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学童期の体の特徴

学童期は新生児期に次いで著しい発育をし、男女とも6~9歳では1年間に身長は5~7cm、体重は3kg前後増加します。学童期後半の身長の伸びは、1年間で男子は7~7.5cm、女子では6~7cmほどで、骨の成長に伴って体の各部位の長さの比率が変化し、成人の体型に近づいてきます。
身体機能が大きく発達し、筋力や持久力などの運動能力も高まります。脳や脊髄、視覚器官などの神経系器官は6歳ごろまでに急速に発達し、10~12歳ごろに完成します。
精神面では、理解力や判断力、記憶力、想像力などが進んでいきます。協調性や社会性が身につき、自分で考えて行動したり、友だちとの協調もできるようになります。

学童期における牛乳乳製品の役割

生後から学童期にかけての発育が盛んな時期は、基礎代謝基準値(体重あたりの基礎代謝量)が成人の値を大きく上回る状態が続きます。この時期は十分なエネルギーとともにたんぱく質が不足しないようにすることが大切です。体内カルシウム蓄積量は、この時期から思春期にかけてが生涯の中で最も高くなります。10代のころに食事と運動で骨へのカルシウム蓄積を十分に増やしておくことが、成人期・高齢期の骨粗鬆症を予防する重要なポイントとなります。そのため、牛乳乳製品などカルシウムの吸収率の良い食品を十分に摂ることが大切です。
図4-1は、小学3年生女子のカルシウム摂取量とその供給源について、学校給食がある日とない日で比較したものです。給食のある日でも推奨量にはやや足りていませんが、給食のない日は大幅に不足しています。また、学校給食で残さず牛乳を飲む習慣がある子どもは骨量が高いというデータもあります。学校給食で牛乳をきちんと飲む習慣を定着させるとともに、家庭でも牛乳を飲む習慣づくりが大切です。
図4-1 | 給食のある日とない日のカルシウム摂取量とその供給源(小学3年生女子)
給食のある日とない日のカルシウム摂取量とその供給源(小学3年生女子)
出典:独立行政法人日本スポーツ振興センター「平成22年度児童生徒の食事状況等調査報告書〈食事状況調査編〉」
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成長期の牛乳の摂取量は、身長の伸びに関係する?
牛乳摂取が体格に与える影響(3年間の変化)
牛乳摂取が体格に与える影響(3年間の変化)
出典:岡田知雄「子どもの生活習慣病の改善と牛乳摂取の効 果」『食の科学』光琳(2003年)

身長の伸びは、両親からの遺伝が大きな要因といわれています。さらに成長ホルモンなどの内分泌、性成熟度などとともに、食生活も影響しています。
このうち身長と食生活の関わりについて、成長期の牛乳摂取が体格(身長、体重、肥満度)にどのような影響を及ぼしているかを追跡調査した結果があります。小学4年生から中学1年生までの3年間、122名の男女を対象に、牛乳の1日あたりの摂取量が500mL未満のグループ(A群)と500mL以上のグループ(B群)に分けて、身長、体重、肥満度を測定しました。
その結果、体重の増加量と肥満度は両群間に有意差は認められませんでしたが、身長は牛乳摂取量の違いで2.5cmも差が出ました。また、ニュージーランドやアメリカ、イスラエルでも牛乳摂取量が身長と関係するとの報告があります。

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学校給食と牛乳
学校給食は、「学校給食法」の制定(1954年)当初は子どもたちの栄養不足の改善が主目的でしたが、現在では、成長期にある子どもたちの心身の健全な発達を図るとともに、食に関する正しい理解と適切な判断力を培い、望ましい食習慣を養うための重要な教材としての役割を担っています。
学校給食で必要とされるエネルギーや主な栄養素量は、「学校給食摂取基準」に示されています。基本的には1日に必要とされる量の約3分の1で、不足が懸念されるカルシウムなどについては40〜50%が摂取できるよう配慮されています。
高い栄養価を持つ牛乳は、学校給食の献立作成にあたっての頼もしい存在です。牛乳が1本(200mL)あるだけで、カルシウムは基準値の半分以上を満たし、その他の栄養素摂取量も全体に底上げできるため、主食や主菜・副菜などの献立の自由度が広がります。しかも冷蔵して出すだけなので、調理の手間も必要ありません。加えて、給食用牛乳は市販に比べて安価に抑えられています。
身近な牛乳から子どもたちは、乳牛や酪農家などの仕事、さらに「命」「感謝」「生産と流通の仕組み」「環境」「衛生管理」「食品表示」など実に多くを学ぶことができます。牛乳を食育に活用する意義は大きく、教育的観点からも大きな可能性を持っています。