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ヨーグルトの起源

ヨーグルトは数あるはっ酵乳の一種です。はっ酵乳の歴史は古く、人類が乳を利用し始めたころまでさかのぼります。紀元前8000年ごろ、今から約1万年前に、西アジアで家畜として羊や山羊が飼われるようになり、搾乳が始まりました。
ある日、残しておいた羊の乳がいつの間にか酸味のあるさわやかな飲み物に変わっていました。古代人たちはこれを乳の保存法として取り入れ、その地方独特の利用方法で発展させてきたのです。以来、今日までの長い付き合いが始まりました。

世界のヨーグルトの歴史

世界には牛乳や山羊乳、羊乳、水牛乳、馬乳などを原料として、ヨーグルトをはじめインドのダヒ、ロシアのケフィール、モンゴルのクーミス、デンマークのイメールなど、特色あるはっ酵乳が各地でつくられています。
中央アジアの遊牧民アーリア人は、馬や羊の乳を発酵させてつくったアルコール性の飲み物を飲んでいたといわれています。また、紀元前2000年ごろ、メソポタミアにバビロン文化を築き上げたアムール人は、家畜の乳でつくったはっ酵乳を食べ物や薬として使っていました。
さらに、13世紀ごろの蒙古人は、戦場に出かける際に必ず馬の乳を発酵させたクーミスを軍旗にふりかけ、必勝を祈っていました。インドでも、お釈迦様が飲んでいたと伝えられています。
はっ酵乳の一種であるヨーグルトの語源は、古代トルコの「乳からつくった酸っぱいはっ酵乳(ユーグルト)」です。1908年にノーベル生理学・医学賞を受けたロシアのメチニコフが「ヨーグルトによる長寿説」を発表して以来、世界的に有名になりました。

日本のヨーグルトの歴史

日本でも太古の時代にヨーグルトに似た物を食べていたようです。奈良時代には、らく醍醐だいごという乳製品が貴族に珍重されていましたが、その中で「らく」がヨーグルトのようなものと推定されます。
しかし、残念ながらその後は武士の台頭により、乳を利用した食文化は発達しませんでした。日本でのヨーグルトの歴史は、明治の文明開化まで待たねばなりませんでした。
明治時代、乳牛が輸入され牛乳の販売が始まりました。1894年ごろ、売れ残った牛乳の処理として、牛乳を発酵させた「凝乳ぎょうにゅう」が売り出されました。これが日本でつくられた最初のヨーグルトです。大正時代になり、「ヨーグルト」という名称も使われるようになりましたが、当時は一部の人びとだけに飲まれるか、病人食として珍重される程度でした。
ヨーグルトが本格的に生産され始めたのは1950年、戦後になってからです。
最近では特定保健用食品(トクホ)のマークの付いたものや、機能性表示食品としてのヨーグルトなど種類も増え、いろいろなヨーグルトが楽しめるようになりました。