第39回 ショコラショーでホットひと息

連載コラム ミルクの国の食だより

コラム、「ミルクの国の食だより」の第39回をお送りします。
寒い冬には何といっても熱々のチョコレートミルク。体が温まるだけでなく、チョコレートの香りで気持ちが安らぎます。

リヨンの冬

今年は東京で11月としては54年ぶりとなる雪が降りましたね。
リヨンは、アルプスの山に近いためか、雪が多いイメージがあるようですが、冬でも雪はほとんど降りません。
降ってもすぐ溶けてなくなりますが、雪が降った時は、雪慣れしてないので東京と同じく交通機関がストップしやすいようです。
■ 12月、リヨンの繁華街の様子

ショコラショーは冬の定番ホットドリンク

暖かかったり寒かったり不安定な天候の11月を境に、12月にかけて徐々に気温が下がり、光の祭典の日の前にはキーンと冷え込んで乾燥した寒さになるリヨン。
冬は日照時間が短く、薄暗い曇り空が多いので、気分が落ち込まないよう温かい飲み物を飲んで心もからだもリラックスしたいものです。
そんな日に恋しくなるショコラショー。子どもから大人までチョコレートをこよなく愛するフランス人にとって冬の定番ホットドリンクです。
ショコラショー(chocolat chaud)は、”熱いチョコレート”の意味。
カカオ豆からカカオバターを取り除いた粉末ココアをミルクに溶かしたホットココアもショコラショーのひとつですが、甘みを抑えたカカオ含有量の多い板チョコをそのままきざみ、それをミルクで溶かした濃厚な味のショコラショーはチョコ好きにはたまりません。
味の決め手がチョコレートであることにはかわりませんが、ミルクの種類を変えても楽しめます。
乳脂肪の割合や、異なる殺菌方法の牛乳を使ってみたり。味の相性が何といってもよいミルクとチョコレート。
色々と自分好みにアレンジができるのも魅力です。
(ミルクの種類についてはこちら「ミルクの国の食だより 第2回 牛乳の選び方-1」)
■ カフェオレボウルにたっぷり注ぐのは家庭流ショコラショー。寒い冬、フランスの子どもたちはこれを飲んで登校する

ショコラショーのバリエーション

Le chocolat express ショコラエクスプレス
一番手軽にできるのは粉末ココアで作るショコラショー。
カップにココア、砂糖、ミルクを小さじ1づつ混ぜ、温めたミルクを300ml注ぐだけ。好みで砂糖を増やしたり、はちみつにかえても。
Le chocolat à l’ancienne 昔ながらのショコラショー
小なべに板チョコ20gを割りいれ、ミルクを300ml注いでふきこぼれないよう混ぜながら加熱。
電子レンジの場合は、耐熱容器に板チョコを割りいれ、ミルクを小さじ1入れて30-45秒加熱し、よく混ぜてから冷たいミルクを注いで加熱1分。
Le chocolat à l’espagnole スペイン風ショコラショー
海を越え、はるかヨーロッパに初めてカカオ豆を持ち帰ったのがスペイン人。コーンスターチを使ったねっとりと濃厚なスペイン風ショコラショー。
鍋にコーンスターチ(かたくり粉)大さじ1、砂糖大さじ1を少量のミルクと混ぜておき、そこにミルクを600ml加えて沸騰させながら混ぜ、濃厚感が出てきたら削ったブラックチョコを80g投入。
チョコが溶けたらできあがり。好みでバニラやシナモンを加えても。
Le chocolat à la viennoise ウィーン風ショコラショー
なみなみと注がれた熱々のショコラショーに、たっぷりの生クリームでカップをふちどったウィーン風ショコラショー。
150mlのミルク、50mlのクリームを使って、あとは昔ながらのショコラショーと同じ作り方で。
ほかにも、ウィスキーやラム酒を垂らしたり、ナッツやフルーツ、胡椒やカルダモンなどのスパイスを加えてもGood。

チョコレートの香りで心まで温かく

熱々のショコラショーは、それだけで体を芯から温めてくれるし、その香りと甘さに包まれると、不思議と気持ちが安らいで、とても豊かな気持ちになるもの。
あわただしい気分になりがちな年の暮れ、熱くて甘~いショコラショーでほっと一息つきませんか。
■ クリスマスマーケットで見つけた、スティックチョコレート。熱々のミルクの中で溶かせば簡単にショコラショーができる。ナッツや香辛料などのフレーバーもさまざま
■ 町の中心街では光の祭典(12/8~10)の準備中。観覧車に張られたスクリーンにはイルミネーションが咲く予定
管理栄養士 吉野綾美
1999年より乳業団体に所属し、食育授業や料理講習会での講師、消費者相談業務、牛乳・乳製品に関する記事執筆等に従事。中でも学校での食育授業の先駆けとして初期より立ち上げ、長年講師として活躍。2011年退職後渡仏、現在フランス第二の都市リヨン市に夫、息子と暮らす。