コラム、「ミルクの国の食だより」の第67回をお送りします。前回に続き朝食のお話です。朝食についての食育活動として、幼稚園では親子で参加する「朝食教室」が開かれるそう。栄養に関する講義はなくても、楽しみながら朝食の大切さを学べます。
朝食を食べずに登校する児童
今日、朝食は一日の生活リズムを作るために欠かせない習慣です。
前日の夕食以降、断食状態の身体にこれから始まる一日の活動源が入らなければ、身体に相当な負担を強いることになります。
フランスでは朝食の欠食率が高く、クラスに3~4人の児童が何も食べないで登校しています。
子どもが朝食を食べない理由として、
家庭環境の影響(68%)、起床時間が遅い(47%)、食欲がない(17%)、社会経済的困難(17%)があげられています。*
前日の夕食以降、断食状態の身体にこれから始まる一日の活動源が入らなければ、身体に相当な負担を強いることになります。
フランスでは朝食の欠食率が高く、クラスに3~4人の児童が何も食べないで登校しています。
子どもが朝食を食べない理由として、
家庭環境の影響(68%)、起床時間が遅い(47%)、食欲がない(17%)、社会経済的困難(17%)があげられています。*
プロジェクト「フランス朝食共同体」
朝は忙しく、家族であっても個々のペースが優先されがちです。
とりわけ一緒に暮らす親の生活様式は、子どもの食習慣に大きく影響を及ぼします。
例えば、両親が朝食を食べないので子どもも食べない、共働きで子どもが学校に出かける前に仕事に行ってしまうために朝食を食べない子ども、あるいは親が仕事に出かけない家庭であっても子どもを起こしたりもせず、学校に行く支度を子ども自らに任せている家庭もあるようです。
特にそういった家庭においては、朝食は個別にとるもので家族が一緒に摂らなくてもよいもの、そして「食べなくてもよいもの」と位置づけられ、ますます軽視される事態に。
タブレットやテレビなどの影響により、子どもの生活リズムが夜型になるのも、親の習慣が影響している場合が多くあります。
このような背景から、朝食の重要性を理解させるためには食の教育が大切で、子どもだけでなく、親も関わるような取り組みが必要なことを多くの教師が感じています。
国としても、公衆栄養の観点と将来の食文化衰退の憂いから、教育現場で連携して朝食に関する食教育を行えるように乳業団体、果汁団体、パン職人団体と共に「Le Collectif du Petit-déjeuner à la française(フランス朝食共同体)」と称するプロジェクトを2014年より展開しています。*
とりわけ一緒に暮らす親の生活様式は、子どもの食習慣に大きく影響を及ぼします。
例えば、両親が朝食を食べないので子どもも食べない、共働きで子どもが学校に出かける前に仕事に行ってしまうために朝食を食べない子ども、あるいは親が仕事に出かけない家庭であっても子どもを起こしたりもせず、学校に行く支度を子ども自らに任せている家庭もあるようです。
特にそういった家庭においては、朝食は個別にとるもので家族が一緒に摂らなくてもよいもの、そして「食べなくてもよいもの」と位置づけられ、ますます軽視される事態に。
タブレットやテレビなどの影響により、子どもの生活リズムが夜型になるのも、親の習慣が影響している場合が多くあります。
このような背景から、朝食の重要性を理解させるためには食の教育が大切で、子どもだけでなく、親も関わるような取り組みが必要なことを多くの教師が感じています。
国としても、公衆栄養の観点と将来の食文化衰退の憂いから、教育現場で連携して朝食に関する食教育を行えるように乳業団体、果汁団体、パン職人団体と共に「Le Collectif du Petit-déjeuner à la française(フランス朝食共同体)」と称するプロジェクトを2014年より展開しています。*
親子で参加する朝食教室
息子の通う幼稚園では先日、親子参加の朝食教室が開かれました。
事前に普段朝食に何を食べているかアンケートをとり、それについて先生から子供たちに話があったようです。
当日は机に並べられた様々な食べ物を各自好きなように食べ、子供たちは食べること自体を楽しんでいました。親はそれを温かく見守りながらコーヒー片手に先生や親同士わきあいあいとおしゃべり。栄養に関する特別な講義などなくても、食べ物を通すと自然と会話も弾みます。
子供も大人も楽しんでいる様子をみると、コミュニケーションを通じた精神的満足や人間性の発達につなげる心の栄養として食事は存在するのだと気づかされます。そもそも、栄養のことを第一に考えて食事をするフランス人はいないように思います。
朝食を食べないのが一番よくないことですが、一人で食べても美味しくないですよね。そしてコミュニケーションがなければ、教育、伝統文化の継承、社会性を身につけることはできません。
事前に普段朝食に何を食べているかアンケートをとり、それについて先生から子供たちに話があったようです。
当日は机に並べられた様々な食べ物を各自好きなように食べ、子供たちは食べること自体を楽しんでいました。親はそれを温かく見守りながらコーヒー片手に先生や親同士わきあいあいとおしゃべり。栄養に関する特別な講義などなくても、食べ物を通すと自然と会話も弾みます。
子供も大人も楽しんでいる様子をみると、コミュニケーションを通じた精神的満足や人間性の発達につなげる心の栄養として食事は存在するのだと気づかされます。そもそも、栄養のことを第一に考えて食事をするフランス人はいないように思います。
朝食を食べないのが一番よくないことですが、一人で食べても美味しくないですよね。そしてコミュニケーションがなければ、教育、伝統文化の継承、社会性を身につけることはできません。
残念ながら現代社会において朝食は個別化され、フランス人が食事で最も大切にしてきた共有の時間とは見なされなくなりつつあります。
しかし、人々が食卓に求めるものや食卓から得られるものが普遍なものであるならば、家族で食卓を囲むのが難しければそれが学校の友人、地域や職場の仲間であってもよいのかもしれません。
これまで多様性を受け入れ社会の発展とともに進化してきたように、朝食が日常生活の中でその場所を失うことがないよう適応していくことは可能なのだと思います。
しかし、人々が食卓に求めるものや食卓から得られるものが普遍なものであるならば、家族で食卓を囲むのが難しければそれが学校の友人、地域や職場の仲間であってもよいのかもしれません。
これまで多様性を受け入れ社会の発展とともに進化してきたように、朝食が日常生活の中でその場所を失うことがないよう適応していくことは可能なのだと思います。
参考資料
*Le petit-déjeuner,un repas essentiel de plus en plus délaissé et simplifié
(朝食—ますます無視され簡素化される必須の食事) CRÉDOC調査より
https://www.credoc.fr/publications/le-petit-dejeuner-un-repas-essentiel-de-plus-en-plus-delaisse-et-simplifie
*Le Collectif du Petit-déjeuner à la française
(フランス朝食共同体)
https://objectif-petit-dejeuner.fr/
(朝食—ますます無視され簡素化される必須の食事) CRÉDOC調査より
https://www.credoc.fr/publications/le-petit-dejeuner-un-repas-essentiel-de-plus-en-plus-delaisse-et-simplifie
*Le Collectif du Petit-déjeuner à la française
(フランス朝食共同体)
https://objectif-petit-dejeuner.fr/
管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。