの国の食だより」の第23回をお送りします。
前回に続き、チーズとパンの相性について。おいしくいただくヒントが満載です!

青カビタイプのブルードゥジェックス-Le Bleu de Gex-

2.ブルードゥジェックス-Le Bleu de Gex-
スイスとの国境に近いジュラ山脈の高地で14世紀のころから作られ始めた青カビタイプのチーズ。
同じ青かびタイプでもロックフォールのような湿り気たっぷりの柔らかいチーズではなく、形はセミハードタイプのよう。中に青カビが入っているとは思えないほど、表皮は、自然にできた乾いた外皮で被われていて、弾力もあります。
■ブルードゥジェックス。お供え餅のような形状で大型のため、カットされていないとブルーチーズには見えないのが特徴
ではまず香りから。
表面からは青草のような牧場の香り、青かびに覆われた内側からはブルーチーズ特有の香りが漂っています。
内側にびっしりとついたカビを見るとクセの強そうな味が想像されますが、味わってみると以外にもクセは弱く、塩もきつくありません。私的には、パクパク食べられちゃえそうな好みの味です。
素朴な味の中にナッツのような風味もあります。イザベルさんが、少し苦味があると話していたけど、私は口に入れたときは感じず、味わっていくと後から追いかけてくるように感ました。
ほかの参加者は、すぐに苦味を感じた人が多かったです。

青カビタイプのチーズにはドライフルーツ入りのパン

さて、このブルードゥジェックスにぴったりなのはドライフルーツのイチヂクが入ったライ麦パン。
発酵種を使ったパンは香りがよく、ライ麦の旨みとドライフルーツの甘みがを味わえるので、グルメのパンとも言われるそう。
このパンとブルードゥジェックスはどちらももっちりとした歯ごたえが似ているけれど、ブルードゥジェックスの苦味に対して、ドライフルーツの甘みのコントラストがいい。
他のブルーチーズほどくせはないし、このもっちりとした食感は日本人好みかもしれません。
チーズだけ、パンといっしょに、どちらも美味しいです。
■苦味のあるブルードゥジェックスに合うのがドライフルーツの入ったパン。イチヂクのほか、アンズなども合う

風味豊かなコンテ-Le Comte-

3.コンテ-Le Comte-
フランシュ・コンテ地方で作られている大きなハードタイプのチーズ。80ものフレーバーをもつといわれるほど風味豊かで、そのまま食べても料理に使っても、焼いてもよく、フランスで消費量の多いチーズのひとつ。
最低4ヶ月、長くて36ヶ月ほどの熟成期間によって、味わいが異なります。また、牛が干草を食む冬の乳で作られたものは象牙色でフルーティ、青草を食む夏の乳からは植物のカロテンの色が移って黄金色のコンテができます。
■フランスを代表する熟成ハードチーズ、コンテ。点々とした小さな白い粒は熟成中に結晶化したチロシン
では味わってみましょう。
香りはきつくなく、見た目に弾力があります。
熟成期間が短いものは塩味と苦味を強く感じますが、試食したのは18ヶ月熟成のコンテ。私はすぐ苦味を感じましたが、他の参加者はまろやかな甘みを感じた人がほとんどでした。
「断面に粒粒したものが見えますか」と、イザベルさん。よく見ると、点々とした小さな白い粒が確認できます。これは熟成中に結晶化したアミノ酸の一種、チロシン。意識して食べると、ジャリっとした歯ごたえを感じて美味しいです。また、旨み成分が固まっているので目をつぶって噛むと、フランスでよく食べられているパスタのグラタン(Gratin de pâtes )の味がするとか。私にはわかりませんでしたが、フランス人たちはその味を感じたようでかなり興奮していました。

コンテにはクルミのパン

このコンテに合うのがクルミのパン。
熟成によって旨みが増したコンテは、ほのかにナッツの味がするため、このクルミパンの香りとよく合い、またクルミの噛んだときのカリッとした歯ごたえがチロシンの粒の歯ごたえと相乗効果を醸し出します。
残念ながら、私はそこまでの味を見出せなかったですし、チーズもパンもそれぞれ味わい深かったので、それぞれ別々に食べた方が美味しいと感じました。
※このテーマは次号に続きます。お楽しみに。
管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。