栄養的効果
ヨーグルトは牛乳や脱脂粉乳などの原料を乳酸菌で発酵させたものです。牛乳の栄養に加え、乳酸菌の働きによる栄養・保健効果も期待できます。
乳酸発酵によりたんぱく質の一部がペプチドまで分解されており、消化吸収されやすくなっています。
ヨーグルト中の乳糖の20~40%は乳酸菌により分解されているうえ、乳酸菌の持つ乳糖分解酵素(ラクターゼ)が腸で働くため、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする乳糖不耐の人にも安心です。
牛乳と同じくカルシウムが豊富に含まれ、しかもヨーグルトの中に産生される乳酸にはカルシウムの吸収促進作用が知られています[表3-8]。
乳酸発酵によりたんぱく質の一部がペプチドまで分解されており、消化吸収されやすくなっています。
ヨーグルト中の乳糖の20~40%は乳酸菌により分解されているうえ、乳酸菌の持つ乳糖分解酵素(ラクターゼ)が腸で働くため、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする乳糖不耐の人にも安心です。
牛乳と同じくカルシウムが豊富に含まれ、しかもヨーグルトの中に産生される乳酸にはカルシウムの吸収促進作用が知られています[表3-8]。
表3-8 | ヨーグルトの栄養(100g中)
エネルギー (kcal) |
水分 (g) |
たんぱく質 (g) |
脂質 (g) |
炭水化物 (g) |
カルシウム (mg) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
ヨーグルト(全脂無糖) | 56 | 87.7 | 3.6 | 3.0 | 4.9 | 120 |
ヨーグルト(ドリンクタイプ、加糖) | 64 | 83.8 | 2.9 | 0.5 | 12.2 | 110 |
普通牛乳 | 61 | 87.4 | 3.3 | 3.8 | 4.8 | 110 |
生理的効果
ヨーグルトの酸味は食欲を増進させ、胃液の分泌や腸のぜん動運動を促し、消化吸収を助ける作用があります。また、乳酸は腸内の微生物に利用され、多くの酪酸やプロピオン酸などの有機酸をつくり、腸内の有害菌を減らす効果があります。
腸に生きて達する乳酸菌は腸内で増殖して乳酸をつくり、悪玉菌を抑えて有害な物質がつくられるのを防いで、腸の調子を整える働きがあります。
このようなヒトの健康に役立つ働きをする生きた微生物を「プロバイオティクス」と呼び、最近の研究では、乳酸菌が免疫力を高め、がんや感染症に対する抵抗力を高めることも報告されています。
乳酸菌は生きていなくても、発酵生産物や菌体成分にも健康増進に貢献する効果(抗腫瘍性、血圧降下作用、血清コレステロール低下作用)があることが近年明らかにされつつあります。これらの成分を「バイオジェニックス」あるいは「ポストバイオティクス」と呼ぶ場合があります。
腸に生きて達する乳酸菌は腸内で増殖して乳酸をつくり、悪玉菌を抑えて有害な物質がつくられるのを防いで、腸の調子を整える働きがあります。
このようなヒトの健康に役立つ働きをする生きた微生物を「プロバイオティクス」と呼び、最近の研究では、乳酸菌が免疫力を高め、がんや感染症に対する抵抗力を高めることも報告されています。
乳酸菌は生きていなくても、発酵生産物や菌体成分にも健康増進に貢献する効果(抗腫瘍性、血圧降下作用、血清コレステロール低下作用)があることが近年明らかにされつつあります。これらの成分を「バイオジェニックス」あるいは「ポストバイオティクス」と呼ぶ場合があります。
さまざまな機能性
日本ではヨーグルトに関するさまざまな研究が進んでおり、乳酸菌やビフィズス菌など、多くの機能性が明らかになってきています。特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として、各種の乳酸菌やビフィズス菌を利用して乳発酵させた多くの機能性ヨーグルトが開発されています。
特定保健用食品(トクホ)
特定保健用食品は、「からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品」です。
特定保健用食品として食品を販売するには、食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受け、表示について消費者庁長官の許可を得なければなりません(健康増進法第43条第1項)[図3-27]。
ヨーグルト・乳酸菌飲料の場合、許可理由のほとんどは、特定の乳酸菌やオリゴ糖や食物繊維が腸内の環境を改善しておなかの調子を整えるというものです。その他に血圧が高めの人や血糖値が気になり始めた人の生活改善に役立つヨーグルトもあります。
特定保健用食品には以下の区分があります。
特定保健用食品として食品を販売するには、食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受け、表示について消費者庁長官の許可を得なければなりません(健康増進法第43条第1項)[図3-27]。
ヨーグルト・乳酸菌飲料の場合、許可理由のほとんどは、特定の乳酸菌やオリゴ糖や食物繊維が腸内の環境を改善しておなかの調子を整えるというものです。その他に血圧が高めの人や血糖値が気になり始めた人の生活改善に役立つヨーグルトもあります。
特定保健用食品には以下の区分があります。
- ①特定保健用食品:食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品。
- ②特定保健用食品(疾病リスク低減表示):関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合、疾病リスク低減表示を認める特定保健用食品(2024年3月現在認められている関与成分は「カルシウム」と「葉酸」)。
- ③特定保健用食品(規格基準型):特定保健用食品としての許可実績が十分であるなど科学的根拠が蓄積されている関与成分について規格基準を定め、消費者委員会の個別審査なく、消費者庁において規格基準への適合性を審査し許可する特定保健用食品。
- ④特定保健用食品(再許可等):すでに許可を受けている食品について、商品名や風味等の軽微な変更等をした特定保健用食品。
- ⑤条件付き特定保健用食品:特定保健用食品の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品を、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として許可する特定保健用食品。
機能性表示食品
機能性表示食品制度は、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。
ヨーグルトをはじめ牛乳乳製品においても、腸内環境の改善、内臓脂肪対策など多くの機能性表示食品が登場しています。
ヨーグルトをはじめ牛乳乳製品においても、腸内環境の改善、内臓脂肪対策など多くの機能性表示食品が登場しています。
図3-27 | 特定保健用食品(トクホ)の 許可マーク
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プロバイオティクスとは?
プロバイオティクスは、アンチバイオティクス(抗生物質)の対義語としてつくられた言葉で、1989年にイギリスの微生物学者フラーによって「腸内細菌叢のバランスを改善することにより宿主動物に有益に働く生菌添加物」と定義されました。
現在では国際連合食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)により、「適正量を摂取することにより、宿主の健康に有益な作用をもたらす生きた微生物」と再定義されています。代表的なプロバイオティクスには特殊な乳酸菌やビフィズス菌などがあります。
近年はプロバイオティクスを加えた機能性ヨーグルトが登場しています。機能性ヨーグルトには、整腸作用、血清コレステロール低下作用、感染防御作用、抗インフルエンザ作用、抗アレルギー作用などが期待されており、最近では脂肪代謝系に働きかけることで内臓脂肪を減少させる乳酸菌を使用したヨーグルトも販売されています。
現在では国際連合食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)により、「適正量を摂取することにより、宿主の健康に有益な作用をもたらす生きた微生物」と再定義されています。代表的なプロバイオティクスには特殊な乳酸菌やビフィズス菌などがあります。
近年はプロバイオティクスを加えた機能性ヨーグルトが登場しています。機能性ヨーグルトには、整腸作用、血清コレステロール低下作用、感染防御作用、抗インフルエンザ作用、抗アレルギー作用などが期待されており、最近では脂肪代謝系に働きかけることで内臓脂肪を減少させる乳酸菌を使用したヨーグルトも販売されています。