生乳生産量
図1-15「日本の生乳生産量の推移」の通り、2022年度の日本の生乳生産量は約753万tで2015年度に比べ12万t(1.6%)増加しています。地域別でみると、2022年度は北海道で8.7%増加しましたが、都府県では6.3%の減少となっています。
図1-15 | 日本の生乳生産量の推移
国産生乳の用途別乳量と国内総需要量
国産生乳の生産量(2022年度)は約753万tで、このうち約53%の394万tは牛乳等飲用向けに、残り約47%の354万tは乳製品向けなどに利用されました[図1-16]。
国内の総需要量(2022年度)は1,198万tで、そのうち国産生乳が約63%、輸入乳製品(生乳換算)は約37%となっています[図1-17]。
国内の総需要量(2022年度)は1,198万tで、そのうち国産生乳が約63%、輸入乳製品(生乳換算)は約37%となっています[図1-17]。
図1-16 | 国産生乳の生産量と用途(2022年度)
図1-17 | 国内総需要量(2022年度)
注1 「国内生乳生産量」には、自家消費等約5万tの生乳が含まれる
国産生乳(2022年)の仕向けの内訳は、飲用等向が約394万t、生クリーム等向が約123万t、チーズ向が約45万t、脱脂粉乳・バター等向が181万tとなっています。北海道では乳製品向の割合が高く、都府県では飲用等向の割合が高くなっています[図1-18]。なお、国産生乳の仕向け順は、賞味期限の短い製品が優先され、①飲用等向、②生クリーム等向、チーズ向、③脱脂粉乳・バター等向の順になっており、生乳生産量の増減や飲用等向、生クリーム等向、チーズ向の需要の増減が、最終的に脱脂粉乳・バターの製造量や在庫量に影響を与えるといった生乳需給構造になっています。
図1-18 | 国内の生乳需給構造(2022年度)
牛乳乳製品の需給調整
生乳の生産量は季節によって変動します。日本の乳牛の大半を占めるホルスタイン種は暑さに弱いため7〜10月は生産量が少なく、4〜6月は生産量が多くなります。逆に、牛乳等の需要量は気温の高い6〜9月が多く、冬場は少なくなります。
生乳は中長期的な需要と供給の変動による需給ギャップだけではなく、前述のように季節変動による需給ギャップなどが生じるため、需給ギャップへの対応がほぼ毎日求められます。しかし、生乳の生産量は乳牛の生理によるため需要に合わせて調整するのは難しく、また生乳は保存性が低いので酪農家段階で貯蔵して調整することもできません。そのため、生乳の需給調整は通常、生乳の流通段階や加工段階で行われています。流通段階では生乳生産者団体による飲用向け・乳製品向けといった生乳の用途間分配による調整、北海道や都府県との間の生乳の移出入による調整、加工段階では貯蔵可能な脱脂粉乳・バターの製造量の増減による調整が実施されています。
2000年代以降の用途別の推移をみると、飲用等向は減少傾向にあり、最大だった2002年度から2010年代には2割以上減少しています。一方で、乳製品向は、日持ちがせず輸入品と競合しない生クリームや脱脂濃縮乳が大きく拡大。そして需給調整の調整弁としての役割を担う脱脂粉乳・バター等向については、生クリーム等向・チーズ向が拡大したことや、需給緩和時に減産型の計画生産が行われたこと等による酪農家や乳牛の減少もあり、縮小傾向で推移しています。しかし近年、脱脂粉乳需要とバター需要にアンバランスが生じ、脱脂粉乳の過剰在庫が課題となっています。
生乳は中長期的な需要と供給の変動による需給ギャップだけではなく、前述のように季節変動による需給ギャップなどが生じるため、需給ギャップへの対応がほぼ毎日求められます。しかし、生乳の生産量は乳牛の生理によるため需要に合わせて調整するのは難しく、また生乳は保存性が低いので酪農家段階で貯蔵して調整することもできません。そのため、生乳の需給調整は通常、生乳の流通段階や加工段階で行われています。流通段階では生乳生産者団体による飲用向け・乳製品向けといった生乳の用途間分配による調整、北海道や都府県との間の生乳の移出入による調整、加工段階では貯蔵可能な脱脂粉乳・バターの製造量の増減による調整が実施されています。
2000年代以降の用途別の推移をみると、飲用等向は減少傾向にあり、最大だった2002年度から2010年代には2割以上減少しています。一方で、乳製品向は、日持ちがせず輸入品と競合しない生クリームや脱脂濃縮乳が大きく拡大。そして需給調整の調整弁としての役割を担う脱脂粉乳・バター等向については、生クリーム等向・チーズ向が拡大したことや、需給緩和時に減産型の計画生産が行われたこと等による酪農家や乳牛の減少もあり、縮小傾向で推移しています。しかし近年、脱脂粉乳需要とバター需要にアンバランスが生じ、脱脂粉乳の過剰在庫が課題となっています。
column2
脱脂粉乳とバターの需給アンバランス
脱脂粉乳・バター等の製造量の増減による生乳の需給調整において、近年課題となっているのが脱脂粉乳の過剰在庫です。コロナ禍において、これら乳製品の製造量は飲用需要の低下などにより増加した一方で、需要は業務用をはじめとして落ち込み、脱脂粉乳・バターとも在庫が過剰となりました。
その後、2023年に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行してからは人出やインバウンドの増加が寄与し、バターは需要が回復。しかし、脱脂粉乳ははっ酵乳の低迷から需要が低調なままで在庫の積み増しにつながっており、改善のためには、継続的な需要拡大、理解醸成活動が不可欠となっています。
その後、2023年に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行してからは人出やインバウンドの増加が寄与し、バターは需要が回復。しかし、脱脂粉乳ははっ酵乳の低迷から需要が低調なままで在庫の積み増しにつながっており、改善のためには、継続的な需要拡大、理解醸成活動が不可欠となっています。