メタボリックにさようなら

メタボ対策のホント・ウソこれって◯×どっち?

2008年4月からメタボリックシンドロームの早期発見を目的とした、特定検診・特定保健指導がはじまりました。
メタボ対策の声が高まる中、その認知度は約9割に増加。一方で、継続的に改善策を実施している人はまだ3人に1人の割合なのだとか。そこで、あらためてその基礎知識について学んでみましょう。
長く実践するためには「楽しく、おいしく」がとても大切です。そこで、牛乳・乳製品を活用したサポート情報を多彩にご紹介。毎日の生活習慣を見直してメタボリックシンドロームを予防しましょう。
■監修 蒲池 桂子(かまち・けいこ)さん
女子栄養大学栄養クリニック主任、管理栄養士、栄養学博士。女子栄養大学栄養学部栄養科学専攻卒業。横浜市済生会南部病院事業所勤務後、フリーの管理栄養士として食のコンサルティングに携わる。東京慈恵会医科大学糖尿病・糖尿病性腎症の方への栄養指導に多くかかわる。現在、女子栄養大学栄養クリニック主任、東京慈恵会医科大学管理栄養士を兼務。著書に「らくらくダイエットレシピ集」(永岡書店)など。2008年5月発売ニンテンドーDSソフト「続けられない大人のためのメタボ脱出トレーニング」を監修する。

そもそもメタボリックシンドロームとは?

生活習慣病に大きくかかわる「メタボリックシンドローム」

ここ数年間でよく耳にするようになった「メタボリックシンドローム」。その基準は、内臓の周囲に脂肪がたまった内臓脂肪型肥満に加え、高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか2つ以上を併せもった状態を指します。たとえひとつひとつは軽度でも、これが複数重なることによって動脈硬化を引き起こし、日本人の3大死因を占める「心疾患」、「脳血管疾患」といった命にかかわる病気の危険度が急激に高まります。内臓脂肪は、高血糖、高血圧、脂質異常の基盤になっているものです。薬を服用することでそのうちひとつの疾患を改善したからといって、ほかの疾患は改善されません。重要なのは、内蔵脂肪の蓄積を減らしていくことなのです。
「ぽっこりお腹が気になる」と感じたら要注意です。メタボリックシンドロームと強く疑われる人は予備群の人も合わせると、約1960万人と推計されています。40~74歳の男性2人に1人、女性5人に1人にものぼっています(厚生労働省2005年「国民健康・栄養調査」より)。そして、メタボリックシンドロームの要因は生活習慣の中に。だからこそ、特別なことと身構えずに、毎日の生活を少しでも見直していくことが大切なのです。

メタボ対策には1に運動、2に食事!

メタボ対策の基本は「運動+食事」にしっかり禁煙、最後に薬

メタボ対策のはじめは「運動+食事」です。というのも内臓脂肪は、皮下脂肪とくらべ、たまりやすく減りやすいという特徴が。この内臓脂肪を減らすためのポイントが、エネルギーの消費と摂取のバランスです。
まずは、毎日適度な運動と規則正しい食事を心がけることからはじめましょう。運動は、身体機能を活発にすることで血糖や脂肪を消費。1日3食の規則正しい食生活は、生活リズムを与え自律神経のバランスを整えることで体内の代謝を活発にします。さらに、運動や食事の時間はできるだけ一定の生活リズムに保つようにすることも大切。カラダがそのリズムを自然に覚え、脂肪を効率よく燃やすことや、空腹感と満腹感が調節され食べ過ぎを防ぐことへつながるのです。
また、ストレスや喫煙は内臓脂肪をためる原因に。ストレスがあることで「やけ食い」のような異常な食行動を起こしてしまうケースもあります。喫煙は動脈硬化を促進させ、脳卒中や虚血性心疾患の危険性も高めるなど悪影響を及ぼす可能性があるため、禁煙をおすすめします。そして薬に頼るのは最後に。すでに治療が必要な場合には、薬によるコントロールを医師と相談の上で適切に使用しましょう。 

1.運動 週23エクササイズが目標!

健康づくりのためには、下図にあるような「活発な身体活動」を週23エクササイズ以上行いましょう。そのうち4エクササイズ以上は「運動」を。「運動」を取り入れていくことで消費エネルギーを増やし、体力の向上へつながります。
たとえば、平日は「通勤(徒歩40分)」を5日間、昼休みに「散歩(20分)」を週1回、土日は「犬の散歩(徒歩20分)」、「こどもと遊ぶ(30分)」、「買い物(徒歩20分)」をしている人の場合、合計「生活活動」で19エクササイズになります。残りの4エクササイズ以上は「運動」で実行。「軽いジョギング(20分)」、「水泳(15分)」などをプラスするといいでしょう。このように一週間ごとに運動量を確認することで運動不足を解消していきたいですね。

2.食事 日々の食生活から改善!

