フランス流にもっとピクニックを楽しもう!

連載コラム ミルクの国の食だより

コラム、「ミルクの国の食だより」の第68回をお送りします。今回は夏の楽しみのひとつ、ピクニックのお話です。ピクニックとはもともと「外で食べる食事」の意味だそう。近くの公園にパンとチーズなどの簡単な支度で出かけてみませんか。

ピクニックは夏の楽しみ

強風や雨の日が多く、冬のコートが手放せなかった5月のリヨン。6月に入り、ようやく太陽が一日中顔を出すようになったかと思えば、すがすがしさを通り越して一気に夏の暑さです。
フランスで夏の楽しみのひとつといえば、青空の下で過ごすピクニック。特に日曜日は多くの店が開いていないこともあり、友人らと気軽に誘い合って家族いっしょにピクニックに出かけることが多くなります。

ピクニックの語源とは?

さて、日本語のピクニックは、もとはフランス語《pique-nique》 からきています。

諸説あるようですが、その昔、牛飼いや羊飼いが《nique ささいなもの》で構成されたその日の最初の食事をとるために休憩をしたことが言葉のはじまりといわれていす。
農民たちが貧しかった時代、労働の合間に群れの中で食べたものといえば、パンと少しのチーズくらいだったのでしょう。それから「鳥が餌をつつく」という動詞《picorer》が語源の《pique》と合わさり、《pique-niqueピクニック》=「それぞれのものが持っている小さなものをつついている」という言葉となって、17世紀に生まれました。

時を経て裕福な人々のレジャーとして英国に伝わり、英語picnic、次いでドイツ語picknickに採用されていったそうです。

ピクニック = 屋外で楽しむ「食事」

日本語で「ピクニック」というと、どこかに「遠足に行く」というイメージがありますが、そもそもフランス語では「参加する人たちがみんなそれぞれ食べ物を持ち寄って、それを分け合って食べる食事」のことを指すので、必ずしも遠出をしなくても近くの公園や裏庭などの屋外で楽しむ「食事」のことを「ピクニック」と呼んでいます。

ちなみに学校の給食がストで休みになると、「この日はピクニックで受付けます」とお知らせをもらうことがあります。当初はどこか遠足に連れて行ってくれるのかと思いましたが、ピクニック=弁当を持たせることなのです。

ピクニックは外で食べることが重要なので、行く場所は関係ありません。また、食べるものも家で調理してから持っていかなくても、バゲットと好きなチーズ、ハムなどを持参して食事の場でサンドイッチを組み立てればよいので手間いらず。

弁当に何を持っていこうか頭を悩ませる心配は無用です。早起きして準備し、あれこれ作ってから出かけるイメージが強いピクニックですが、どちらかといえばあらかじめ出かける予定を立てておくというよりも、今日は天気がよいから外でご飯を食べようか?という感じで気軽に出かけます。

グループのピクニックには一品持ち寄りで

子ども会などのグループで予定を立てて行く時は大抵、塩系か甘系、どちらかを用意して来てくるようにいわれますが、塩系ならチーズと牛乳と卵だけのシンプルなキッシュやタルト、甘系なら焼き菓子など、自分たちの好みに合わせて一品だけ持参します。
オーブンで焼いた型に入ったまま持っていき、その場で分け合って食べるので、こちらも気負う必要はありません。

もとは火や湯を使う調理の必要がなく、また食器を持たなくて済む遊牧民のささいな食事だったのですからね。

夏のバカンスシーズンを迎える頃には22時ごろまで明るく、夕方からピクニックを楽しむ人も多くいます。夏休みのバカンスに出かけないフランス人は多くが友達や家族を家に呼んだり、ピクニックをしたいと考えています*。

手間をかけずに楽しい時間を一緒に共有することに価値があるのがフランス流のピクニックといえます。
*Observatoire des Loisirs des Français (juillet 2012) Kanter(フランス人の余暇時間の活用に関する世論調査)
  • 17世紀には貴族が王室庭園を楽しむためにピクニックが流行し、19世紀の産業革命をきっかけに、健康と娯楽のため都市に公園が誕生したり、休日の概念が生まれ、庶民もピクニックを娯楽として楽しむようになった
管理栄養士 吉野綾美

1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。