子どもの発育に適した成分組成
哺乳動物の乳は、子どもの成長に適した成分組成と泌乳量を自然に備えています。当然、動物の種類によって、その乳成分組成はまちまちです。
鯨やオットセイなどの海棲動物やホッキョクグマなどは、乳固形分40%以上、乳脂肪分30%以上と濃厚な乳を出します。一方、人乳や馬乳のように、乳固形分11~12%、たんぱく質が1~2%と少なく、逆に乳糖が6~7%と多い例もあります。牛乳は個々の乳成分含有量では、哺乳動物の中で中間的な数値を示し、バランスのとれた乳といえるでしょう。
ところで、哺乳動物の乳成分のうち、たんぱく質とミネラル、さらにミネラル中のカルシウムとリンの含有量は、図2-15のようにその動物の成長速度と密接な関係を持っています。
乳を唯一の食物とする哺乳中の幼い動物は、母親の乳のたんぱく質から筋肉をはじめ体のさまざまな組織をつくり、ミネラル中のカルシウムやリンなどから骨格や歯のような硬い組織をつくります。それぞれの動物の乳の成分は、体組織の形成スピード、成長速度に見合った濃度で構成されています。
子どもの発育に適した成分組成を持つ母乳は、その動物の子どもにとって最高の食品です。ヒトの場合も同様に、人乳はヒトの脳の発達や体の成長速度に適した成分組成になっており、乳児にとって最適の食品といえます。
鯨やオットセイなどの海棲動物やホッキョクグマなどは、乳固形分40%以上、乳脂肪分30%以上と濃厚な乳を出します。一方、人乳や馬乳のように、乳固形分11~12%、たんぱく質が1~2%と少なく、逆に乳糖が6~7%と多い例もあります。牛乳は個々の乳成分含有量では、哺乳動物の中で中間的な数値を示し、バランスのとれた乳といえるでしょう。
ところで、哺乳動物の乳成分のうち、たんぱく質とミネラル、さらにミネラル中のカルシウムとリンの含有量は、図2-15のようにその動物の成長速度と密接な関係を持っています。
乳を唯一の食物とする哺乳中の幼い動物は、母親の乳のたんぱく質から筋肉をはじめ体のさまざまな組織をつくり、ミネラル中のカルシウムやリンなどから骨格や歯のような硬い組織をつくります。それぞれの動物の乳の成分は、体組織の形成スピード、成長速度に見合った濃度で構成されています。
子どもの発育に適した成分組成を持つ母乳は、その動物の子どもにとって最高の食品です。ヒトの場合も同様に、人乳はヒトの脳の発達や体の成長速度に適した成分組成になっており、乳児にとって最適の食品といえます。
図2-15 | 哺乳動物の発育と乳成分組成の関係(出生体重の倍増日数)
牛と人の乳の違い
人乳は牛乳に比べ、炭水化物(乳糖)が1.5倍であるのに対し、たんぱく質やミネラルは約3分の1しかありません。その理由は、ヒトは牛より成長速度が遅いからです。これは、カルシウムとリンが成長速度に大きく関係している証拠といえるでしょう。出生から体重が倍になるのにヒトは100日、牛では50日と大きな差があります。
一方、人乳に含まれる乳糖の量は、哺乳動物の中で最も高い値を示しています。このことから人乳は牛乳より甘味が強いと思われがちですが、実際にはそれほど甘味を感じません。
ヒトは脳の発達速度が体の成長速度に比べ速いため、乳糖が分解されてできるガラクトースが脳や神経の発育に欠かせないといわれています。人乳に炭水化物(乳糖やミルクオリゴ糖)が多く含まれているのもこうした生命の神秘といえるでしょう。
他の成分についても、量的な違いだけでなく、質的な違いもあります。例えば、たんぱく質の場合、牛乳はカゼインが約80%と多く含まれ、残りはホエイ(乳清)たんぱく質です。人乳の場合はアルブミンなどのホエイたんぱく質が約50%と多く含まれています。
一方、人乳に含まれる乳糖の量は、哺乳動物の中で最も高い値を示しています。このことから人乳は牛乳より甘味が強いと思われがちですが、実際にはそれほど甘味を感じません。
ヒトは脳の発達速度が体の成長速度に比べ速いため、乳糖が分解されてできるガラクトースが脳や神経の発育に欠かせないといわれています。人乳に炭水化物(乳糖やミルクオリゴ糖)が多く含まれているのもこうした生命の神秘といえるでしょう。
他の成分についても、量的な違いだけでなく、質的な違いもあります。例えば、たんぱく質の場合、牛乳はカゼインが約80%と多く含まれ、残りはホエイ(乳清)たんぱく質です。人乳の場合はアルブミンなどのホエイたんぱく質が約50%と多く含まれています。