内臓脂肪の蓄積を予防するためには、エネルギーの摂取と消費のバランスが大切です。まずは、毎日の食生活を見直していきましょう。内臓脂肪の蓄積がある人の多くは、脂っこいものや主食、菓子類などを好み、脂肪や糖分の摂取が多いのが特徴。また食事のしかたも「早食い」「時間や回数に不規則な食事」「空腹でないのに無意識に食べてしまう」などの行動がみられます。1日3食バランスの取れた適切な量の食事を心がけましょう。
気にかけたい改善ポイント
  • 夕食は軽めに、油を使った料理は控える
  • 塩分は控えめにする
  • 副菜を多く食べる
  • 不足しがちな牛乳・乳製品を意識して取る 

ミルクでおいしくヘルシーを楽しもう!

栄養バランスに優れた牛乳・乳製品がメタボ対策のお役に立ちます。
毎日上手に活用して、おいしくヘルシーに食生活の改善を。

ついついしてしまう欠食や食べ過ぎをサポート

朝食は1日のはじまりの大切な食事です。時間がなくても欠食せず、朝食はしっかり食べる習慣を。
また夕食など、食べ過ぎにも要注意です。満腹感は食事をはじめて数十分経つと現れるため、急いで食べると満腹感が現れる前に食べ過ぎてしまうことがよくあります。早食いのセーブも心がけましょう。
そこで『牛乳・乳製品』を活用
  • 忙しい朝も牛乳を飲む、チーズを1かけだけは食べるという習慣を。
  • 食べ過ぎ防止のために、食事前に1杯の牛乳を。適度な満腹感が得られます。 
ドライフルーツやナッツなどがミックスされたシリアル「グラノーラ」。40~50gに牛乳200mlをかければカンタン朝食のできあがり。
ホットミルクをかけてもグッド。

1日3食でバランスよくエネルギーダウン!

メタボ対策には、1日3食の中で食事の量や栄養のバランスを意識し、摂取するエネルギーをコントロールすることが大切です。お酒を飲みたい時はごはんなど主食の量を加減し、夕食を食べ過ぎた時は翌日の摂取量を抑えるなど、食事全体で考えたいですね。
そこで『牛乳・乳製品』を活用
  • 牛乳は、良質なたんぱく質・カルシウム・ビタミン類など栄養バランスに優れているのに、エネルギーはそれほど高くありません。エネルギーをコントロールするサポートに。 
鍋に水300mlと固形コンソメ1個を入れて火にかけ、沸騰したら、茶碗軽く2杯のごはんと、ミックスベジタブル、シメジなど(合わせて100g程度)を入れる。しばらく煮たら牛乳200mlを加え、器に盛りつける。お好みで粉チーズやパセリをかける。

不足しがちな副菜料理にも多彩に活躍!

野菜、キノコ、イモ、海藻などを使った副菜は食事の引き立て役。特に意識して取りたい料理でもあります。たっぷり野菜を食べるためには、煮る、ゆでる、蒸すといった加熱調理をして野菜のかさを減らすのがコツ。スープやシチューなどの煮込み料理もいいですね。
そこで『牛乳・乳製品』を活用
  • 牛乳に含まれる動物性たんぱく質や乳糖によって、野菜に含まれる鉄の吸収力がアップ。
  • 料理をまろやかでコクのあるものにし、野菜もやさしいなめらかな舌触りに仕上げます。 
ジャガイモ、ニンジン、キャベツ、キノコなど(合わせて500g程度)、野菜は食べやすく切っておく。鍋に水600~800ml、カレールウ2皿分を入れ、煮立ったら、ひと口大に切った鶏肉150gと野菜を加え、やわらかくなったら牛乳100mlを加える。

昔ながらの和の食材と組み合わせて

昔ながらの食材である豆、海藻、干しシイタケなどの乾物は、低エネルギーで食物繊維もたっぷり。メタボ対策にぜひ取り入れていきたい食材です。特に天日に干した食品は、ミネラルやビタミンなどの栄養が多く含まれるので、乳製品と乾物は栄養面でもおすすめの組み合わせです。
そこで『牛乳・乳製品』を活用
  • みそやしょうゆ、和風だしの味と相性がぴったり。和風の献立作りに。
  • クリーミーな味わいが素材の風味を引き立て、新鮮なおいしさを届けます。 
ジャガイモ1個、玉ネギ1/4個、ニンジン1/3本は食べやすい大きさに切る。鍋に水150ml、めんつゆ(3倍濃縮)大さじ2とひと口タイプの高野豆腐6個、野菜を入れて火にかけ、約10分ほど煮る。牛乳100mlを加え、水溶き片栗粉を入れてとろみをつける。

ちょっとした工夫で、塩分・糖分を控えられる!

