keyword search

乳児期の体の特徴

乳児期の1年間は、生涯の中で最も発育状態の大きい時期です。出生時に50cmほどだった身長は1年で約1.5倍になり、3kg程度だった体重は生後3~4カ月で約2倍、1年で約3倍になります。
視覚や嗅覚、聴覚、味覚、皮膚感覚なども発達し、光や音への反応のほか、3カ月ごろからは食物の味や香り、舌触りなどにも反応を示し始めます。また、運動機能や脳神経系の発達により、7カ月を過ぎるころからは、這う、つたい歩きをするなど、動きが広範囲になります。喜怒哀楽の感情も表れ、あやすと笑う、人見知りをする、不快になると泣くなど反応が豊かになり、10カ月前後になると片言の言葉が出始めて子どもらしくなってきます。

授乳期における牛乳乳製品の役割

生後4カ月ごろまでは、母乳や乳児用調製乳(育児用ミルク)を吸うことが主となります。
母乳は乳児の体に必要な栄養成分が消化されやすい形で含まれており、新生児の食物として最も適しています。母乳には、母親の栄養状態が大きな影響を及ぼします。「日本人の食事摂取基準」では母乳授乳婦には母乳分泌に相当する栄養成分が付加量として記載されており、エネルギーやたんぱく質、ビタミンA・B群・C、鉄、亜鉛、ヨウ素などについて付加が必要です。また、カルシウムを十分に摂ることも重要です。EPA、DHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚介類、ビタミンやミネラルが豊富な緑黄色野菜、乳製品、大豆製品などを積極的に摂るように心がけましょう。

離乳期における牛乳乳製品の役割

生後5~6カ月になり、液と混ざり合ったどろどろの食物を飲み込めるようになったら離乳期に入ります。牛乳やヨーグルトは、口腔機能がまだ十分に発達していない乳児には食べやすい食物です。また、栄養素とともに水分も補給できる牛乳やヨーグルトは、発汗による脱水症状を起こしやすい乳児に適した食物といえます。
離乳食には、7~8カ月ごろから消化しやすいヨーグルトなどを少しずつ加えていき、1歳を過ぎたら徐々に牛乳にも慣らしていきます。また、離乳食の進みが遅く食材の幅が広がらない場合には、鉄などを強化したフォローアップミルクの利用も子どもの発達に有効です。
牛乳乳製品には、筋肉や血液のもととなる良質なたんぱく質、骨や歯の成長・強化に必要なカルシウム、ビタミンDなどが含まれています。また、牛乳乳製品に含まれるビタミンB12は赤血球の生成や神経細胞の機能維持に必要で、乳児の脳の発達にも関与するといわれています。
column26
乳製品の摂取時期とアレルギー
巷には「離乳食で特定の食物を除去すると子どもが食物アレルギーになりにくい」という説があり、そのため離乳食で牛乳を与えるタイミングを遅らせるとアレルギーの発症予防になると思っている人が少なくないようです。
しかし、離乳食で牛乳を与える時期を遅らせても食物アレルギー発生の予防効果は認められておらず、むしろ特定の食品の導入を遅らせることは免疫寛容が誘導されず、かえって食物アレルギーのリスクを高めることがわかってきました。そのため、乳児に対し、食物アレルギー予防のために離乳食開始時期や食物アレルギーの原因食物となりやすい食物の摂取開始を遅らせることは、「推奨されない」とされています(食物アレルギー診療ガイドライン2021)。
なお、牛乳アレルギーと診断された場合は、医師による適切な食事指導に従うことが大切です。