フランス人とデザートの甘い関係 - 1

連載コラム ミルクの国の食だより

コラム、「ミルクの国の食だより」の第69回をお送りします。今回はフランスの食事に欠かせないデザートのお話です。

やさしい色合いの秋のフルーツ

真っ赤なネクタリン、さくらんぼ、桃、苺 ——太陽を燦燦と浴びた色鮮やかな果実に代わってマルシェには洋ナシ、ほおずき、ぶどうなど、やさしい色合いの果実や栗、くるみ、アーモンドなどの木の実が登場し、季節の移り変わりを知らせてくれます。

暑夏が過ぎ、ひんやりとした空気に入れ変わってくると、夏に食欲が減退した分、秋は甘いものが恋しくなってきます。
濃厚で、まったりと、とろけるような味わいのスイーツ。
見た目も楽しくて美しく、食べると幸せな気持ちになりますよね。
  • 洋ナシ、ぶどう、栗など、果実がほっこりと美味しい秋

デザートは食事の一部

フランスには、数多くの菓子が存在し、食後にこういった甘味を食べることは広く知られています。
実際、フランス人の食事場面を見ると、レストランばかりでなく家庭で食事するときでさえ、必ずといってよいほど食事の締めにデザートを食べます。

家庭ではヨーグルトや果物など手軽なデザートですが、何か甘いものを食べないと食事が終わった気がしないと感じるフランス人は多いように思います。
老若男女問わず、国民的になぜこれほどまでデザートを好むのでしょうか。
その理由のひとつがフランス料理の構成。

食事は多くの場合、前菜・メイン・デザートの3品で構成されています。学校の給食も然り。
デザートは「食事の最後の給仕‐dernier service du repas‐*」という位置づけで、「食後」ではなく、あくまでも食事の一部。食事全体の1/3を占めるほどデザートは重要な存在なのです。

「3皿目の食事」というだけあって、レストランで食べると、日本人の感覚からすればかなりのボリュームで甘さも強め。なぜこんなに甘いのかといえば、フランス料理ではデザート以外の料理の味付けに直接砂糖を使わないからだとか。

日本の料理では、肉や魚を煮たり焼いたりする際に砂糖やみりんを使った甘辛い味付けが多くあります。糖分をすでにある程度摂取しているので、その後にボリュームのあるデザートを欲しいとは思いません。
  • 秋の味覚のひとつ、かぼちゃ。かぼちゃやさつまいもなどの野菜を使った菓子はフランスにはありません

食事の満足感をデザートで

一方、バター、クリームを使ったフランス料理のソースなどは濃厚ではありますが、そこまでお腹に溜まるという感覚はない気がします。
また、フランス人の義両親宅で料理を作った時、肉料理に砂糖を使ったところ、なぜ砂糖を入れるのか驚かれたこともあります。

最後の料理=デザートに砂糖を多く使うことで、より充実した満足感と満腹感が得られるのかもしれません。

では、フランス料理はいつ頃から今日の形になったのでしょうか。
人々を魅了する甘い皿はどのように発展してきたのでしょうか。
クリームや乳製品との出会いも関係していそうです。
そのあたり、歴史を紐解いてみたいと思います。

*Dictionnaire de l'Académie Française 9e édition
※このテーマは次号に続きます。
管理栄養士 吉野綾美

1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。