日本人の食事摂取基準にしめされた食塩相当量の目標量は1日女性8g未満、男性は10g未満ですが、推定必要量は1日1~2g程度で、通常の食生活で不足することはまずありません。ポイントは、素材のもち味をいかし調味料の使い過ぎを抑える、食塩が多く使われている加工食品を控えることです。
そこで『牛乳・乳製品』を活用
  • 牛乳・乳製品のもつコクやうまみが、塩分の摂り過ぎを防ぎます。
  • 牛乳のもつほのかな甘み(乳糖)により砂糖の量を加減することができます。 
  •  
プレーンヨーグルト大さじ3、牛乳大さじ2、塩・コショウ・粉チーズ・パセリ各少々をすべて混ぜ合わせる。 

気になる情報まとめてご紹介! なるほどメタボNEWS

まずは運動できるカラダづくりから こどものメタボ対策
メタボリックシンドロームはおとなだけの問題と思いがちですが、こどもにも関係しています。肥満傾向児は、1970年代は約8%程度だったのに対し、近年10%前後に上昇。さらに小学校6年時に肥満であると、おとなになってメタボリックシンドロームにかかるリスクが高いという発表もありました。(労働者健康福祉機構実施の2006年アンケート調査より)
メタボ予防としてまずは、元気よく運動できるカラダづくりが大切。牛乳には、小児期に必要なたんぱく質やカルシウムがたっぷり含まれています。こどもの今後の丈夫なカラダと食習慣のために、親子いっしょにコップ1杯の牛乳からはじめるのもよいかもしれませんね。 
気になる体脂肪率。牛乳を飲んでいる人の方が低かった!
牛乳と体脂肪率の関係にとても興味深い結果が見られました。女子栄養大学の上西一弘教授が中高生を対象に、牛乳を「毎日400ml以上飲む」から「ほとんど飲まない」まで5グループに分けた調査を行いました。それによると、女子の場合、牛乳を多く飲んでいるグループの方が飲まないグループにくらべ、体脂肪率が低いという結果が出たのです。
アメリカの研究では、牛乳でカルシウムを十分に摂取することで、脂肪細胞における脂肪の合成が抑えられるのではと推測されています。牛乳を取り入れて、継続できるメタボ対策を心がけたいですね。 
現在研究中、乳製品とメタボリックシンドロームの関係
2005年、アメリカで発表された「食事に含まれるカルシウム・ビタミンDの摂取量が、中高年アメリカ人女性のメタボリックシンドロームの有病率とどう関係があるか」という研究によると、カルシウムと乳製品の摂取量が多いと、中高年女性のメタボリックシンドロームの有病率が低くなる、という可能性が示されました。
日本でも同様にメタボリックシンドロームと牛乳・乳製品の関係に注目した、研究が進められています。2007年末には国際学術フォーラム「生活習慣病およびメタボリックシンドロームの予防と治療~食事と運動戦略~」が実施され、その注目の高さがうかがえます。今後の研究結果が楽しみですね。 
ゲームで手軽にメタボ対策「おとなのためのメタボトレーニング」
メタボ対策がなかなか続けられないと感じる人には、2008年春に発売されたニンテンドーDSソフト「続けられない大人のためのメタボ脱出トレーニング」がおすすめです。こちらは、今号のほわいとでも監修をお願いしている女子栄養大学 蒲池桂子さん監修のもと開発されました。
コンセプトは、無理なく継続的な健康管理をし、メタボリックシンドロームを改善すること。食事と運動を毎日チェックしていくと、現状に合わせたアドバイスが。特に食事では四群点数法(私たちが食べている食事を4つの食品群に分類し、それらを利用することで健康的な食生活を送ることができる食事法。牛乳・乳製品は第1群に分類されています。)を基準にし、わかりやすく必要栄養量を教えてくれます。この手軽さがうれしいですね。  
  • 価格 3,990円(税込)プレイ人数 1人

ヘルシー&ビューティーレシピ MILK×ビューティーレシピスト 松見早枝子さん ヘルシーを楽しみながら、美しさも磨きをかけよう。

毎日の食生活が、私たちの健康的なカラダをつくります。
ヘルシーを楽しむのはもちろん、さらに美容にもよいレシピがあるとうれしいですね。
そこで、今回は料理研究家でもあり2003年ミス・インターナショナル日本代表でもある松見早枝子さんに、旬の食材とミルクのもち味を活かしたヘルシー&ビューティーなレシピを教えていただきました。 

私ならミルクをこうアレンジ!

雑穀は、思ったより簡単に取り入れることができる食材です。特に肌トラブルが気になる冬にはおすすめ。雑穀と牛乳には豊富な美肌成分が含まれており、特に牛乳にも含まれるビタミンB2は、肌に潤いを与える成分です。また脂肪の燃焼に必要な栄養素ともいわれています。
骨ごと食べられる魚は、カルシウムがたっぷりでうれしいですね。さらにチーズを加えることでカルシウム摂取量をより高めることができます。また、チーズは料理の見た目を華やかにするので、あまり主役になりにくい食材でもメイン料理に生まれ変わります。献立作りに役立ちそう。
“おいしい”と感じながら食べることが、ヘルシーを楽しむ最大のポイントです。料理を考える時には、プラスの面に目を向けて、食事をより楽しみましょう。エネルギーが気になれば、低エネルギーの野菜と組み合わせたり、カルシウムをたっぷり摂ろうとテーマを決めて食べるのもいいですね。
松見早枝子オフィシャルウェブサイト:http://www.matsumisaeko.com
ほわいと(2008冬)より

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