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公正競争規約に定められた義務表示事項

飲用乳について虚偽や誇大な表示の発生を未然に防止するため、乳事業者は「飲用乳の表示に関する公正競争規約」(以下、公正競争規約)という自主ルールを設定しています。公正競争規約では、牛乳類を容器包装に入れて販売する場合は義務表示事項(具体的に表示することが義務づけられている事項)を一括して見やすい場所に表示することを定めています。牛乳類の義務表示事項は、表2-4の通りです。
表2-4 | 牛乳類の義務表示事項
表示項目 特別牛乳 牛乳、
成分調整牛乳、
低脂肪牛乳、
無脂肪牛乳
加工乳 乳飲料
種類別名称
(常温保存可能品) 注1 注1 注1
商品名
無脂乳固形分
乳脂肪分
植物性脂肪分 注2
乳脂外動物性脂肪分 注2
原材料名
「生乳100%(国産)」と表示する 生乳を使用したときは
「生乳(50%以上)(国産)」または
「生乳(50%未満)(国産)」と表示する
原料原産地名 注3 注3 注3 注3
殺菌 注4 注5
内容量
消費期限または賞味期限
保存方法
開封後の取扱
製造所所在地
製造者

注1 常温保存可能品にのみ表示する
注2 使用する場合にのみ表示する
注3 対応する原材料名の次に括弧を付して表示することもできる
注4 未殺菌を許可された特別牛乳にあっては未殺菌と表示する
注5 殺菌温度や時間は省略できる
図2-4 | 一括表示の例
 図2-4「一括表示の例」は、種類別「牛乳」の義務表示事項を一括表示したものです。一括表示内の公正マークは、公正競争規約に適正な商品かどうかの審査を受けたことを示しています。表示した成分値については、認定検査機関による年3回のチェックがあります。
種類別「牛乳・成分調整牛乳・低脂肪牛乳・無脂肪牛乳」は、生乳を100%使用した商品ですが、それ以外の種類別商品には2種類以上の原材料が使用されています。
また、複数の原材料を使用する場合の原材料名は、「一括表示欄の原材料名欄」に、乳・乳製品を含む主要原料等の量の多い順に、次に添加物の量の多い順に記載するよう定められています。

消費期限と賞味期限

牛乳類の期限表示には、「賞味期限」と「消費期限」の2種類があります。賞味期限とは、未開封の状態で、製品に表示されている保存方法、温度で保管した場合においしく食べることができる期限のめやすです。期限後すぐに食べられなくなるわけではありません。
消費期限は、未開封のまま、表示された保存方法を守って保管した場合に安全に食べられる期限のことです。どちらの期限表示も開封してしまうと無効になります。
期限表示は各メーカーが独自に決めており、製造方法や物流条件などによって違いがあります。牛乳の場合は、高温殺菌牛乳は賞味期限、劣化の早い低温殺菌牛乳には消費期限が定められています。

アレルゲンを含む食品に関する表示

消費者庁は、えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の8品目(2023年3月9日改正時)のアレルギー原因物質(アレルゲン)を含む加工食品に、それらのアレルゲンを含む旨の表示を義務づけています。これにより、食物アレルギーの患者は、アレルギー表示を確認することで自分が食するものの中に自分が反応するアレルゲンを含むかどうかを判断し、選別することができます。

視覚障害者などが牛乳とわかる容器の流通

図2-5 | 切欠き
切欠き

500mL以上の切妻屋根(ゲーブルトップ)型紙パックには、目の不自由な方や高齢の方が触っただけで種類別「牛乳」とわかるよう、「切欠き」といわれる形状を容器屋根の頂上部につけた牛乳容器が流通しています[図2-5]。
切欠きの反対側が開けやすい「開け口」になっています。この容器は世界的に注目され、消費者などから高い評価を得ています。