コラム、「ミルクの国の食だより」の第84回をお送りします。今回からは食事に欠かせないパンの話題です。フランスでパンといえば、細長いバゲットのことをいいます。
新型コロナ第2波の影響
学校の秋休みが終わりに近づいた2020年10月下旬、新型コロナウイルス感染症の第2波が深刻な状況となり、フランス全土で再び外出禁止令がしかれることになりました。
春の第一波の時と異なり、学校閉鎖は行わず、マルシェ(屋外市場)の営業は継続、公園にもアクセス可能など、状況を判断しつつ一部の経済活動は確保しながらの外出禁止措置になります。
食料品などの生活必需品は購入できるように、今回はスーパーだけでなく小売店やマルシェが開いていることもあって、買いだめで陳列棚が空っぽになることは今のところ起こっていません。
誰もがこの春にすでに経験していることもあってか、淡々と動向を見守りながら生活しているような印象です。
春の第一波の時と異なり、学校閉鎖は行わず、マルシェ(屋外市場)の営業は継続、公園にもアクセス可能など、状況を判断しつつ一部の経済活動は確保しながらの外出禁止措置になります。
食料品などの生活必需品は購入できるように、今回はスーパーだけでなく小売店やマルシェが開いていることもあって、買いだめで陳列棚が空っぽになることは今のところ起こっていません。
誰もがこの春にすでに経験していることもあってか、淡々と動向を見守りながら生活しているような印象です。
パリッとした表皮とふわっとした内層のバゲット
さて、フランス人にとって必需品なのが、パン(pain)。
第一波の時は、家庭でパンを作る人が増えて小麦粉が品不足になったのはまだ記憶に新しいところです。
小麦粉、塩、酵母、水のシンプルな材料で作られ、長さ55~65cm、直径6~7cm、重量200~300g。パリッとした黄金色の表皮とふわっとしたスポンジ状の内層が特徴のパン。
フランスでパンといえば食パンではなく、この細長いバゲットのことをいいます。
このフランスのシンボル的存在でもあるバゲットを袋に入れずにそのまま持って、町を歩くフランス人をテレビなどで見たことがある人も多いと思います。
第一波の時は、家庭でパンを作る人が増えて小麦粉が品不足になったのはまだ記憶に新しいところです。
小麦粉、塩、酵母、水のシンプルな材料で作られ、長さ55~65cm、直径6~7cm、重量200~300g。パリッとした黄金色の表皮とふわっとしたスポンジ状の内層が特徴のパン。
フランスでパンといえば食パンではなく、この細長いバゲットのことをいいます。
このフランスのシンボル的存在でもあるバゲットを袋に入れずにそのまま持って、町を歩くフランス人をテレビなどで見たことがある人も多いと思います。
バゲットはあらゆるシーンで食卓に登場
歴史的にみると、バゲットはそれほど古くからあるものではなく、一般に広く普及したのは1920年以降のこと。
今日、バゲットは毎日一人当たり約1/2本(125g)食べられていて、92%が常備している日常不可欠な食品です。
朝食で68%、昼食で80%、夕食で82%、間食で19%と、一日のあらゆるシーンでバゲットは登場します。*
食物エネルギー供給量に占めるバゲットを含むパンの割合は14.6%(308.3kcal)*と、他のあらゆる食品の中で最も高くなっています。
こう書くと、フランス人の主食はやっぱりパン、と思うかもしれませんが、パンは決して主食ではありません。というよりも、彼らにはそもそも主食という概念がないといえます。
今日、バゲットは毎日一人当たり約1/2本(125g)食べられていて、92%が常備している日常不可欠な食品です。
朝食で68%、昼食で80%、夕食で82%、間食で19%と、一日のあらゆるシーンでバゲットは登場します。*
食物エネルギー供給量に占めるバゲットを含むパンの割合は14.6%(308.3kcal)*と、他のあらゆる食品の中で最も高くなっています。
こう書くと、フランス人の主食はやっぱりパン、と思うかもしれませんが、パンは決して主食ではありません。というよりも、彼らにはそもそも主食という概念がないといえます。
主食ではないが食事に必須な「パン」
日本人にとっての主食とは、「日常の食事の主体となる食物。日常の食事の中心になる食物(農水省)」です。
日本人はご飯を口の中に含んでから、濃いめに味付けされたおかずも同時に口の中に運ぶという食べ方をするように、「米=おかずを食べるための主食」という概念があります。
しかし、ヨーロッパでは「小麦=パンを食べるために肉や野菜を食べる」、わけではありません。
フランス人に、ご飯とおかずが別々に盛られた日本食を出すと、おかずはおかずだけで食べるので塩辛く感じ、ご飯はご飯だけで食べるので味が薄いと感じるのはありがちなことです。
前菜、メイン、デザートという食事の概念の中では、パンは前菜に添えられたり、メインディッシュのソースを拭うためなどに消費されるおまけのような感じなのです。
けれどもなくてはならない存在。
決して主食ではないけれど、食事には付き物で必須なのがパン。
フランス人の生活とパンの結びつきは、現代の日本人のお米とのそれよりも、もっと強いかもしれません。
*INCA 3(フランス国民栄養調査2017年)
https://www.anses.fr/fr/system/files/NUT2014SA0234Ra.pdf
*LES FRANCAIS ET LE PAIN (フランス人とパンに関するアンケート研究)
https://france3-regions.francetvinfo.fr/sites/regions_france3/files/assets/documents/2017/06/15/etude-pain-dossier-de-presse-3119539.pdf
日本人はご飯を口の中に含んでから、濃いめに味付けされたおかずも同時に口の中に運ぶという食べ方をするように、「米=おかずを食べるための主食」という概念があります。
しかし、ヨーロッパでは「小麦=パンを食べるために肉や野菜を食べる」、わけではありません。
フランス人に、ご飯とおかずが別々に盛られた日本食を出すと、おかずはおかずだけで食べるので塩辛く感じ、ご飯はご飯だけで食べるので味が薄いと感じるのはありがちなことです。
前菜、メイン、デザートという食事の概念の中では、パンは前菜に添えられたり、メインディッシュのソースを拭うためなどに消費されるおまけのような感じなのです。
けれどもなくてはならない存在。
決して主食ではないけれど、食事には付き物で必須なのがパン。
フランス人の生活とパンの結びつきは、現代の日本人のお米とのそれよりも、もっと強いかもしれません。
*INCA 3(フランス国民栄養調査2017年)
https://www.anses.fr/fr/system/files/NUT2014SA0234Ra.pdf
*LES FRANCAIS ET LE PAIN (フランス人とパンに関するアンケート研究)
https://france3-regions.francetvinfo.fr/sites/regions_france3/files/assets/documents/2017/06/15/etude-pain-dossier-de-presse-3119539.pdf
※このテーマは次号に続きます。
管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。