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成人中期の体の特徴

成人前期に比べて精神的には充実してきますが、身体的な機能は30歳を過ぎるころから徐々に衰退し始めます。
40代では基礎代謝が下がり、体力低下や疲労感などを感じやすくなってきます。
女性では40代ころから肥満者が増加し始め、40代後半から月経不順などが生じて更年期に入り始めます。男性では30代から40代にかけて肥満者の割合が急増し、高血圧症や脂質異常症、メタボリックシンドロームの有病者やその予備軍も増えてきます。
年齢とともに基礎代謝量は低下していきますが、その自覚はまだ薄い時期です。忙しい生活の中で食生活が乱れやすく、外食や中食が増えると脂質や食塩の過剰摂取や栄養の偏りが生じやすくなります。子育て中の場合は、子ども中心の料理になりやすいことから、肉や油脂の摂りすぎになりがちです。こうした栄養バランスの乱れに運動不足やストレス過多が重なると、生活習慣病などを招きやすくなります。

成人中期における牛乳乳製品の役割

成人中期は牛乳乳製品の摂取が最も少ない世代ですが、骨量が減り始める前にカルシウム源として牛乳乳製品を十分に摂ることが大切です。特に女性は更年期に向けて骨粗鬆症予防が重要な課題です。牛乳に含まれるビタミンDはカルシウムの骨への沈着を助けるとともに、ラクトフェリンなどが含まれる乳塩基性たんぱく質(Milk Basic Protein:MBP)も骨の強化に役立つと注目されています。牛乳乳製品を多く摂取する人は摂取量が少ない人に比べて血圧が低く、女性ではBMI値や腹囲、中性脂肪も低く、メタボリックシンドロームの有病率は40%少ないという国内の研究報告もあります。
牛乳乳製品は腸内菌叢を介しての腸内環境改善、免疫機能の強化にも役立ちます。また、牛乳に多いビタミンB12は認知症予防や動脈硬化予防にも関与するとして注目されています。
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生活習慣病予防における牛乳の働き
成人中期に多く見られる肥満は、糖尿病、高血圧、脂質異常症、胆石症、痛風などの生活習慣病のリスクとなります。生活習慣病をコントロールしないで放置しておくと、日本人の死亡原因の上位を占める心疾患(心筋梗塞)、脳卒中などの致命的な病気に発展する危険性があります。
牛乳にはさまざまな生活習慣病を予防する働きが認められています。体脂肪率を低下させることによる肥満予防、血清総コレステロール値を上昇させないことによる脂質異常症の予防、痛風の予防、高血圧の予防、食後の血糖値を上昇させないことによる糖尿病の予防など、多くのデータが示されています。さらに、がんについても、胃がん、大腸がん、乳がんなどの発生が抑制されるというデータも示されています。また、牛乳は女性に多い骨粗鬆症を予防するカルシウムを多く含むだけではなく、栄養バランスのとれた食品です。成人中期の食生活の改善にはぜひ加えたい一品です。
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筋肉づくりには、運動後の牛乳が最適!
運動後のたんぱく質摂取と筋肉の合成速度
運動後のたんぱく質摂取と筋肉の合成速度
出典:Wilkinson et al. Am J Clin Nutr, 2007より改変

20~30歳代を過ぎると筋肉が少しずつ減り、体脂肪が増えていきます。筋肉が減ると基礎代謝量が低下しメタボや糖尿病、心臓病のリスクが高まるため、バランスの良い食事と適度な運動が大切です。
体の中では、たんぱく質のアミノ酸を使って筋肉がつくられます。牛乳のたんぱく質は、大豆や卵などのたんぱく質より、筋肉をつくるスイッチを入れる分岐鎖アミノ酸(BCAA/バリン、ロイシン、イソロイシン)が多く、なかでも特に重要なロイシンが豊富です。また、BCAAには筋肉痛や疲労を和らげる働きもあります。筋肉をつける上で最も効果的なのは、運動後できるだけ速やかに、たんぱく質を摂ることです。牛乳のたんぱく質は大豆のたんぱく質と比べて消化吸収が速く、体内で筋肉をつくるスピードが上がりやすく、効果もより長く続きます。