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栄養素密度とは

「栄養素密度」とは、食品のエネルギー100kcalあたりに含まれる栄養素の量です。
エネルギーは熱量(カロリー)とも呼ばれ、人間の体温を36℃台に保ちながら、血液や脳、筋肉や各種臓器を動かし、手足を動かすなど生命活動の源となります。
体内では食事から摂る炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質が消化吸収され、体全体の細胞へ血液を通して酸素と一緒に送られて、必要な量がエネルギーに変わります。
従来、食品の栄養価は食品重量100gあたりにどれだけ栄養素が含まれているかで表していました。この場合、食品に含まれる水分量により実際の栄養素の量は違ってきます。例えば、水分87%の牛乳と水分56%のめざしでは、100g中にめざしのほうがはるかに多くのカルシウムを含みます。
これに対して、食品のエネルギー量あたりの栄養素量を比較するのが栄養素密度の考え方です。すなわち食品のエネルギー100kcalあたりにどれだけの量の栄養素が含まれているかで表します。

牛乳は栄養素密度が高い食品

牛乳とめざしのカルシウム量を栄養素密度で比較すると、牛乳は100kcalあたり180mg、めざしは160mgとなります[表2-5]。牛乳は栄養素密度が高く、少ないエネルギー量で同じ量の栄養素を摂取できる優れた食品です。
牛乳200mLのエネルギー量(126kcal)は、成長期の1日あたりの摂取基準(推定エネルギー必要量〈身体活動レベルⅡの場合〉:15〜17歳で男性2,800kcal/日、女性2,300kcal/日)の6%未満です。特に10歳代や運動部に所属している児童・生徒は学校給食のない日も含め、牛乳を毎日飲む習慣をつけることが望ましいと考えられます。
また、高齢者の場合は必要なエネルギー量は少なくなりますが(同:75歳以上で男性2,100kcal/日、女性1,650kcal/日)、必要な栄養素成分の量は大きくは変わりません。したがって、必要とされる栄養素をより少ないエネルギーで効率良く摂取するために栄養素密度の考え方が重要となってきます。

表2-5 | 食品別栄養素密度(100kcalあたり)の比較
食品 重量
(g)
たんぱく質
(g)
カルシウム
(mg)
カリウム
(mg)
リン
(mg)

(mg)
ビタミンA
(レチノール
活性当量)
(μgRAE)
ビタミンB1
(mg)
ビタミンB2
(mg)
ナイアシン当量
(mgNE)
ビタミンC
(mg)
普通牛乳 164 5.4 180 246 152 0.03 62 0.07 0.25 1.5 2
加工乳(低脂肪) 238 9.0 310 452 218 0.2 31 0.10 0.43 2.4 微量
ヨーグルト(全指無糖) 179 6.4 214 304 179 微量 59 0.07 0.25 1.6 2
プロセスチーズ 32 7.3 201 19 233 0.1 80 0.01 0.12 1.6 0
和牛肉(肩/脂身つき/生) 39 6.9 2 109 58 0.3 微量 0.03 0.08 2.8 0
全卵(全卵/生) 70 8.6 32 92 120 1.1 148 0.04 0.26 2.3 0
くろまぐろ(赤身/生) 87 23.0 4 330 235 1.0 72 0.09 0.04 16.5 2
めざし(焼き) 50 11.9 160 110 145 2.1 48 0.01 0.13 8.5 微量
木綿豆腐 137 9.6 127 151 121 2.1 0 0.12 0.05 2.6 0
飯(精白米) 64 1.6 2 19 22 0.1 0 0.01 0.01 0.5 0
うんしゅうみかん 204 1.4 43 306 31 0.4 171 0.20 0.06 0.8 65

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より算出